トルコの中国製防空システム導入計画へ、NATO難色
2013年10月24日付 Radikal 紙

NATO(北大西洋条約機構)は、機構の戦術データリンクネットワークであるリンク16に、トルコが中国から購入を予定している防空システムを参加させない意向を示している。

トルコがミサイル購入のために中国企業と交渉を進めていることで、NATOとの関係に大きな支障をきたしている。ムラド・バヤル防衛産業政務次官は、NATOからの訪問団に対して「(NATOの)システムと同期していく」と話したが、回答は「中国製のシステムがNATOのシステムに統合されることはない。これは単なる圧力や脅しではなく、事実だ」というものだった。政府の姿勢に対するNATOの反応は、常任委員会と軍事委員会双方からで、「NATOのレーダー、衛星、早期警戒管制機(AWACS)などと関係なく、独自の範囲で使用すればいい」だった。
トルコは9月末、長距離弾道ミサイル防衛システムの入札で中国のCPMIECとの交渉を開始したと発表した。エルドアン首相は、国防産業執行委員会の最近の会議の後、基本入札価格に応じてCPMIECと交渉を開始し、システムやミサイルはトルコで共同開発とするよう協議を行うと明らかにした。これを受けて、NATO事務局とアメリカを含むNATOメンバーから反発が殺到。アフメト・ダヴトオール外相が、入札結果がまだ確定していないことや、あくまで中国メーカーが第一交渉権を持っているに過ぎないと説明し、状況の収拾に努めた。

■ 「NATOと関わらなければ認める」

約2週間かけて筆者が取材した印象によれば、この件は水面下でもかなり協議されている。さらに加盟国間の非公開の話し合いでは話がよりヒートアップしているようだ。アメリカ、ドイツ、フランスを始めとする多くの加盟国がNATO常任委員会や軍事委員会の会合で露骨に示すメッセージは、「トルコが購入するシステムを自国の管理範疇で使うのは問題ない。しかし中国のミサイルシステムがNATOのシステムを用いることはできない」である。

■ リンク16がなければ…

防空システムというのは複雑だ。ミサイルは発射台までの脅威をタイムリーに把握し、適切なタイミングで撃ち落すという性質から、海上・陸上のレーダーや早期警戒衛星、管制機(AWACS)などが必要になる。NATOは、そのほとんどがアメリカ所有の何十という衛星、何百もの変動・固定レーダーと、AWACS管制機を含むリンク16と呼ばれる戦術データリンクネットワークを保有している。このネットワークは、地球上の重要な地域においてNATO以外の航空活動を即座に把握でき、このネットワークにトルコも守られている。マラティヤにあるレーダー基地と、シリアの紛争後に配備されたパトリオットミサイルもこのネットワークの一部だ。トルコは、中国から購入予定のシステムがこのネットワークに参加できなければ独自の警戒システムを構築しなければならなくなるが、現在の早期警戒システムでは不十分だ。政府は、これから推進・生産する予定の早期警戒衛星とAWACSによって2023年までにシステム構築を計画している。つまりトルコは、早くても2023年まではリンク16なくして、中国から買う自国のシステムで敵のミサイルを瞬時に発見し、迎撃することはできないというわけだ。

■ NATOは決して許可しない

本件について多くのNATO外交官から話を聞いたが、皆示し合わせたように言うのが以下のような内容だ。「問題の中国メーカーは、アフガニスタンやイラクで集団殺戮兵器の製造に関わるといった深刻な犯罪に関係している。そのような企業の技術者が、たとえ自社のシステムと統合するためであったとしても、NATOのシステムに関与することは絶対に受け入れられない。」
各企業もリスク下に置かれている。トルコは、中国とのプロジェクトにおいてソースコードの移行や共同開発によるアドバンテージを利用したいと考えている。その中でトルコ国内の防衛関連企業もプロジェクトに参加することになる。しかし、ヨーロッパの情報筋は、現在多くのプロジェクトで共に働いているアセルサン、ハヴェルサンといった企業が中国企業と仕事をすると、欧州でのビジネスにマイナスの影響が出るであろうと懸念している。

■ 統合されるか?

度重なる依頼にも関わらず、バヤル防衛産業政務次官への取材は叶わなかった。イスメト・ユルマズ防衛大臣は、上述のメッセージを昨日ブリュッセルでのNATO会談で第一に聞かされたはずだ。バヤル氏や他の政府関係者と面会し、「NATOのシステムとの統合はできないだろう」という見方の根拠を詳しく説明したという外国の外交官いわく、バヤル氏の回答は「我々はやり遂げる。統合にこぎつける。心配無用だ」だったという。これに対して欧州の外交官は、「技術的には実現可能かもしれないが、そのためには中国人技術者がNATOの技術者と共働し、NATOの秘匿情報を入手する必要がある。NATO加盟国はこれを絶対に受け入れないだろうし、このようなことが実現することもないだろう。こういった姿勢はトルコへの圧力や脅しではなく、事実として存在している」と話した。

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( 翻訳者:湯澤芙美 )
( 記事ID:31783 )