シリア避難民への医療無料化はじまる
2013年10月15日付 Zaman 紙


今までシリア人は、シリアとの国境付近の県のみで医療サービスを受けることができていたが、今後はキャンプ地での登録有無を問わずにトルコ全土の国立病院で無料で行われるという。また個人薬局から薬を購入することができるよう規定が定められた。しかしシリア人以外の難民6万人の処置はいまだ明らかになっていない。

トルコへ避難したシリア人が医療サービスを無料で受けられる機会が拡大した。今までは、シリア国境付近の11県内のキャンプに登録しているとの条件でシリア難民への治療が行われていた。今後は国内全ての国立病院にて無料で治療を受けることができる。キャンプ地の登録条件も問われない。一方、公立病院はシリア人の治療代を県庁に請求し始めた。診断と治療サービス(無料化)に加えて、シリア難民は薬局から薬を購入できる規定も定められた。最初に規定が施行されたシャンルウルファで、医師から診断書をもらったシリア人は薬局から薬を購入した。公式統計では、現在まで、シリア人に1500万回の外来診察が実施され、27万5千人が滞在していた県内の病院に搬送され、2万8千人が手術を受けた。シリア人以外の6万人の難民への医療サービスがどのようになるかはいまだ不明である。2008年 に発布された5510号の社会保険・国民健康保険法で、国際保護の申請者、資格保持者、無国籍認定者は保険の適用範囲に入っていた。しかしその根本的な運用規定が定まらず、実際には実施されていなかった。

トルコにいるシリア難民は、以前まで国境付近のハタイ、オスマニイェ、キリス、カフラマンマラシュ、ガズィアンテプ、シャンルウルファ、アドヤマン、アダナ、メルスィン、マラティヤ、バトマンで無料の医療サービスを受けていた。以上の地域のキャンプ地に登録しているシリア人は、まず最初にキャンプ内の医師にかかる。その後、紹介によってほかの病院へと送られる。しかしながら、特にシリアからの入国者による急激な増加と、彼らが大都市をはじめとしてトルコ全体に広まったことで深刻な医療問題へとなり始めた。これを受け、全81県にいる全シリア人に対して、国立病院での医療無料化が実施されることとなった。難民キャンプの登録有無は問われなくなる。治療の前に行われる監査で、もしその患者にトルコでの登録があれば問題はない。もし、登録がなくても、県警察局の担当が病院で[の対応]と同時にシリア難民の登録を行う。

国境付近外でシリア人が最も多い県はイスタンブルである。このひと月の間に、国立病院でイスタンブルに住むシリア人の治療を開始した。県全体で短期間で無料治療を受けたシリア人患者の数が100人を超えたと明らかになった。イスタンブルのある病院の院長は、「省の指示に則ってシリア人患者に無料治療を始めた。わたしたちのところには現在までで5名シリア人患者が訪れました。治療代は県庁に請求します」と述べた。病院への支払いは、災害緊急時対策庁 (AFAD)が行う。治療代と一緒に薬、人工装具、入れ歯、メガネ、聴覚器などの器具も含まれている。

シリア難民が薬を簡単に入手できる対策も講じている。難民が密集しているシャンウルファの薬局はAFAD県局との合意によって相互薬剤規定を定めた。規定がトルコ全土に広まったことに関して、トルコ薬剤師組合(TED)とAFADとの会談が進められている。

■シリア人以外の難民については不明

シリア以外の国からトルコへ入国した約6万人の難民はというと、医療サービスは受けられない。2008年に発布された5510号の国民健康保険法には 「国際保護の申請者、資格保持者、無国籍認定者」は保険の適用範囲に入る。しかし。この件について必要な運用規定が定まらないため、いまだに何もなされていない。 難民連帯組合は、これが深刻な問題へと発展したと述べ、「医療費への対応について、いくつかの県で行政指導者の先導的取組みと社会相互扶助連帯財団が取り組みを始めたが、トルコ全体で調整が行われない結果、医療サービスに深刻な問題が起こっているのである。一刻も早い解決が求められる」とコメントした。



本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介されています。

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( 翻訳者:小幡あい )
( 記事ID:31691 )