Sedat Erginコラム:エルドアンの「保守派」ドクトリン
2013年11月08日付 Hurriyet 紙

レジェプ・タイイプ・エルドアン首相は、2001年に起訴を受けた同胞たちと共に公正発展党(AKP)を結成した。その後、社会の広範囲に渡って安心感をあたえた。

権力の中枢に向かって開放政策を進める際には、大学生の男女が一つの家で暮らすということがトルコにおいて最も重要な倫理的問題の一つと自身が見なしていることに言及しなかった。

エルドアン首相が権力の座についてから11年経ったが、トルコはこのような話題で認知されている状況である。大学生の男女が一つの家で暮らすことについて、まず立ち入る必要性のある倫理的な問題としてみなし、それを防ぐために知事たちに指示をだし、解決に向けて必要であれば法整備まで持ち出す首相エルドアンが今ここにいる。

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問題は第一に、民主主義の透明度や予測可能性の原則と関係している。公正発展党は、党のマニフェストや選挙政策においても、この問題に触れなかったのである。このように世論に向け発言せずに、後になってその問題を取り上げるというケースがここ最近増加している。たとえば、4+4+4教育制度を含む法整備の重要部分はまったく世論に約束された目標ではなかった。

公正発展党の獲得票が増加するとともに、エルドアン首相の保守的世界観の延長として、記憶の隅にあった目標が一つ一つ取り上げられていっているのを目にしている。この側面で講じられるあらゆる措置は、公正発展党を自身が派生したミッリー・ギョルシュの根幹に向け近づかせている。

実際のところ、ここ何年も、エルドアン首相の活動の中でこの方向への模索が時折顔をのぞかす例が多々あった。たとえば、2004年に姦通を禁止する法制化の動きは、時のEUが「禁止するならば、加盟交渉は開始不可能」といった形の強硬な阻止により、撤回された。

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首相のアルコール飲料に対する取り組みも、このような枠組みにあるようだ。加えて、問題は、アルコール飲料の販売を制限する法律をつくるだけではないのである。過去の発言によると、首相は飲酒そのものに対しても干渉しているのだ。「こうしたことには液体状のもの(アルコール)、乾いたもの(麻薬)も、有害だ。アルコールは果物からできていないというのか。果物を食べろ…。」(2010/7/19)

特に最近の寮問題のように、若い男女関係に首相が神経質に取り組んでいることは注目に値する。エルドアン首相が2013年6月2日におこなった、ハベルトゥルク紙でのファティフ・アルタイルとのインタビューを思い出していただきたい。「地下鉄では節度ある行動を」と問題に触れ、以下のように述 べた。

「今、首相官邸に向かう際、ドルマバフチェ官執務室前で、カドゥキョイから来た人々の状況を見ています。彼らは私の価値基準には合致しませんね。」

首相はこう確認した後、さらにこう続けた。

「我々は、『兄弟よ、それをそんなふうに行ってはいけない。このルールに注意しなさい』と口にしています。誰かと立ち上がって、また同じベンチに隣り合って座り、おしゃべりをし、あれやこれやと詳しく言う必要はないのです…。」

エルドアン首相が持ち出した判決は、若い男女が公園で隣り合って座ること、それ以上先に行かないことである。

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ここでの基本的な問題は、首相自身の倫理的尺度とルールを、彼が皆に求める権限をもっているとうかがえることである。一家族に何人の子供が必要か、というところから始まって、「酒を飲まずに、ブドウを食べよう!」というメッセージを市民に投げかけたり、大学生が男女が同じ家で暮らすことを阻止するためにキャンペーンを行うほどの広がりを見せている。

自身を社会のトップに置き、与党である権力を利用することで、個人と社会を自身が持つ保守主義的尺度に向かわせることを目指す家父長的思考が問題なのだ。エルドアン首相が行った一昨日の演説は、この思考態度が現れた顕著なもののひとつだった。首相は、大学生の男女が一つの家で暮らすという話題に触れ、以下のように続けた。

「すみませんが、保守派政権の我々としては、干渉する立場にあります。これは、生活様式への干渉ではありません。私の発言を、このように受け取らないように。」

エルドアン首相の発した「私は保守派であり、干渉する立場にある」という発言に集約されるように、首相は干渉的姿勢を保守派の価値観から正当化し、この価値観こそが正しいとしているのだ。

こんな思考態度で始められるときりがない。明日、問題が他の分野で起きても、この考え方では、どんな時でも他人に干渉する姿勢に正当性を与えてしまうだろう。



本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介されています。

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( 翻訳者:加園千尋 )
( 記事ID:31914 )