Ezgi Basaranコラム:PKKはどこにむかっているのか?
2013年07月31日付 Radikal 紙

シリアのクルド人が国の北側でレスラユンの支配権を握り、PYD(民主統一党:PKKのシリア支部)の党旗をこの証拠として掲げて以来、常識のある者全員がトルコ国家にこう説明しようと努めている。
「北イラクでクルド政権が発足したときのような、お笑い種の状況に陥るな!クルド人には、まず第一に命を守る権利、そして何年もの間拷問を受け、今やバラバラになってしまった土地で地位を要求するといった諸権利があるのだ!シリアのクルド人の味方をするのが、トルコのためとなるのだ!」と。
このような、またこれに似た多くの言葉が飛び交っている。トルコ政府の頑固で狭い視野によって、歴史を悲喜劇の舞台に上げないために。また、中東の姿と魂が痛みを伴いながらその形を変えるとき、クルド人が、最も重要な役割を持つ一人であるということを、いい加減受け入れるために。そしておそらく更に難しいだろうが、PKK(クルド労働者党・非合法組織)もその役割を持つことを認めなければならない。

AKP(公正発展党)が直近の和平プロセスを始めたのは、彼らが世界で最も正当で民主的な政党であるためでなく、中東情勢が国の内政に過剰に影響したことにより強いられたものだった…。PKKも、AKPを信頼し、クルド人の政治運動が10年間主張してきた要求を一気に承諾するであろうと信じてこのプロセスに歩み寄ったわけではない。もちろんイムラル島のオジャランと彼と面会した政府訪問団は、いくつかの解決策が打たれることについて暗黙の了承に至った。しかし、選挙の最低得票率による足切り制度から母語教育、地方分権の解決から憲法上の市民定義までを網羅した基本的要求が実現しそうな光はない。

では何だというのか。PKKのトルコ撤退は、オジャランが今後は武器を用いない抵抗を行うと宣言した少し後に実現したカンディルの武装一斉解除を、戦略的に正しいと判断したからこその決定だ。武装した市民組織は、抵抗運動が成熟に達しており、更に重要なこととして、今後は武器を放棄した政治的な姿となることで運動がより影響力のあるものになると考えている。PKKはどこへ向かって進んでいるのだろうか?実のところ、どこへでもなく、同時にさらに大きな場所へ向かっているのだ。トルコはPKKが生まれた場所であるが、今やイラン、シリア、イラクに比べれば、大きな重要性は持たない。感情的にはYESだが、戦略的にはNOだ。なぜなら中東で動き始めたこれは、クルドの列車であり、PKKは世界に認められる合法なロコモーティブになろうとしている。トルコからの撤退と、指導者の武器放棄の宣言は、多少はこれが原因だ。

DTK(民主社会会議)共同党首でマルディン選出国会議員のアフメト・トゥルク氏とのインタビューが月曜日の本欄で掲載されたが、ページに収まりきらず今日まで発表を控えた部分は、まさにこのことに触れている。トルコのクルド人の運動にとってシリアのクルド人はどのような意味をもつのか説明する傍ら、実際はPKKに関し、アフメト・トゥルクが何を言っているのか見てみよう。
「シリアからPKKへは、何年もの間で1万人以上が新たに加わった。PKKの死傷者のうち4千~5千人はシリア出身だ。そもそもPKKは20年をシリアで過ごしたらしい。これらすべてをあわせると、シリアのクルド人に対するPKKのプラスの影響を予想できるだろう。オジャラン氏も言っているように、我々はシリア国民に借りがある。なぜなら我々を大いに支持してくれたからだ。これはPKKとPYD(民主統一党:PKKのシリア支部)の組織的な繋がりという意味にはならない。PKKは4つの国で強い影響力を持つ。イラクを見ても、大きな共鳴が育まれたのがわかる。イランを見てみると、PJAK(クルディスタン自由生活党。イランにおけるPKK関連組織)のような組織のクルド人に対しては、PKKを通じた共感が寄せられている。トルコのクルド人に対するその影響はおそらく説明する必要もないだろう。PKKの問題は多面的に考える必要がある。彼らは1つではなく、実は4つの部分から成っており、さらには賛同者と実際の行動者という観点からも見なければならないのだ。」

もし言われているように、クルド恐怖症が異常なまでに誇張されていないのであれば、トルコ国家は今回川の流れに逆らってオールを漕ぐのではなく、手遅れになる前に公平・賢明に動き、中東のクルド人に対し敵意を示すのではなく、彼らを守る必要がある。解決プロセスの交渉は、この新しいPKKを認識した上で進めていかなければならない。

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( 翻訳者:釘田遼香 )
( 記事ID:31032 )