Ismet Berkan コラム:収賄捜査をめぐる「思考停止」
2013年12月21日付 Hurriyet 紙
何よりもまず答えられなければならない質問がある:贈賄・収賄容疑は確たる証拠に基づくものなのかどうかだ。
他の全ての質問はこの答えが明らかになってから質問され、答えが求められるものである。
しかし政府は国民の知恵を、頭脳を、洞察力を侮辱し、全く別の質問をしている。そしてその質問に答えることを優先させている。この贈収賄容疑は政府を無力化し、さらには政府に対して「政治的捜査を実行する」ためにかけられたと言われている。
もしもここ数日動きが続いている贈収賄容疑でこれらにかかわる証拠の一部でも十分に確実でないならば、容疑に中身がないならば、政府は正しい。しかしこれを主張するためにも、まずはその容疑が本当かどうか確かめられるまで待たなければならない。
■「一斉捜査は政治的なものだ・・・」
当然政治的だ。4人の大臣や与党の有力な市長、与党との結びつきが知られている実業家たち、官僚の名前が挙がるような捜査は当然政治的なものだ;政治に影響する。トルコにおいても影響するし、パタゴニアでも、ミクロネシアでも、だ。
しかし人生は政治だけでできているわけではない;政治が他の何よりも大事な仕事ではないのだ。贈収賄の容疑がもし正しいのなら、政治に影響を与えるどころか、政治(の先行き)を決定するはずである。
■「これらの容疑をかけた人たちには目的がある・・・」
当然ある。あなたはお友達だけに囲まれているわけではない;あなたを排除しようとする人たちがいることは政治の自然の摂理だ。あなた方は正しくあらねばならないし、さらには政治的敵対者たちよりも正しくなければならない。
そして嫌疑をかけるようなチャンスを誰にも与えてはならず、
このような嫌疑が不確実なものであったとしても、その対象にさえなってはいけないのです。
■「しかし平行した構造は許されない・・・」
当然許されない。しかしあなたがこの「平行した構造」の存在に2013年12月17日まで気づかなかったのなら、あなたはもともと政府となる資格がないということだ。いや違う、この構造を昔から知っていながら見て見ぬふりをしていたなら、今日非難をするためには列の最後尾に並ばなければならない。
■「裏には外国の力がある。ハルク銀行を標的とし、イランとの貿易を妨害しようとしている・・・」
本当に外国の力があるとしよう。彼らが「ドル札」を持ってきて家に返したというのか。彼らが何百万ドルものお金を箱の中に積み上げたというのか。
■「警察は職権を濫用した。上司には黙っていた・・・」
むしろ黙っていてよかった。知らせていたとしたら罪を犯していただろう。今日まで知らせながら罪を犯していたのだから。まさにこれこそ政府がEUに歩調を合わせようと作った法律の求めるところだ。司法警察が警察での自分の上司にではなく、検察官の指示で動くこと、検察官からのみ指示を受けること。
■「私たちは捜査を最終段階まで行ってほしい・・・」
いや、皆さんは望まないでしょう。望んでいたなら捜査を行う警察を、自らも捜査されている大臣の命令で辞めさせはしないでしょう。捜査が今後健全に進み、できる限りのところまで達するかついて、世間に、とりわけあなた方に投票した有権者たちに疑いを抱かせた状態でこれからは生きていくことになるのだ。
■「大臣たちに対する適切な対応を見ることになるでしょう・・・」
とても遅い。この会見が行われることすら、いかに遅いかを示している。大臣たちは子供たちが逮捕された日、最初の数時間のうちに辞職するべきだった。時間が経てば経つほど、もしもあるならば贈収賄の容疑の個人による罪という性質が薄れ、大政党を、与党に対する疑いが増す。
もう一度最初に戻ろう:まず答えなければならない質問がある:「贈賄・収賄容疑は確たる証拠に基づくものなのかどうか」
この質問より先に他の質問をすることは思考停止状態ということだ。
これらの質問をする人たちの思考は停止している。ならばせめて、私たちの知性や洞察力を侮辱しないでほしい。
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( 翻訳者:南澤沙織 )
( 記事ID:32350 )