憲法改正、「母語での教育」条項にゴーサインでず
2013年08月29日付 Radikal 紙


トルコ大国民議会(TBMM)の憲法協議委員会は、新憲法における「教育と学ぶ権利」の項目について討議した。平和民主党(BDP)が和平の重要な案件と見なし、[一方]エルドアン首相が「受け入れられない」と評した母語での教育については、合意に至らなかった。

TBMM憲法協議委員会は検討が必要とされる項目の中から「教育を受ける権利と自由」を取り上げた。委員会では「母語による教育と学習」について意見がぶつかり合った。新憲法草案にこれを折り込んでいない公正発展党(AKP)は、母語の学習は憲法ではなく通常の法律の中で整備されるべきだと主張し、同党のアフメト・イイマヤ氏が憲法上の整備は必要ないと述べた。AKP、共和人民党(CHP)、民族主義者行動党(MHP)の3党は、憲法に「教育で使われる言語はトルコ語である」という表現を折り込むことを求め、教育はトルコ語であるが、他の言語も学ぶ機会が与えられるという点で合意した。

■教育がなければ言語は廃れる

BDPはこれに反発。同党のベンギ・ユルドゥズ氏は「ただ母語を学習するだけでは、その言語を維持するのに十分ではない。トルコ語のように国が守っている公用語でさえ、英語や他の外国語によって危機にさらされている。クルド語での教育がなければ、またその言葉を使って職業に就くことができなければ、言葉は次第に忘れられていく。母語を教えただけでは不十分で、仕事の上でも母語が使えるようにすべきだ。母語による教育と学習は保証されるべきだ」と述べた。同氏はイギリスのウェールズを例に挙げ、ウェールズ語が仕事では使うことができないために廃れていると説明した。また子どもの権利に触れながら、母語を話す子どもが小学校に上がった際にトラウマになりうると言い、それが子どもの権利に反すると話した。

■「主権を求めるようになる」

野党側はこの件に慎重だ。MHPのファルク・バル氏は、母語による教育は同時に自治独立の願望を引き出すものだとし、「母語によって成立する環境は、もう一つの統治が混在することを意味する。別の民族ができるということだ。これには反対する」と話した。BDPのユルドゥズ氏はこれに対し、「我々はもともと別の民族である。これは法律上とは別に、自然な願望である。政府から権利を与えてもらおうというのではなく、取り上げられた権利を返して欲しいだけだ。もともと共和国になる前は、イスラム学院で教育を受けていたのだ」と反発した。

■カルト氏:自分の歴史は母語によって学べる

CHPのスュヘイル・バトゥム氏はアメリカ、フランス、スペインなどの国内事情を例に挙げ、「トルコ語の教育と学習が基本だが、一部グループが多く住む地域では、希望に応じて一部の授業を母語で行うこともできる。例えば、地理の授業をクルド語で行うなどだ」と話した。「我々は如何なる言語・文化も失われることを望んでいない。誰もが母語を学び、上達させることができる。これは民族に関わる選択でもある。まず我々は一つの民族なのか、二つなのか、三つなのか、この答えを出そうではないか。異なる民族と認めるのであれば、そこから彼らの権利を整備しよう。」同党のアティラ・カルト氏は、「母語による教育を無くさないよう、別の方法がない場合は母語での教育が可能である。自分の歴史や文化は母語で学ぶなどだ。国はこれについて必要な対応をすべきだ」と話した。

■イイマヤ氏:AKPの見解は明白

委員会のあとに会見を行ったAKPのアフメト・イイマヤ氏は「母語を使用する権利という点では一定の合意があった。しかし母語による学習・教育に関しては意見がまとまっていない。AKPは、トルコのこれまでの発展や立法による変化を踏まえて、本件は憲法ではなく法律の範疇であるという見方を示している」と述べ、党としての考えが明確であることを強調した。



本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介されています。

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( 翻訳者:湯澤芙美 )
( 記事ID:31297 )