チュニジア:新政権形成に向けた対話が始まる
2013年09月30日付 al-Hayat 紙

■チュニジア:新政権形成に向けた対話が始まる


【チュニス:ムハンマド・ヤースィーン・ジャラースィー】

今週中に国民対話の諸会合の発足が待たれている。その会合には左翼野党勢力、自由主義野党勢力に加え、連立与党が集う予定である。連立与党は、イスラーム復興運動「ナフダ」が率いている。また国民対話の開始は、ナフダ党がロードマップを受け入れたのを受けてのことだ。このロードマップは、政治危機の解決の為に(国内最大の労働者組織である)チュニジア労働総連が提案したものである。この政治危機とは、イスラーム主義者に反対する国会議員のムハンマド・ブラーヒミーが2カ月以上前に暗殺されて以来、チュニジアに行き渡っているものである。

チュニジア労働総連は一昨日、ナフダ党からロードマップの内容を受け入れたとの内容のメッセージを受け取った。ロードマップは、対話を提案する組織が提案したものであり、メッセージは、ナフダ党がすぐさま国民対話に入る用意があるというものである。

また、チュニジア労働総連の幹部であるサーミィ・ターヒリーは本紙に、以下のように語った。「労働総連とスポンサーの組織は国民対話の新しいラウンドの日程を設定する為に、政党や団体や国民的な組織と協議や連絡を開始した。ターヒリー氏は、現政権は次期政権について合意ができた直後に辞任すると約束するだろうと指摘した。

また、労働総連、企業家たちの組合、弁護士組合、人権保護団体が提案したロードマップには、以下の内容が含まれている。「有能な人びとからなる政府を編成すること、その首班となる人物が、愛国的で無所属な者であること。そして、この政府の構成員は、次の選挙に立候補しないこと。また、新政権は、国を動かす為の完全な権限を持っていること」。そして同時に、この提案は首班となる無所属の愛国的な人物がだれなのかで合意する必要があると強調している。しかし、救済戦線と連立与党は、提案を受け入れ、国民対話を始める為に行われている色々な準備がされているにもかかわらず、一部の政治問題について見解の相違がある。主な相違は、次期政府の権限と、制憲議会の命運についての相違である。ナフダ運動は、制憲議会が憲法起草以外の立法権を保ち、新政権を監視する必要があると主張した。それに対し野党側は、新政権に経済の回復やテロへの抵抗で全ての権限を与えることに加え、制憲議会の任務を憲法起草と選挙法(の制定)、選挙管理委員会(の編成)に限定しようとしている。

これら提案されたロードマップが触れていない問題がある。それは、共和国大統領の地位に対する立場である。野党最大の運動である、「チュニジア呼びかけ運動」は大統領の交代を求めている。同党は現在の(マルズーキー)大統領に対し「行政能力(に欠け)、チュニジアで起きている政治危機の責任の一端を負う」との見解を取っている。しかしながら、大統領を辞めさせようとする同党意見に、救済戦線の中の同党の同盟者や労働総連は熱心に反応していない。「チュニジア呼びかけ運動」の幹部達は、自分たちのリーダーであるバージー・カーイド・スィブスィーが次の大統領にふさわしいと売り込んでいる。彼は(制憲議会の)選挙前に首相であった。

また、政治勢力やメディアは、次期首相の候補者を伝えた。しかし、国民対話を率いる諸組織や諸政党は、公式にはどの候補者の名前も明らかにしていない。その候補者の中には、アブドゥルカリーム・ズバイディー前国防大臣などの名前がある。同氏は、著名な左派野党活動家シュクリー・ベルイードが去年の2月に暗殺された後に辞任した人である。

ズバイディー氏は判事である。また彼は、世俗主義の野党にもチュニジア労働総連にも受け入れられている幸運の持ち主である。更に彼は、2年以上前のベン・アリ政権の崩壊以降、世俗主義と、イスラーム主義政権の両方で国防大臣のポストに残り続けた唯一の閣僚である。



本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介されています。

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( 翻訳者:林まり )
( 記事ID:31592 )