ダウトオール外相、訪米―中国製ミサイル契約問題白紙か?
2013年11月18日付 Hurriyet 紙


ダヴトオール外相の一日間のワシントン滞在で、ゲズィ運動以来冷え込んでいた二国間の関係を改善する努力が行なわれた。ダヴトオール外相とアメリカのケリー国務長官は、国務省で行なわれた会談の後、友好的なメッセージを交わし、ダヴトオール外相は「二国間のパートナーシップは永遠に続く」と述べた。ダヴトオール外相は、「ミサイルの入札」について、トルコは新たな応札を待っていると述べた。

アフメト・ダヴトオール外相は昨日、5月にエルドアン首相と訪米して以来、5か月ぶりにワシントンを訪れ、午前中にペンタゴンでチャック・ヘーゲル国防長官と面会後、ジョン・ケリー国務長官と面会し、その後ホワイトハウスでスーザン・ライス国家安全保障問題担当大統領補佐官と面会した。6月に発生したゲズィ運動やシリア内戦、エジプトクーデター、トルコ‐イスラエル間の危機といった問題により二国の関係が冷え込んだことを受けて行なわれた今回のアメリカ訪問で、ダヴトオール外相とケリー国務大臣は45分間の記者会見を開いた。会見で二人は友好関係をアピールし、トルコとアメリカのパートナーシップは続いていくこと、二国間の氷は解けたことを強調した。

■我々の協力関係に疑念はない
ヘーゲル国防長官との午前中の会談では、シリアの脅威とトルコが中国から購入予定のミサイルに重点が置かれた。会談後、ペンタゴンは文書による声明を出し、ヘーゲル国防長官は米‐トルコ関係とNATOを支えるためにダヴトオール外相と面会したこと、アメリカがトルコに配備したパトリオットミサイルの任務期間を延長したことを明らかにした。この会談に関して開かれた記者会見は、当初45分間の予定であったが延長された。会見では「パトリオットの配備期間の更新は、防衛目的であり、今後もそうであり続けるだろう。これは二国の連帯の具体的なしるしである」と述べられた。一方、トルコの中国製ミサイルの購入には言及されなかった。

その後ダヴトオール外相はブルッキングス研究所で「グローバル、ローカルな変革の時期のトルコ外交:展望と障害」という講演を行い、「時折(アメリカと)協議したり、トルコの外交政策のポジションを調整する必要がある。しかしアメリカとトルコは常に共に在り、そのことに疑いはない。これが我々の連帯の根幹である」と述べた。

■あらゆる事について話し合った
ダヴトオール外相とケリー外務大臣は、午前中の会談の後、記者達の前に現れ、共同記者会見を開いた。45分間の会見で二人は次のように語った。

□米土関係
ケリー国務長官:アフメトと私は数多くの事項について非常に緊密に取り組んでいる。トルコとイスラエルの接近、シリアやほかのグローバルな事項など。米土関係は多くの様々な段階において極めて重要であるため、私はこの会談に大変満足している。シリア問題やイラン、中東和平プロセス、NATOの将来、もしくは二国の経済繁栄など、アメリカとトルコは同じ戦略的目標を共有している。
ダヴトオール外相:もちろん、我々には時に意見の調整や更なる協働が必要になることがある。しかし二国間の模範的なパートナーシップは永遠に続き、国際社会にとって重要な存在の一つになるだろう。我々の間では、常に直接的で、真摯で、友好的で時に率直な対話が行われている。我々に仄めかしなど必要ない。ジョンと何度面会し、何度電話で話したか覚えていないが。ある時、ジョンと3回電話で話したことがあった。すると妻は私に「わたしもあなたと話し合うときは電話した方がいいかもしれないわね」と言った。

□シリア
ケリー国務長官:シリアに関する米土共通の目的は、流血を止めることである。そのために両陣営を交渉のテーブルにつけなくてはならない。我々は、現地で進んでいる過激化をどうすれば防げるか検討した。この問題はシリアの未来だけでなくトルコのような近隣諸国をも脅かしている。さらにシリア国内の恐るべき人道的状況についても議論した。アサド体制は今、飢餓を武器として利用している。これは戦争法に反している。
ダヴトオール外相:今シリアの流血を止めるため、ジュネーヴ2(会議)での交渉を成功させるためにあらゆる努力をすることで合意した。特にシリア国民連合がこのプロセスに参加するよう、共に働きかけていくことを決定した。シリア国民連合のジュネーヴ2への出席は、(アメリカとトルコとして)我々の連携プレーの成果である。

□イラン
ケリー国務長官:トルコはイランを交渉のテーブルにつかせた制裁の実行にあたって重要な役割を果たした。イランに決して核兵器を保有させないために(トルコと)一体となる必要がある。
ダヴトオール外相:我々はトルコとして中近東地域のいかなる国にも核兵器の保有を望まない。しかし同時に原子力の平和的利用を支持している。我々はこの二つの方針のもと、P5+1とイランとの交渉を常に支持する。オバマ大統領の対イラン政策に大変満足している。トルコとしてこのプロセスを支持することを保証する。そして緊張を解消するため、自らに期待されていることを実行する。

□イラク
ケリー国務長官:トルコがイラクと行ったハイレベル会談もイラクだけでなくシリアにとっても重要である。
ダヴトオール外相:イラク訪問は二国の関係の修復だけでなく、イラクと中東地域の人々に、中東地域の宗派対立を防ぐためにトルコはあらゆる努力をするということを示すためにも重要であった。

□凍結した紛争
ケリー国務長官:何カ月もの間トルコと、キプロスやカラバフの問題を話し合っている。キプロスのトルコ系住民とギリシャ系住民の交渉人たちは着実に前進している。両者にこの機会を生かし、包括的な会談を再開するよう呼びかけている。また私はこの72時間以内にアゼルバイジャンのアリエフ大統領とアルメニアのサルキシャン大統領に会った。彼らは間もなく面会するだろう。
ダヴトオール外相:キプロスやカラバフの凍結した紛争が、早く解決することを願っている。アメリカとトルコが(カラバフの)問題を同じ視点から見ていることを嬉しく思う。

□民主化
ケリー国務長官:アメリカは、特に歴史的なクルド和平プロセスに勇気づけられた。そしてトルコが数多くの国内改革について行なった発表は、トルコ社会をより開放的で自由にするだろう。報道の自由や集会の自由の強化は、トルコの一体性を強化する。アメリカとトルコのパートナーシップもそうした価値観に基づくものである。

■ミサイルのことは忘れて
アフメト・ダヴトオール外相のワシントン訪問における最も重要な議題の一つは、トルコのミサイル防衛システムの入札で中国のオファーが一番になったことであった。アメリカ政府はトルコ政府に対し、これ(中国製ミサイルの購入)に関し深刻な懸念を伝えたと発表した。そのため、今回ヘーゲル国防長官との面会でもケリー国務長官との面会でも、このことが議題となった。ダヴトオール外相は、アメリカ国務省を出る際、トルコのメディアに対し行なった会見で、トルコは新たな応札を待っていると発表した。ダヴトオール外相は次のように述べた。
「(ケリー国務長官と)食事の席でミサイル防衛システムに関して話した。決して、不快な形ではなく。この事項に関するトルコの客観的な判断基準や、これまでの経緯を話した。彼らも自らの考えを話した。我々はアメリカの企業もヨーロッパの企業も最初からプロジェクトに関するトルコの期待を知っていたこと、そしてもちろんそれを歓迎する形で…最終決定は下されていないことを強調した。彼らも(入札のための)取り組みを続けると言った。不快な話題、もしくは意見の決裂などは一切なかった。新たな応札を受け付け、検討し直す。」

■イランに関する協議が増加
 ダヴトオール外相のワシントンとの接触において、イランの重要性が増している。ケリー国務長官は、先週ジュネーヴでイランの核プログラム停止を目指し正式な形で初めて開かれた協議の終了後、トルコの貢献に感謝した。このため、ダヴトオール外相と代表団の面会の席を設けたケリー国務長官には、イランとの交渉を担当する国務省のナンバースリー、ウェンディー・シェルマン氏も同行した。水曜日にジュネーヴでの協議の再開を控え、ケリー国務長官とダヴトオール外相は会食も共にした。シェルマン氏も同席した。

■サーレ・ダヴトオール夫人も
ダヴトオール外相が日曜日の朝ワシントンに到着したとき、サーレ・ダヴトオール夫人も一緒であった。サーレ・ダヴトオール夫人は、ブルッキングス研究所で夫の講演を聴いた後、ワシントンのトルコ大使館の邸宅でナムク・タン大使の妻フュゲン・タン夫人主催の「女性に対する暴力の防止」と「家族・社会政策」に関する催しに出席した。

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( 翻訳者:篁日向子 )
( 記事ID:32024 )