エルドアン首相、テレビで涙ーエジプト騒乱の犠牲者への詩の朗読に
2013年08月23日付 Hurriyet 紙

タイイプ・エルドアン首相は、ムスリム同胞団幹部のムハンマド・エル・ビルテジが、エジプトで殺害された娘エスマさんへ贈った詩の朗読を聞き、生放送中に涙を流した。首相は何分も泣き続け、自分の娘についての思い出を話す際には話が出来なくなり、番組は終了した。

レジェプ・タイイプ・エルドアン首相は、あるテレビ番組に出演し、時事問題について語った。シリア情勢について述べたエルドアンは、「アサドというこの人物は、彼の父親の時の3、4倍の弾圧を現時点で行っています。ハマ、フムスで彼の父は暴君として歴史に名を残しました。独裁者・殺人者として歴史に刻まれたのです。しかし、子は今や父を超えました」と語った

エルドアン首相はユルケTVで放映された「Sıradışı Özel」という番組に出演し、時事問題について語った。エルドアン首相はシリアで起きている事態への見解を述べた際、世界の国々はシリアに住む人々に対して沈黙を続けていると述べた。

「アサドというこの人物は、現時点で彼の父が行った残虐行為の3、4倍の弾圧を行っています。ハマ、フムスで彼の父は暴君として歴史に名を残しました。独裁者・殺人者として歴史に刻まれたのです。しかし彼は、今や父親を超えました。ハマ、フムスは歴史に刻まれました。しかし今やシリアのどこでも、空爆からミサイルにいたる武器による相当数の死者がでています。ハマ、フムスでは4万人が殺害されたことがわかっていますが、この場所では現時点で死者数は10万人を超えています。昨日の朝の事件で、我々はこの10万人のことを忘れてしまいそうになりました。事件のこれほどの写真や記録を実際には見られなかったからです。昨日この子ども達の状況を見て、我々は家で悲嘆に暮れましたが、私の妻も子供たちもみな同じように信じています、塵ほどの良心、欠片ほどの人間性しか持たない者であっても、この惨劇に何か思うところがあるはずだと。」

■新たな国際連合を築きうる

 エルドアン首相は、国際連合が発生した多くの事件で沈黙を続けてきたと語り、この状態から抜けだす新たな組織を築くことができると説明した。「本当に世界が5カ国よりも大きいというのなら、ほかの国々が集まることによって自分たちで国際連合を組織できます。こうすれば現状から抜け出すことは可能なのです。このような策は改革を正しい方向へ導きます。ためらっていたらどうなりますか。何をするのでしょうか。現在多くの組織があります。ASEANや上海協力機構のように。EUができた時、それは「EU(ヨーロッパ連合)」ではなく、鉄鋼共同体として結成されたのです。その後ヨーロッパ経済共同体となり、ヨーロッパ共同体はEUとなって、現在では政治的にも社会的組織になっています。こうした実例があるのです。これが発展なのです。つまり今、もっと違う解決口を築くことができるのです。」

■涙が止まらなかった

番組では、ムスリム同胞団幹部のムハンマド・エル・ビルテジが、エジプトでの事件の際に亡くなった娘、エスマさんに書いた別れの手紙が読まれ、これを聞いていたエルドアン首相は涙を流した。レジェプ・タイイプ・エルドアン首相はこの後次のように語った。「似たようなことを私も経験しました。エル・ビルテジ氏はこの手紙をもちろんエスマさんに書いたのでしょうが、その内容を聞いて私は我が子と重ね合わせてしまいました。また彼がエスマさんの遺体に祈りを捧げ、成熟し、未来に向けて死を超えた世界を読んだことに、私は本当に感動しました。もちろん、殉死は非常に特別なものです。エスマさんは人生に飽くことなく、殉死者となって天に召されました。彼女の姿勢はお父様の姿勢でもあります。世界中のイスラームの国々にとって教訓となると信じています。若者にとっても、父と子の関係にとっても模範となるでしょう。私はいま首相ではなく、一国民のタイイプとして発言しています。」

■我が子のことを考えた

何分も泣き続けたエルドアンは、嗚咽に耐えながら自らの娘について思い出を語った。(涙で)話が続かなくなり、番組は終了した。

■同じようなことを経験した

エルドアンは思い出を泣きながら次のように語った。「同じようなことを私も経験しました。毎晩遅く帰っていましたが、ある晩、娘が私たちの部屋のドアにメモを貼ったのです。『私たちに一晩分けてちょうだい』と書かれていました。私たちには子供と過ごせるような夜はありませんでした。身を置いた場所で活動することに必死だったのです。帰宅するのは夜中の1時、2時です。家に帰る頃には子供たちは寝ていました。」



本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介されています。

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( 翻訳者:鈴木直子 )
( 記事ID:31257 )