北イラク・クルディスタン産石油、輸入交渉最終段階へ
2013年11月19日付 Hurriyet 紙


エネルギー天然資源省のタネル・ユルドゥズ大臣は、イラクのクルディスタン自治政府(KRG)との間で結ばれる石油協定に関して、イラク政府を巻き込む形で調整を行ってきたことを明らかにした。

ユルドゥズ大臣は、(トルコ国内)公的銀行3社のうち1社で開設される口座に石油の収益が集められ、イラク政府に83%、クルディスタン自治政府に17%の割合で届けられると話し、「銀行口座の取引領収書は、イラク中央政府に毎日金るようにしたい」と話した。

ユルドゥズ・エネルギー天然資源相は、新パイプラインを通してイラクのクルディスタン自治政府から[トルコ南部の町]ジェイハンまで送られる石油に関する調整が最終局面を迎えたとする中、イラク中央政府を取り込んだ構想を発表した。イラク政府分が石油の量や収益の問題に気をもんでいると話すユルドゥズ大臣によると、イラク政府の要望があれば、石油の生産現場に(イラク政府の)監視員を置く事が認められるという。また、石油の収益はトルコの公的銀行に集められ、そこからイラク政府に毎日取引領収書を送ることになる。収益は83%がイラク政府、17%がクルディスタン自治政府に分配される。

■隣国の石油を見逃せば歴史的怠慢になる

トルコが国際エネルギー機構の今期議長国を務めているため、ユルドゥズ・エネルギー天然資源相はおよそ40カ国のエネルギー担当大臣や世界の巨大エネルギー関連企業が集結する会議の議長としてパリへと向かった。パリで今回の話題に触れたユルドゥズ大臣は特に、イラク・クルディスタン自治政府のマスード・ バルザーニー大統領がディヤルバクルを訪問した以降の、石油協定が結ばれようとするこの最終局面に関して、次のように話した。

「もしトルコが隣国で産出される石油やガスを見て見ぬふりをすれば、エネルギー政策(の理念)に反する行動を取ったことになってしまう。歴史的怠慢だ。怠れば取り返しのつかないことになる。トルコは、行動をもってイラクの正常化の実現に働きかけている。私たちは法治国家だ。イラク憲法に敬意を払うかたちでこの話を進めなければならない。石油の収益分配の83%対17%という割合は、イラク国民自身が決めてこうなった。北イラクから供給される全石油の売り上げはトルコの公的銀 行に一括しようと伝えた。承認ももらった。私たちはこれを実行し、イラク政府はこれに満足するだろう。」

■借りを返す

ジェイハンまで届けられるクルドの石油について、価格の観点からトルコにはメリットがあるのかどうかという質問に、ユルドゥズ大臣は次のように答えた。

「他の(ルートで輸入される)石油とは違わなければならない。それについて交渉している。ガスにおいても、違いはあって然るべきだ。今回の目的のひとつは、イラクとの間で結んだ協定(で扱われる)産品ひとつひとつがトルコにおける[価格形成の]仕組みと、市場価格を下げることにある。単なる資源調達と見るのは誤り だ。取引先を広げ、輸入国を増やし、価格競争をより加速させなければならないのだ。皆さんは国として経済成長をすでに目標と掲げたが、エネルギー分野については『良きタイミングが来るのを待ちましょう』と言っている。これではだめだ。トルコの政治に対し、エネルギー分野で借りがある。アッラーの思し召しのままに、我々はその借りを返そう。」

■トルコがエネルギー分野をリードする

トルコは、世界にその名を轟かすエネルギー機構、国際エネルギー機関(IEA)の議長国として2年間活動中だ。ユルドゥズ大臣は昨日、パリでIEA諮問会議の議長を務めた。会議は2年に一度行われている。ユルドゥズ・エネルギー天然資源相は、IEAについて「トルコが議長国を務めることは今重要な意味がある。トルコが発信する主たるメッセージのひとつは、世界で13億人に上る電気のない生活を送る人々に、電気を届けることだ。そしてもう一つ強調すべきは、 気候変動に関することだ。我々が主体となって、温室効果ガス排出を抑える政策に重点を置く。」

〈中略〉

■100km先の石油を見逃すはずがない

ユルドゥズ大臣は、北イラクのプロジェクトに関し次のように話した。

「地中海にある石油については『全てキプロスの住民のものであり、分配されてしかるべきだ』と話した。イラクについても同じことを話している。トルコ側が産出量を測定するのが必須で、イラク中央政府と国際機関両方から派遣された監視員が常駐するのが良いと提案している。不審行為の疑いが出た場合は、我々は調査権を行使する。トルコは裏でコソコソするような国ではない。石油が5000km、天然ガスが 7000kmも先から送られてくるのが当たり前の世界で、[わずか]100km先で石油やガスを見逃すはずがないでしょう。」

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( 翻訳者:池永大駿 )
( 記事ID:32035 )