Ismet Berkan コラム:70%の女性がスカーフをしている国で生きていることを知っているのか?
2013年10月05日付 Hurriyet 紙

この問題に関して行われた全ての調査が我々に示したこと。それは、トルコではおよそ10人中7人の女性がスカーフを着用しているという現実だ。

スカーフの着用方法は多岐にわたる。黒いチャルシャフ(黒衣)から「シュレバシュ」、そして私たちの母親が被っているような形まで、様々な身に着け方がある。
その選択は意識的な場合も無意識的な場合もあるが、スカーフを着用している女性に「なぜスカーフを被るのですか?」と尋ねれば、ほとんどが「信仰のためです」と答えるだろう。
さて、10人中7人、つまり70%の女性がスカーフを着用しているというが、「ホワイトカラー」層の職業には、この70%の女性は見当たらない。
なぜ見当たらないのか?答えは非常に明快だ。
私たちが差別をおこない、彼女達を見えないようにしてしまっているからだ。

政府は明らかな差別をおこなっている。スカーフ着用女性は公務員になることを認められない。かつて行政裁判所は、職場外、つまりプライベートでスカーフを着用していた小学校教師の解雇を承認した。女性のプライベートにまで口を出したということだ。

民間での差別も暗に存在している。
肉体労働や、縫製作業、清掃作業であれば、女性労働者がスカーフを着用しているかどうかは問題にならない。
しかし銀行での接客となれば話は別だ。銀行上層部で専門家や検査官として働く場合、希望する良い大学を卒業しても、スカーフ着用者に椅子はない。
ホワイトカラー層の職業において、女性の数は増加している。しかし、先述の70%の女性はこの中には含まれていないのだ。
そもそもちょっと前まで大学ですらスカーフ着用の女子大生は見かけなかった。
現在、政府はこの不平等、明らかな差別について、最低でも国家機関内で解決し終止符を打とうとしている。これがどれほど大きな社会的不平等問題であるか、見ていない、いや、見ないようにしている者もいる。
せいぜい、これは「公正発展党の支持層に関わる特別な課題」だと述べるくらいだ。
しかし、数字は明らかになっている。女性のおよそ70%が様々な形でスカーフを着用しているのだ。つまり、女性と言うときに、スカーフを着用していない30%しか考慮していない人がいるということだ。

いろいろな場所で男女平等を主張する人や団体はいるが、つぎのような意見は見られない。
「スカーフ着用を国家機関においてのみ認めるだけでは不十分だ。民間での差別も失くすべきだ」と。

その人達は、スカーフ着用者らと同じ国では生きていないかのようだ。

■忘れるな、民主化法案はゲズィ騒乱のおかげ

かつて、「そんな民主化法案なんて考えはありません」と言われていたのに、急に民主化法案が出てきた背景には基本的に2つの理由がある。

①「公正発展党は、改革主義者であり、民主主義者‐民主化推進者」というイメージを西側諸国で確固たるものにするため(ただしそのイメージはゲズィ騒乱が破壊した)。
②解決プロセスで、民主主義と自由の高まりに寄与する政策が政権側から一つもなされなかったという結果になるとマズい。

私は、トルコの歴史上初の事件となったゲズィ騒乱の役割について、ここでより重視したいと思う。ゲズィ騒乱以降、高まりつづけているのは、基本的に、より多くの民主主義と「真の自由」への要求だ。この民主化法案はゲズィ騒乱の要求には応えていない(しかも、集会ならびにデモ行進に関する法案における変更事項は、これらの権利の行使を後退させうるものであるとさえ言える)。しかし、それでもトルコ国内で政党や団体によるものではない、完全に「市民」による社会運動が政治的な結果を出し、政府に明確な対応を促したのだ。

■誰も口にしなかった大改革

さて、エルドアン首相が発表した法案に含まれていたのに、翌日この法案について、戦争でも起きたかのように、大見出しで嬉々として報じた新聞ですら、内側のページにしか記事を割かなかった、ある重要な改革がある。
個人情報保護法案だ。
そもそも、公正発展党政権は、ジェミル・チチェキが法相だった時代に、EU加盟への努力の一環としてこの改革法案を整え、議会に提出していた。しかし何年経っても法案は議会を通らなかった。
この法案を通すために何一つやってこなかった政府のとある省が、かつて、最重要個人情報である国民健康保険のデータを民間業者に販売していたことは特筆しておこう。いずれにせよ、間もなくこの法律はやってくる。

われわれの個人情報が、すくなくとも明確な法律によって他人や政府と共有されるようになるのだ;今日まで何ら規定されていなかった。たとえば家庭医が、娘が婚外妊娠してしまったと神経質になっている父親を、単に診療定数を満たすためと言って、検索にかけることだってできていたのだ。



本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介されています。

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( 翻訳者:原田星来 )
( 記事ID:31618 )