ロウハーニー大統領「戦争のための連合の代わりに永続的平和について考えるべき」
2013年09月25日付 Jam-e Jam 紙

ロウハーニー大統領の演説全文

〔前略〕

 イラン国民は先の選挙で、その思慮深き動きを見せ、希望と深慮、穏健の言説に票を投じた。外交政策における希望・深慮・穏健とは、イラン・イスラーム共和国は地域の大国として、地域と世界の安全に対して責任ある対応を行うということ、この領域で責任あるその他のプレーヤーたちと、多角的・全面的な協力を行う用意があるということを意味している。

 われわれは民主主義と投票にもとづいた平和が、世界のあらゆる場所で、特にシリアやバーレーン、その他の地域諸国において確立されることを支持し、世界的危機に対して暴力的な手段で対処する余地は存在せず、人間的英知と相互協力、そして穏健な立場によってのみ、人類社会の厳しい現実を克服できると信じる者である。つまり、軍国主義によって平和と民主主義が保証され、世界のすべての国、中でも中東諸国の正当な権利が確保されることはないのである。

 イランは諸問題の解決方法を模索しているのであり、問題を作り出そうという意図はない。希望と中庸、相互尊重、そして暴力と過激の否定によって解決できないような問題は存在しない。

 ここでイラン核問題について言及させてほしい。イランの当然かつ合法的な権利を受け入れることが、炯眼なるイスラーム革命指導者のお言葉によれば、この問題を解決する最も簡便なる方法である。これは政治的スローガンではない。そうではなく、イランにおける技術状況、国際情勢、そして何も生みださないようなゲームを止めて、共通の理解と安全を手に入れるための共通の目標と利益を見出す必要性、こうしたことへの深い認識に基づくものである。別の言い方をするならば、イランとその他の国々は、二つの共通の目標を、イラン核問題の政治的解決方法の不可分な二つのピースとして、追い求める必要があるのである。

 1.イラン、そしてその他の国々の核計画は、もっぱら平和目的に向けられたものでなければならない。私はここで明言するが、この目的こそ、その他のプレーヤーの立場とは関係なく、イラン・イスラーム共和国が目指しているものであり、これからもそうあり続けるだろう。核兵器や大量殺戮兵器はイランの防衛ドクトリンにいかなる位置も占めてはいないし、われわれの基本的な宗教上・倫理上の信念とも背馳するものである。われわれの国益は、イラン核計画をめぐるあらゆる論理的懸念を払拭させることを求めている。

 2.第二の目標、すなわちイランの領土内でのウラン濃縮の権利や、その他の核に関する権利の行使が受け入れられることが、第一の目標〔=核エネルギーの平和利用〕を確保する唯一の方法である。核技術はイランにおいてすでに国産化しており、中でも濃縮技術は大量生産段階に達している。それゆえ、違法な圧力の行使を通じたイラン核計画の阻止によって、こうした計画が平和目的であることを保証することができるという考え方は幻想であり、まったくもって非現実的である。

 それゆえ、イラン・イスラーム共和国は自らの権利の行使と、こうした権利の行使に対する国際的な尊重と協力の必要性にこだわりつつ、完全なる透明性の確保を通じた互いの信頼醸成と双方の疑問点の解消に向けて、遅延なく対話を行う用意があるのである。

 イランは相互尊重と他国との共通の利益にもとづいた建設的な対話を求めているのであり、この枠組みにおいて、アメリカ合衆国との緊張増大を目指してはいない。私は本日のオバマ大統領の演説を正確にフォローした。アメリカの指導者らが政治的決断を下し、好戦的な圧力集団の利益追求を自制するならば、〔意見の〕不一致・対立をマネージするための枠組みを手に入れることが可能となるだろう。この枠組みにおいては、対等な立場、相互尊重、そして国際的に認知された正当な諸原則こそが、その基礎とならねばならない。もちろん、このことでわれわれがアメリカに期待しているのは、彼らから統一したメッセージを聞くことである。

 ここ数年、「戦争の選択肢もテーブルに乗っている」といった声が支配的だった。しかし今日、こうした無意味で不法な意見に対し、私は「平和は手に届くところにある」と言いたい。イラン・イスラーム共和国の名の下で、まずは次のような提案をしたい。すなわち、「暴力と過激主義に反対する世界」計画を国連のアジェンダに位置づけてはどうか、全政府と国際機関、及び市民団体は世界をこうした方向へと導くために、新たな試みをしてはどうか、という提案である。

 世界各地で「戦争のための連合」を目指す意味のない選択肢の代わりに、世界中に「永続的平和のための連合」〔を結成すること〕を考えるべきだ。今日イラン・イスラーム共和国は、あなた、そして全国際社会に対し、さらなる一歩に踏み出すよう呼びかける。「暴力と過激主義に反対する世界」を、である。

〔‥‥〕



本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介されています。

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( 翻訳者:白糸台国際問題研究所 )
( 記事ID:31536 )