シリア・クルド組織YPG司令官ヘモ氏、語る
2013年09月20日付 Radikal 紙


PYDと関係をもつ武装組織の司令官、シパン・ヘモ氏が、ラディカル紙のムトゥル・チヴィルオール記者の取材に答えた。ヘモ氏は、彼らが敵として戦う過激派がトルコから支援を受けていると改めて主張、トルコで暮らすクルド人からは十分な支援を受けていないと述べた。

―最後にあなたとお会いしたのは7月末でした。その日から今日までにどういったことが変わりましたか?クルド人から見てどのような状況なのでしょうか?

―ご存知の通り、長い間ロジャヴァはでクルド人に対する戦争の構想が始まっていました。ヌスラ戦線やイラク・シリアイスラム国家、アフラル・アッ=シャム旅団は、クルド人の暮らす地域に64日にわたって絶え間なく激しい攻撃を行っています。特にデリカ・ヘメコ・ティル・アブヤッド、セレカニエ、ティル・ハスィル、ティル・アランのいくつかの地域は深刻な打撃を受けました。大きな衝突が起こり、この衝突ではおおよそクルド人が勝利しました。YPG軍も抵抗を続けています。しかしこれらの戦線は、また異なる形での攻撃をしようとしています。とくにクルド人地域では自爆攻撃が行われる危険性があります。現在までに18もの自爆攻撃未遂事件が起こっています。自爆攻撃をする者は爆弾をのせた運搬車をクルド人の土地に運び込もうとしていますが、YPGが検問所でそれらを発見しています。

クルド人が戦争を第一の選択肢としたことは一度としてありません、しかし行われた攻撃がクルド人を戦いへと追い込んだのです。我々はどの勢力にも敵意を示さず、また味方もしませんでした。しかし過激派は、クルド人が勝利することに我慢できないのです。この攻撃で、クルド人のすべての利益を奪おうとしているのです。

―では、この攻撃が続くかどうか、司令官としてどのように予想していますか?

―彼らはいくつかの地域では衝突の終結を望んでいます。しかしISİDのような勢力は、攻撃の継続を声高に主張しています。彼らがどれほど主張しても私たちは彼らをクルディスタンに踏み入らせません。彼らの目標達成を許さず、反対に、もし攻撃を執拗に続けるのであれば、それにより被害を受けるのは彼らとなるでしょう。

―いくつかの報道組織では、YPGが多くの被害を受けたと主張されました。ヒュスニュ・マハッリ記者もツイッターのアカウントで、アレッポで何十人もの犠牲者がでたと述べていました。この情報は正しいのですか?

―全く正しいものではありません。アレッポでは、こちら側は戦闘員4人、市民3人、合わせて7人の犠牲者が出ました。しかし敵は何十もの死者を出しています。さらに、武装勢力も今日アレッポから撤退しました。現在町はとても静かです。

―クルド人地域はまだあなた方の統率内にありますか?

―はい。クルド人地域は完全に私たちの統率のもとにあります。

―人々があなたへの支持をすでに止めており、今の状況に多くの人々が住居を放棄し、イラクのクルディスタン地域へ移住しているという説も上がっています。現状はどうなのでしょうか、これらの見方は正しいのでしょうか。

―ご存じのとおりシリアでの戦争は長期化し、そのため多くの人々が被害を受けました。経済危機もあり、健康や医療問題も非常も増加し、そのため人々は別の解決策を求めざるを得なくなっています。移住を余儀なくされた人々もおり、移住は続いています。南へ行く人、北クルディスタンへ行く人もいます。こうした動きは続いています。彼らにやめろ、行かないでくれということは出来ません。たとえば、クルディスタンでは子供用のワクチンはありません。残っていないのです。人々がやってきて『ワクチンを打ってやらないと子供に麻痺がでてしまいます』と私たちに訴えても、これに応じることができなければ、何も答えることはできないのです。私たちは何も言えないのです。商売や仕事を続けるためにここを離れる人もいます。しかしクルディスタンの人々の80%は故郷にとどまり続けています。もしも人々が主張するようにここが放棄されたのなら、YPGは存続しえません。なぜならYPGとは彼ら自身であり、彼らの子供でもあるのです。

―前回の取材で、あなたはトルコに多くの有益なメッセージを送られました。あなた方はトルコの敵ではなく、その反対によい関係を築いていきたいと述べられました。それ以来トルコの姿勢に改善を見ていますか?

―残念ながらトルコ政府のこの件での態度はとても否定的なものです。おそらく現在の態度がトルコ自身の利益につながると考えているのかもしれませんが、この状態は将来の大きな禍根となるでしょう。私たちは多くのことを私たち自身の視点で見ています。この過激派のメンバーはトルコを通じてやって来ています。つまり彼らは外から来たといっても、トルコに入りそこからやって来ているのです。コバネで衝突が起こったとき、この勢力にトルコから武器の援助があったとの情報を得ています。

―トルコはあなた方のこれらの主張を認めていませんが・・・

―もしアメリカがその気になれば、視察官を送り込み、私たちのこの主張が正しいことをその場で証明するでしょう。トルコが間に入って、大勢の過激派が中東へと入ってきています。あなたもご存じでしょう、この2つの勢力が許容しなければ、国境から鳥一匹とび立つことはできません。しかし400-500人を擁する組織が国境を容易に抜け、こちらに来ることができているのです。何十回も国境から好戦的な過激派が来ていることはもちろん、負傷した戦闘員がトルコに運ばれ病院で治療を受けていることも私たちは知っており、目撃しています。

―トルコのクルド人からは必要な支援を受けていると思われますか?

―北のクルドの人々は人道に基づいてロジャヴァを支援してくれました。食料や薬などの人道援助です。しかしそれらは人道援助の枠を出ず、政治的、革命的なサポートは満足に受けていません。この種の人道支援は皆が行えることであるけれども、あなた方の兄弟に寄せる支援は心からの親愛によるものであるべきです。つまりあらゆる意味において支援と貢献ができなければならないのです。

―アメリカのメディアは最近、シリアでのアルカイダの存在を頻繁に報じています。ついこの前は、CIAを引退したばかりのマイク・モレル元司令官補佐がアメリカの国防省に最大の脅威はシリアにおけるアルカイダの存在だと述べています。これについてどうお考えですか?

―アメリカの立場を考えれば、アメリカはシリアの今の状態に責任があると思います。アメリカもこの責任を認識しています。彼らは数年にわたってアルカイダとの戦争を続けてきましたが、この短期間に私たちがこの勢力に対して手にした勝利は、アメリカがこれほどの年月をかけて戦い、手にしたものより何倍も大きいのです。もちろん、私たちはアメリカのためにこの勢力と戦っているのではありません。私たち自身と人道のために行っているのです。人間らしさや啓蒙に対する大きな脅威だと私たちは見ているからです。この勢力に対しアメリカは行うべき使命があり、それを実行しなければなりません。アメリカの人々も私たちが抱える脅威に直面しています。アメリカ国民はクルド人と共に生きるべきです。ご存じのとおり9月11日のテロ攻撃はアメリカの人々に対して行われました。彼らはこれと同様の攻撃を私たちに対して行おうとしたのです。ツインタワーであろうとセレカニエであろうと関係ありません。この2つの攻撃でアルカイダが世界に同じ脅威のメッセージを送ろうとしたのです。アメリカであろうとクルディスタンであろうと関係なく、彼らは人類に敵対する脅威なのです!このためにも、アメリカ国民、そしてアメリカ政府に、私たちへの支援をお願いしています。

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( 翻訳者:藤田昌弘 )
( 記事ID:31488 )