Murat Yetkinコラム:CHPの地方選挙候補にみる選択
2013年12月24日付 Radikal 紙

ケマル・クルチダルオール共和民主党(CHP)党首は、もっぱら左に傾きながら実際は中道政党であるCHPを飛躍させることはできないとわかり、結果に焦点をあてている。

CHP党議会が日曜日に行った長いミーティングの後、2014年3月30日の地方選挙のための3大都市の候補者を確定した。イスタンブルはムスタファ・サルギュル氏、アンカラはマンスル・ヤヴァシュ氏、イズミルはアズィズ・コジャオール氏となった。

CHP支持層の観点から、アズィズ・コジャオール氏の擁立を不審に思う点はない。公正発展党(AKP)の踵にある「とげ」のようにとどまるイズミル広域市市長は、このプロセスにおいてはまさに、右に出る者はいない状況だった。何回も取り調べを受けた。刑務所にも入ったが汚職の疑いでその名に汚点を残す前に出所するとわかった。この間イズミルの人たちは彼を見捨てなかった、つまりCHP党本部も。彼の最重要課題は支持基盤不足であるように見えるが、イズミルはこの選挙を、トルコの多くの都市よりもより政治的に扱うだろう。ビナリ・ユルドゥルム交通海事通信大臣の「投資」カードに対し、世俗的・現代主義的な生活様式の保持を打ち出すことは、コジャオール氏のアドバンテージになるだろう。しかし、以前の選挙での25ポイント差(CHP55.2%、AKP30.7%)を縮めることはユルドゥルム大臣にとっても難しい。

イスタンブルの候補は最終的にムスタファ・サルギュル氏となった。トルコの国民所得への貢献が最大であるシシュリ区の伝説的な区長について飛び交う多くの逸話があるのも事実だ。民主左派党(DSP)、新民主主義運動(YDH)を経て、CHP青年支部の生え抜きであるサルギュル氏が古巣に帰った。それは、同時にトルコが興味深い変化の舞台となったときである。イスタンブル市の選挙は、ブリュッセルやワシントンでもトルコが話題となったときに最初に思い浮かぶ問題のうちの一つである。サルギュル氏はCHPの伝統的な世俗派や共和国主義者の支持基盤だけではなく、社会の様々な層と問題なく関係を作ることのできる人物として、ここしばらくイスタンブルの票をAKPの中でも多く獲得するカーディル・トプバシュ氏の強力な対抗馬となりうる唯一の人物とされている。イスタンブルは、人口の点からもトルコの平均に影響を及ぼす、国家規模の都市である。そのため、サルギュル氏がCHPの得票率を40%超にすることは(2009 年はAKPが44.2%、CHPが37%)、トルコにおける一般的な政治的状況(2011年はAKP49.9%、CHPが25.9%)に影響を与える。票を得ただけ影響を与えるのだ。

アンカラでは、実はマンスル・ヤヴァシュ氏の立候補に対し、反対の声が高まっていた。しかしアレヴィーや国家主義者層からの異議は、そのグループ内でも多くは広まらなかった。ケマル・クルチダルオール共和民主党党首はその名を6か月間党本部でとどろかせたヤヴァシュ氏の後ろにとどまり、党議会の大部分を説得してヤヴァシュ氏の候補を発表した。ヤヴァシュ氏は、2009年の選挙でMHPの下で27%の票を獲得した。AKPは38.5%、CHPは31.5%だった。ヤヴァシュ氏は、それ以前にアンカラの荒廃したベイパザル区を、自治体を巧みに運営することによって数年のうちに一つの国内観光拠点にし、アンカラの政治・外交筋が当時注目していた人物だった。生活スタイルはCHPの支持基盤と重複するヤヴァシュ氏が、MHPを離党した理由は、MHPの支持基盤が彼の望む形で党派性を持っていないということだった。左派やCHPの支持基盤からの名が、AKP内部で別のブランド力があるメリフ・ギョクチェキ・イスタンブル広域市市長に対し、唯一「負けない」チャンスとなりうる。ヤヴァシュ氏を擁立することにより、CHPがギョクチェキ市長を追い込むチャンスはある。またサルギュル氏のように、間の7 ポイント差を縮めて当選するどんな一歩も、アンカラの人口を理由に、CHPのトルコ全土における存在感を高めることになるだろう。

実際ケマル・クルチダルオール共和民主党党首の今回の選挙における「実践前線」政策を最もよく説明している例はヤヴァシュ氏である…。「実践前線」とは、他の政党と同盟を組んで彼らの負担を背負う代わりに、ほかの政党の支持基盤や社会層に繋がりのある政治家たちを自分の党に取り込む、という形で説明することができる。実際、以前にトゥルグト・オザルが祖国党(ANAP)で、スレイマン・デミレルが正道党(DYP)で、レジェプ・タイイプ・エルドアンが公正発展党(AKP)で、同様の手法で世俗派、労働者層、社会民主主義者層やアレヴィーから支持を得ていた。この合意の枠組みにおいて、例えば、バルケスィル県のCHP候補は元DYP所属の国会議員であるサミ・ソザト氏になった。他の例では、サドゥッラー・エルギン法相が候補となったアンタクヤ県では、AKPを離党したもともとは中道右派から来たリュトフュ・サヴァシュ氏がCHPの候補である。

クルチダルオール党首は一方で、トルコでただ左派・社会民主主義支持基盤に頼った政治を行っても、元は中道政党であるCHPは前進しないと確信している。他方で、「正しいことから幸せを生み出す」という理解によって結果に焦点をあてている。これがCHPにとっての新しい拠り所なのだ…。

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( 翻訳者:安井 悠 )
( 記事ID:32388 )