Sami Kohen コラム:「陰謀」コンプレックス
2013年08月02日付 Milliyet 紙

トルコでは事件が起こる度、あたかも習慣の如く、その背後の「外国の関与」あるいは「外部組織」を探す。内外を問わず問題・懸念が生じると、様々な階層においてまず、原因を外部に求める。

よく使われる論理的根拠はこうだ。トルコは徐々に発展し、地域・世界的な勢力となっている。外部ではこれに不快感を示すものがいる。そうした組織は、機をみつけてトルコを弱体化させ、前方を塞ごうとするのである。こうした試みを成功させるため、時々「協力者」を使うのだ…。

最近、この種の評価が次第に広がり、「陰謀論反応」が進行しているのではないか。最新の事例としてソマリアのトルコ大使館に対する攻撃について取り上げたい。

警官1名が死亡、警備員3名が負傷したこの攻撃後、アル・シャバブというテロ組織が即座に犯行声明を出した。アル・カーイダのソマリア支部とされるこの過 激イスラーム組織は、「ジハードの戦士」1万4千人の軍事力をもって、ソマリア南部を支配している。首都モガデシュでも政府軍、国連の平和維持任務を受け持つアフリカ連合軍に対する攻撃を行っている。彼らの目的は、ソマリアの現体制の転覆、イスラーム秩序の構築である。

トルコがソマリアに親近感を示し、援助を行い、安定化に向け行った支援は周知のことだ。アル・シャバブは、これを自身のイデオロギー、目的に反する行動 と考えているのだ。すなわち、アル・シャバブのスポークスマンがトルコ大使館への攻撃後即座に行った発表では、攻撃の理由としてトルコによるソマリア内政干渉、政府支援、イスラームに合致しない行動を挙げた。

これは、テロを用いて国家を管理下に置くことを希望し、アル・カーイダと組織的連帯をもつアル・シャバブのイデオロギー的信条・戦略を正に表している。

今回の事件は、過激イスラーム組織がトルコ、そして公正発展党(AKP)をどう考えているかをも明らかにした。トルコ政府は、これについて対処が求められる…。しかし、「陰謀論反応」は今回の事件でも即座にその姿を明らかにした。数多くの解説者や当局者が、民衆の「迅速且つ安易な」反応に加担、攻撃の背後に「外部組織」が存在し、アル・シャバブは外部組織の「協力者」、あるいは道具であると主張した。

とにかく、皆がトルコを排除、弱体化しようと躍起になっているとのコンプレックスにとりつかれる必要はない。もちろん、トルコは、アフリカ・その他地域で多くの国と競争関係にある。トルコは、このことを理解し力を示す必要がある。正体不明の「外部組織」のせいにすることなく…。

アル・シャバブは、アル・カーイダ内の過激イスラームプログラムの中で、自身のイニシアチブで行動をとる。このことで、いくつかの外部勢力は喜んでいるかもしれない。しかし、この組織が外部組織の「傭兵部隊」の如く働くという意味ではない。

つまり、この種の状況で、安易な「陰謀論反応」により事件の背後に「外部勢力」を求め、そして、トルコを弱体化させようと狙っているという「陰謀コンプレックス」から脱却するときなのだ。



本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介されています。

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( 翻訳者:山根卓朗 )
( 記事ID:31043 )