Mümtaz'er Türköneコラム:クルド教育問題の行方
2013年10月04日付 Zaman 紙

首相は「母語での教育の権利」を発表し皆を驚かせた。法案はこの条項で大いに期待された範囲を超え、先進的な努力へと変わった。首相はただ驚かせただけではない。同時に誤解も招いた。というのも、法案ではこの問題が現れないであろうと発言してきたからだ。平和民主党(BDP)は、大半を母語教育に関する議論に割いてきたため、法案発表後、対策を立てられず何も行うことができなくなった。

 「母語教育の権利」は私たちに特有の、国民と国家の伝統を反転させるほどの革命的なステップである。トルコ語は、単なるひとつの言語ではなく、国民と国家の上に設けられた母体となる最重要要素なのだ。この状態は変えられることなく、トルコ語の統治は続くであろう。しかし一方ではほかの言語が、クルド語を筆頭に自由に存在し、発展することが可能になっている。では、これほど先進的なステップは何を変えるに至ったのか?「母語での教育の権利」はクルド問題に終止符を打った。クルド問題とは、文化とアイデンティティーの権利として本質的にクルド語の問題であった。クルド人をトルコ人を分ける唯一の違いは言語であった。この違い が国の中で教育言語として容認され重視されたことは、今後の議論を解消することとなった。異なる母語の[承認]ゆえに、クルド人は自身を劣ったものとして感じる分野がなくなった。残るはもはや、クルド・ナショナリストたちの政治的問題のみとなっている。「[クルド人の]地位」の要求について、社会的レベルでクルド人から生じる要請により、今後、政治的な問題に対する議論のみが続くことになろう。クルド語問題が解消されたのち、政治的地位の問題を基本にすえ、主張することは、もはや難しくなる。なぜ別の地位をほしがるのか。

 BDPの「なぜ公立学校にはないのか、なぜ母語教育は有償なのか?」という不満は、この先進的ステップを受け入れ態勢のないまま受け止めたことの現れである。90年にわたって禁じてきた国が異なる言語での教育を認めたことは、どれほど説得力をもち、誠実なものなのだろうか?子供たちにクルド語の教育を受けるさせるために公立学校に行かせたい理由は何か?クルド語を嫌い、あなた方を差別化させるためだろうか?
 
 この仕事は志を要する仕事だ。実のところ、この教育が私立学校で与えられること[というのはそういうことだ]。もしあなた方の子供たちが、世の中をトルコ語とは別の言語で理解し、学んでほしいのなら、トルコ語が支配的な環境でこのことを自ら率先して行うことが最も正しいことである。異議を唱えられた問題の解決はとても簡単なものだ。国は、 母語での教育を行うこの私立教育機関を良い意味で特別扱いしなければならず、生徒の数に応じたあらゆる援助を全うしなければならない。西側諸国では、通常の私立学校のためのこのような実施例がある。国は援助をし、選択は保護者か本人が行うべきだ。

 それでは、どうなるのか?母語での教育が始まったらトルコは分裂するのだろうか?

 まったく正反対になる。分離妄想に取りつかれた人々の中で、巷間いわれることは、クルド人は母語での教育を得たならば別の民族となり、その後自分たちの国を作りあげる、といううわさだ。しかしPKK[クルド労働者党:非合法]は、「母語での教育を行えるようにするために自身の国を作る以外に手段はない」といったプロパガンダとともにトルコを分裂させようとしなかっただろうか?それではクルド人にとって母語での教育はどれほどの魅力を持っているのだろうか?数学、歴史、地理学をクルド語で学ぶということは、必然的にクルド語をのみを知っている人びとの環境に押し込めるということである。個人的選択のために支配的で決定的な要素は一般社会の需要である。生業を得て暮らしを成り立たせるためにどちらの言語がより有益なのか?クルド語教育が行われる学校の数と規模は、社会の状況によって形成される需要とともに明らかになるだろう。このため国は、90年来の過ちをただし自身の市民の心をつかむために、クルド語をあらゆるレベルで支えていく必要がある。

 クルド語教育を行う学校の卒業生は何をすることになるのか?分離主義者がこの学校から出現するのだろうか、それともこの教育機関は、[言葉を教える]クルド語のコースに帰すことになるのだろうか?

 本質的問題はこうだ。授業カリキュラムから教師の人員まで、そして教科書に至るまで、専門的な試みをともなう長い準備を要するものなのだ。教育大臣は専門的な支援のために母語での教育に手を差し伸べる必要がある。

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( 翻訳者:藤田昌弘 )
( 記事ID:31608 )