ギュレン師からの「和平書簡」、その内容
2014年01月05日付 Hurriyet 紙


エルドアン首相は昨日ドルマバフチェ宮殿での記者会見で、米国からの平和書簡について言及した。会見の後「平和書簡」の内容と差出人についての議論が湧きおこった。この書簡はエルドアン首相あるいはギュル大統領宛と諸説が錯綜している。数時間に及んだ議論に対し、フェトゥフッラー・ギュレンがHerkul.orgのウェブサイト上で声明を掲載した。昨日の話題を独占したその書簡とは…。

12月17日より開始された賄賂・汚職捜査の後、フェトゥフッラー・ギュレン師がギュル大統領へ宛てた書簡内容は、同師の発言などを掲載しているHerkul.orgウェブサイト上で公開された。

同ウェブサイトでは、書簡は12月21日にギュレン師本人がしたためたとしており、この件に関するいきさつをつぎのように説明している。

「親愛なる大統領が、議論の拡散を防ぎ、国民の平安の名の下に多方面と接触している。よって、偉大なるギュレン師の許にも人を派遣し、大統領の考えを伝えつつ、当方の考えを伺いたいとの希望があった。12月21日にギュレン師の許を訪れ師の言葉を書き記した遣いが、書面を携えて戻ることが非常に有益だと明かしとたころ、偉大な師はメディアで話題となっている例の書簡をしたためられた。」

■「首相にも伝えられれば…」

いきさつを説明した文章では、ギュレン師は書簡の内容をエルドアン首相とも共有したいと願っていると強調しており、つぎのようにつづいている。

「当時、さらなる来客の到来が提案されているなか、『この訪問をエルドアン首相にもぜひともお伝えしないと!』とおっしゃり、書簡内容をエルドアン首相と共有したいという思いを述べられた。」

■書簡内容

ウェブサイトでは、ギュレン師がギュル大統領に宛て、内容をエルドアン首相とも共有したいと願っている書簡の内容についても言及している。

*奉仕の魂の活動や組織について、普通の人は、「奉仕」、「運動」、「教団」または「同胞団」などさまざまな表現方法を用いるが、あらゆる種類、考え方、色、造形をもつ人間が(モスクに集まり礼拝の列をなし、信仰を持つ人々のように)道理や分別をもって相見えることが結果として[そのように]みられていること、また標的とされていることに対し深い悲しみを抱いていることを。

*デルスハーネ問題が議論されはじめた当初、様々な理由で国民にとって資すると思われる機関が閉鎖されないよう、現状のまま使命の遂行を続けられるよう要望すると言うことを、国家の高官に伝えたことを。

*奉仕活動の有志たちが、一般のあるいはソーシャルメディアを通じて細心の注意を払って自分たちの立場を表明したのは、誹謗・中傷を受けた結果、始まったものであり、この件では法の認める枠内で必要なことが叫ばれたのであり、しかし、次第に社会生活のなかで多くの人々がこの事件に巻き込まれ結果、残念なことに、所々で配慮を欠いた形で多くの醜い言葉や相互非難が生じることになったことを。

■「法律運用の枠組みの中で指示を出すのは不可能」

*自身は、国の法律の枠組みで進められる国事に指示をだしたり、干渉したり、役人をある部署に送り込んだりすることは絶対にないことを。

*それと同時に、談笑の中で緊張を緩めるために友人、知己、愛する人々に向け中庸を勧め、特に一部のメディアが作り上げたひどいプロパガンダの類いの報道がなくなるよう望んでおり、この件では自身できるかぎりのことを行い、大統領も相当の影響力を行使されること、そして手を尽くして、ふたたび健全な状況に戻してくださると信じていることを。

■「役人への職務妨害と粛正に遺憾」

*法が定める職務を、同じく法の枠組みの中で遂行する役人が、まるで特定の所に横やりが行われ妨害されていること、さらにはこの件とはなんの関係もないにも関わらず、同様の横やりを被って浄化(より正しくは粛正)がなされる状況を遺憾の思いで見つめていることを。

■「国家公務員に職分をまっとうさせない…」

*国家公務員の許に赴き、彼らの職分をまっとうできないようにしたり、罪のない市民の生活を特定の場所に向けて整理・粛正しようとすることに対し、自身や支持者のみなさんが何も言わなかったとしても、社会の良心が黙っていないことを。

これまで、人生のさまざまな場面で、「どこかの、誰それ」という側面でしか見られず、その結果、迫害に遭った多くの人々が私のもとを訪れ涙を流されるのを見てきており、しかし、これらのことを一切口にさせず、また同時に彼らに忍耐と調和を説いてきたことを。

*世界の各地に散らばり、アッラーの恩寵と気高き同胞の協力と庇護とにより、絶えず拡大している奉仕活動の前途を阻もうとする試みが明白に現れてきており、この似つかわしくない妨害活動が、これ以前にはなかったにもかかわらず、奉仕活動の拡大・拡張と歩調を合わせて増加していること。

■「もし差別を止められなければ…」

*差別や逸脱といった危険な思想や汚いやり方が防ぐことができなければ、この先[トルコに所在する以下の団体である]アズィズ・マフムド・ヒュダイ師の支持者、スレイマン・エフェンディの学徒、イリム・ヤイマ協会、メンズィル教団、ほかの逸脱者/職業団体も[我々と]同じことを被ることになることを。

■「昨日はどうであれ、選挙では同じ位置にいる」

*自身と支援者が昨日はどうであれ、来るべき選挙のときには同じ立場・同じ位置に立っていることを。

*和平と平安、共同と連帯、友愛と誠愛の立場に身を置くよう、そして自身を愛してくれる人々もそうした方向に導くよう尽力しており、目に来世がうっすらと映る年齢となっては、これ以外の熱望・考え・希望がないことを。

*今後も支援者や友人たちに中庸を勧め、平和の実現の名の元にできうるかぎりの努力を行い、常に平和を求め、支えていくことを。

■首相に2冊の署名入り書籍贈呈

ウェブサイトには、ギュレン師がデルスハーネ閉鎖問題が話題となっていた時期、彼に「沈黙」を求める者や、直接会見を求める者に対し、「お気遣いなく。平和の立場に立つこと、そして、可能な限り全員に静粛をもとめる所存である」というメッセージを送ったことも書かれている。

ギュレン師は、最新の談笑後、「一切の談笑を行っていないこと」、さらに、常々支持者に対し「どうか、今の事件の動きに関わるのはやめよう。信仰を深め、奉仕が続いていくことに注意を払おう」と発言したと、同ウェブサイトには記載されている。

また、「(ギュレン師は、)このすばらしい意図を明らかにするため、こちらを訪問してくれた使節を介して親愛なる首相に、二冊の署名を添えた書籍を贈り、敬意を伝えた」という情報も明らかにした。



本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介されています。

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( 翻訳者:原田星来 )
( 記事ID:32491 )