シリアからの避難民、違法労働者に
2013年10月20日付 Radikal 紙


トルコにやってきたシリアの難民が、新たな「労働力」となっている。イスタンブル各地区の間に張られたテントで暮らすシリア人は、月に700~800リラ(約3万5千~4万円)あるいは日に25~50リラ(約1,250~2,500円)で、織物業をはじめ多くの分野で何の保証もなく、また社会的権利も全く認められないまま働かされている。加えて年齢制限もない。一方で、ガズィアンテプとハタイをはじめとするトルコの各県からイスタンブルに来たトルコ人が、シリア人のように装って仕事を探し、支援を受けようとしていると言われている。

イスタンブルのシリネブレルでいくつかの地域に点在する難民たちは、皆仕事を探しており、支援を期待していると述べる。この地域で家を借りているシリア人もいる。家を見つけられなかった人はというと、いくつかの店に住み込んでいる。しかし周囲の商人と市民は、この状況に不安を覚えている。シリアから来た人の多くは、この地域の織物工房で月給750から800リラで働いている。

■子供も働かせられる

工房の他、お菓子屋や洗車場で働く者もいる。お菓子屋で働くシリア人は若くトルコ語はほんの少ししか理解できず、彼は周囲からの視線を嫌がっている。私たちがお菓子屋の店主にこの若者がどこの出身であるか尋ねると、シリア人であるというのを言おうとしなかった。違法に働く若者の月給は700リラである。また同じ地域の洗車場で働くシリア人もいる。しかし彼らも写真を撮られるのを不快に思っている。

シリネブレルで活動する匿名希望のある工房オーナーは、何十人ものシリア人が織物工房で働いていると述べた。日給制の人もいれば、月給制の人もいる。低年齢で働く人は、日給25リラを払っているという。
「私は小さな雇い主だ。違法労働者を働かせることは大きな罪になる。だからシリア人は働かせていない。しかし、多くの仕事場でシリア人は働かされている、小さい子供もだ。少ない賃金で働かせることができるから、事業者は彼らを利用する。シリア人も仕事を見つけられないために劣悪な条件で働くことを受け入れている。」
テントが張られる地域にあるバッカル(小売店)とはというと、テントに寝泊まりしているのはシリア人ではないと主張する。テントに寝泊まりしている人は多くの住民をだましていると述べたバッカル店主は、「彼らはこの地域の住民に不快な思いをさせている。思いやりある住民は彼らを支援している。食べ物、洋服と毛布のような物資を持ってきている。しかし、この人たちはガズィアンテプやハタイから来た人だ」と述べた。

6カ月前のシリア内戦のためにガズィアンテプに逃れてきたと言うシリア人は、二人の兄弟が長い間刑務所に服役しており、全く消息をつかめないと語った。「ガズィアンテプで住む場所も仕事も見つからなかった。そこでイスタンブルに移住する決意をした。妹はいま織物工房で月収700リラで働いている。織物工房のオーナーは、テントがある場所に来てそこに寝泊まりしている人を仕事場まで連れて行った。私たちの多くはこれに従うしかなかった。」

■男性シリア人の雇用は建設現場で

この地域に来たシリア人は、一般的に織物工房で働かされている。織物と機織り機を使える女性たちは、他の女性よりも少し多く稼いでいる。年齢が小さい者たちはというと手伝いとして働かされている。この子供たちの中には、織物を運ぶもの、倉庫で働く者もいる。男性はというと一般的には建設現場で働いている。建設現場ではトルコ人の未経験者は少なくとも日給50から60リラ(訳2,500~3,000円)で働くが、シリア人の日給は25リラ(約1,250円)程度である。昼食は、雇い主から支給される。

■毛布の支援がされる。

テントが張られるこの地域を私たちが訪れた時、一人の一般市民がミニバスに積んだ20~25枚の毛布をテントで寝泊まりしている難民に提供していた。その人は、自分のしていることは十分な支援ではないとして、「約1月前、2家族がここに来て、テントを作りました。しかし日がたつにつれて、数が増え始めました。私たちが行っている支援ではもはや間に合いません。行政がすぐに介入する必要があります」と述べた。



本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介されています。

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( 翻訳者:新井慧 )
( 記事ID:31735 )