皮革業者の目は日本に―2014年日本・トルコ自由貿易協定調印へ
2013年12月15日付 Radikal 紙


トルコは2014年に日本と自由貿易協定に調印する。皮革製品販促グループのレミ・トルナイ会長によると、協定締結後には(現在)1億ドル規模である輸出が6倍に増加するという。

トルコ・日本間で2014年に自由貿易協定が調印される。日本は皮革製品の輸入において、128億ドルで5番目の輸入国である。トルコの日本への皮革製品の輸出はというと、たった1億ドルだ。皮革業者は、日本最大の小売業者がすでにトルコで事業を始めたために色めき立っている。皮革製品販促グループのレミ・トルナイ会長は、輸出が(調印後の)最初の年ですら6倍に増加すると見ている。トルコの基幹産業の1つである皮革製品の発展について、トルナイ会長と話した。トルナイ会長は、皮革製品部門におけるイメージ変化の周知のためにデザイナーのハティジェ・ギョクチェ氏と実現させる予定である「アナトリア8」プロジェクトと、同部門の問題点について説明した。

-皮革業者はもっとも古い部門の1つです。トルコは約20年前にはヨーロッパの未加工革生産の中心地となりましたが、現在は?

20年前には、カズルチェシュメなどの地域で悪条件のもと生産が行われていた。適正化の過程とともにトゥズラやチョルルのような工業地域に移った。現在では14の工業地域がある。世界基準で、環境問題に敏感で自然を尊重した生産構造を持っている。トルコは最大のキャパシティを持つ国の1つである。トルコに中国、インド、パキスタンなどの国々が続くが、技術的には全く不十分だ。

-この部門の規模は?

40万人が従事し、2万以上のプラントを持つ部門だ。皮革製品は輸出品目の中では24番目だ。クオリティについてはわずかな問題もなく、シャネルからルイ・ヴィトンまで世界の巨大ブランドの製品を作っている部門だ。

-輸出額はどのくらい?

皮革および皮革製品の部門は、2012年に35億ドルの輸出を行った。2013年にはこの数字は4億ドルになるだろう。これに旅行者を含めて言われる、CISへのスーツケースも含めると輸出は6億ドルに達する。

-デザインとブランド化については現在どのような段階に?

ブランド化は皮革部門にとって難しい問題だ。巨大な部門だからだ。各企業が努力を行っている。例えば、デサ社はロンドンに店舗を持っているが、コストがかかり難しい問題だ。しかし我々が作り出している付加価値は、半製品の状態に変えるためのデザイン、イノベーション、R&Dの試みからなっている。世界中でトルコの革を紹介するためのフェアもスタート段階だ。

-皮革製品販促グループとしては、どのようなことを?

トルコには様々な製品を紹介する14の販促グループがある。我々はその最初の1つで、2005年に設立された。我々の仕事は、代表している製品グループを外国に紹介すること、輸出増加のための支援を行うことだ。デザインコンテストやフェアは最も重要な試みだ。イタリア、ロシア、中国を市場として目指している。新たな標的は日本だ。

-日本を標的としている部門は数ありますが、具体的な対策は?

2014年に自由貿易協定が調印される。8月になるだろうが、これが決定的な貢献を果たすことを期待している。現在日本の高島屋、西武、イオンなどの小売業者がトルコに集まっている。イオンは中流、あとの2社は高級品で仕入れを行っている。そのおかげで1億程度でしかない我々の輸出額は、1年以内に5・6倍に増加する。日本は文化的に家に投資を行わない。生活は外で行われ、高級品を好んでいる。

-トルコの革のイメージは?過去とてもよいといえる評判はありませんでしたが…

品質の面では、現在ではいっさい問題ない。昔は匂いがする、色落ちするなどの批判があったが、現在ではありえない。品質の面ではそれほどに完璧なレベルなのだから!ドイツではトルコの革であることが選ばれる理由となっており、オランダやスイスでも同様だ。ロシアでは選ばれる決定打だ。店舗では「我々の製品はトルコの革から作られています」と書かれている。

-ボラ・アクス、ウミト・ウナルといったデザイナーと仕事をされましたが、デザインについて新たな試みは?

ある。2014年にはハティジェ・ギョクチェとアナトリア8プロジェクトを行う。このプロジェクトの精神は、オスマン帝国以前にあった8つの文明だ。ギョクチェは、それらの文明から刺激を受けつつ、レディスとメンズの服を1つずつデザインした。帽子や靴と紹介できるだろう。近く始動予定だ。

-トルコにおける素材の輸入はどのくらい?

トルコでは素材は非常に不足している。生きた動物を輸入している。肉の消費量から入手される革の量では輸出のポテンシャルを満たせないため、輸入している。未加工革は地中海沿岸で生産されている。スペイン、イタリア、北アフリカ、イラン、アルジェリア、靴用の未加工革はアメリカ、南アメリカ、アルゼンチン、ウルグアイから来ている。製造における羊の輸入割合は、輸出の増加に比例して65~70%にのぼっている。牛革では80%に達した。

-トルコは畜産国でした。悲しむべき状況では?

我々の問題はこういうことだ。テロ事件の増加につれて村々は放棄され、バランスが崩れた。しかし皮革製品の輸出量を満たすためには巨大な農場が必要だ。現在では大グループが参入したが、今日明日で変えることはできない。しかしながら、これらの投資は食肉のために行われており、皮革は副産物だ。投資を行う企業や巨大ホールディングは、皮革も重要であることに気づき、価格に関与し始めたが、コストは非常に高い。

-将来、トルコでの未加工革の生産は終わってしまうのでしょうか?

なめし革工場では、信じられないような環境に適合しているが、コストは非常に高まっている。地域規模での奨励は行われているが、我々は皮革部門全体への奨励を望んでいる。トゥズラ、チョルルなどの地域は都市の中に留まった。トゥズラは縮小した。350軒あったなめし革工場は60~70軒に減少し、小さい工場は閉鎖した。しかし75軒の大規模ななめし革工場がある。世界のブランドの製造を行う工場だ。ルイ・ヴィトン、フェンディなどのブランドの製品を作っている。すぐに終わることはない。

■靴のクオリティは低下せざるをえない

-国内で売られている靴のクオリティはとても悪くなりました。改善策はないのでしょうか?

靴の輸出は6億ドルで、輸入は8億5000万ドル。靴の置かれた状況は以下のようなものだ。靴はなくてはならないものだ。革のジャケットは持っていなくても普通だが、靴は必須だ。トルコにおける靴の消費はとても落ち込んでいて、一人あたり1.75足。ヨーロッパやアメリカなどの国々では、一人あたり3.5~4足だ。トルコにおける所得分布は非常にばらばらだし、若者や子供が多すぎる。若者や子供の靴は頻繁に消耗するが、安くなければならない。ミグロスからBİMに至るまで、どこでも靴を売っている。大量に売っている。

-ブランド品でも品質は非常に落ちましたが…

我々の会員でインジ・クンドゥラ社を所有するアリ・ムラト・クズルタシュ氏は、「店舗で購入する人は100リラ以内で買うことを望んでいる。これを超える価格帯は5%だ」と言っている。製造コストの問題から、安価な靴を作ることはできない。このような状況なので、あなた達は中国から輸入している。

-品質の悪い靴は結局ブランドに害をもたらすのでは?ブランドには革があっても、売っている靴は革製ではありませんが…

もちろん、あらゆる意味で悪い。しかしこの世界的な進展に立ち向かうことはできない。世界の貿易の中で、皮革の占める規模は2250億ドルで、このうち50%は靴の貿易によるものだ。革製品の中で、我々がもっともいいポジションを確保できる場所は靴だ。このことに興奮しているが、この貿易のうち50%は合成繊維であり、革ではない。



本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介されています。

Tweet
シェア


この記事の原文はこちら
原文をPDFファイルで見る
原文をMHTファイルで見る

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:永山明子 )
( 記事ID:32293 )