Murat Yetkinコラム:エルドアンの怒りと窮余の選択―収賄捜査
2013年12月21日付 Radikal 紙

エルドアン首相の怒りは、選挙3ヶ月前の衝撃が公正発展党(AKP)の印象を傷つけるもっとも弱い環に直撃したことだけに起因するものではない。

検察官や警察官、軍人はこのような作戦に名前をつけることを好み、そのことで一種の職業的な満足を得ている。タコ作戦からタバコ作戦、エルゲネコン作戦に至るまで、これらの名前は訴訟の過程の間中付きまとう。しかし今回の作戦には、1つもコードネームが付けられなかった。ただ「疑獄に関する作戦」とだけ呼ばれている。

なぜなら、もし訴えが正しければ、本当に大きなことだからだ。トルコ史上最も大きな汚職捜査であると考えられる。イランのアゼリー人実業家レザー・ザッラーブ(後のルザ・サッラフ)への金売買によって得られた金銭を、政府のコントロール下にあるハルクバンクを通してアメリカの制裁下にあるイランに送金するにあたって、複数の閣僚を関与させるためにばらまかれたと言われる賄賂の金額は、訴えによれば1億3700万リラを超える。

エルドアン首相の怒りは、重要な選挙まで3ヶ月となったAKP党内外のイメージを傷つけるこの衝撃が、最も弱い環、汚職にぶつけられたことのみに起因するものではない。同時にこの作戦が14ヶ月という期間にわたって法相や内相の鼻先で、感づかれることすらなく行われていたこと、ムアンメル・ギュレル内相の息子バルシュを含む3閣僚の息子が関わっていたことも、その原因だ。怒りは、部分的にはこの理由によって―軍が圧力を受ける際に最も大きな役割を演じた―警察にもぶつけられている。

政治の舞台裏では次のような問いが行われている。イスタンブルの検察官の指示によってイスタンブルからやって来た警察官は、ザフェル・チャーラヤン経済相の息子サリフ・カアンの家を、介入拒否権を持つ父親のものであるため捜索しなかった。ではギュレル内相がこの作戦について情報を得ていたならば、息子の家にある書類を父親の家に移したり破棄させたりしただろうか?現状において、これは悩ませられるが正当な問いである。

ケマル・クルチダルオール共和人民党(CHP)党首によると、各紙に掲載された通話記録において、ギュレル内相が息子に「気をつけろ、聞かれている可能性がある」と言ったということも、もし事実であれば罪の存在を示すものである。これを理由に、クルチダルオール党首はまだ閣僚の座についている4大臣を「恥知らず」と糾弾している。現在までギュレル内相からの声明はなかった。チャーラヤン経済相は「何もない」として重要視していない。エルドアン・バイラクタル環境都市整備相は「遺憾である」と表明した。唯一書面によって詳細な見解を出したのは、エゲメン・バウシュEU相で、昨日(21日)のことである。バウシュEU相は、訴えは陰謀であるとみなして自身は潔白であると述べた。

今年の始めまで文化観光相を務めたAKPイズミル選出のエルトゥールル・ギュナイ議員は、昨日(21日)ツイッターのアカウントで辛辣な言葉を述べた。内相に言及し、捜査で名前の挙がった大臣に関して警察における担当部署を変えさせたことは捜査への介入を意味すると述べ、言及されている大臣たちが最初の仕事として辞任したことが必要であると述べた。ギュナイ議員は、このようにして実質的にAKPと袂を分かったが、同時にエルドアン首相のジレンマを指摘した。内閣改造となるのか?言及されている大臣ら以外も解任するのか?

エルドアン首相は実のところ、3月30日の選挙のため3閣僚を市長候補として、代わりの大臣を指名する予定だった。このようにして内閣改造の枠組みを拡大しようとしていたとも言われている。面白いのは、この数日間、AKPから出た話として「その大臣らは実際(候補の)リストに載っていた」という言葉が舞台裏に広まったことだ。

この情報がしっかりしたものかどうかが議論される。さらにエルドアン首相を知る人々は、これらの議論が続く一方で名前の挙がった閣僚の1人でも解任されれば、世論からは首相自身の失敗とみなされるだろうと懸念しているとわかっている。同じくエルドアン首相は、閣僚らをこのように訴えられている状況で内閣に残すことが、政府内における、また特に投資の観点からは政府外における評判をさらに傷つけるだろうことを知っている。さらに、このような議論が続く中で、これらの人物を内閣のリストに載せ、大統領官邸の賛同を求めることがアブドゥッラー・ギュル大統領を悩ませるだろうことも知っている。

首相は現在内閣改造の問題(12月22日~24日)をパキスタン外遊の後、来週に延期したと見られている。忠告を「陰謀」とみなして、帰国するまでにこの件が「汚職捜査」の枠組みを脱することを望んでいる。しかし最近トルコではそれほどに予測不可能なことが起こるので、人は日の出までに何が生まれるのかと言わずにはいられないでいる。

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( 翻訳者:永山明子 )
( 記事ID:32357 )