トルコ機、シリア機を撃墜
2014年03月24日付 Hurriyet 紙


三年間内戦状態にあるシリアとトルコとの緊張は23日、トルコがシリア空軍所属の戦闘機を、国境侵犯を理由に撃墜したことで再び高まった。

トルコは2012年6月にF-4型戦闘機がシリアにより撃墜されたことにより変更された交戦規定の枠組みの中で23日、シリア軍機一機を攻撃し撃墜した。(シリア軍機撃墜は、)二度目となる。ハタイのヤイラダー郡真向いのケセプ町近郊で23日の13時頃、シリア空軍所属の戦闘機一機がトルコ国軍(TSK)によって撃墜された。シリア機はディヤルバクルの第181飛行隊(パルス飛行隊)所属のF-16型戦闘機によって撃墜されたことが明らかになった。トルコはこうしてこの7カ月間で二機目となるシリア軍機を撃墜した。2013年9月にもトルコのF-16がシリアのヘリコプターを空から対空ミサイルで攻撃して撃墜した。

■4度警告した

参謀本部はこの件に関して以下のような発表をおこなった。「シリア所属の2機のミグ23型機はシリア領空を北へ向かって飛行した。2014年3月23日 13時01分からディヤルバクルの統合司令伝達センター(BİKİM)が80海里(約148㎞)の範囲で(シリア機の)捕捉を始め、シリア機がトルコ国境まで10海里(約14.8 ㎞)の範囲に入ってから、トルコ領空に接近していることについて4度警告がおこなわれた。この警告により、シリア機1機は(トルコ)領空に入らず同空域から離れたが、二番目のシリア機は警告にも関わらず、13時13分にハタイ県ヤイラダー郡チャムル・テペ国境警備地域でトルコ領空に入り、1キロほどトルコ領空を侵犯し、さらにその後、西へ直進して1.5キロほどのトルコ領空で飛行を続けた。この間、同空域で警戒飛行(スクランブル)をしていた二機のF-16 型戦闘機のうち一機が交戦規定に則り、13時14分にシリア機に対しミサイル攻撃を行い、ミサイルが命中したシリア機は国境の1,200メートル南のシリ ア領内のケセプ地区へ向かって落ちた。同機はケセプ地区で墜落し、同地区に駐屯する(トルコ)国境部隊が確認した。」ハタイのメフメト・ジェラレティン・レケシズ知事も、「国境地域について入手した情報によれば、シリアのケセプ地区の西方面にシリア機1機が墜落したとの情報が届いた」と述べた。

■パイロットは落下傘で降下した

シリア国営通信社(SANA)は軍関係者の話として、「シリア領内でテロリストを追っていた戦闘機が撃墜されたが、パイロットは落下傘を使って脱出に成功した」と報道した。アルカイダ傘下のヌスラ戦線とアンサール・シャム、ファタハらからなる反体制派は、バッシャール・アサド政権の治安部隊に対して3日間続いた激しい戦闘の後23日朝、ハタイ県ヤイラダー郡に面するラズキエ市のケセプ国境ゲートを接収した、
アナトリア通信に語った反体制派の司令官のエブ・ムハメド氏は、国境ゲートを接収したにも関わらず、戦闘は継続していおり、10人の反体制派が死亡したという。反体制派は、ケセプ国境ゲートを接収したことを、タクビールを唱え、スローガンを叫んで祝いながら、国境ゲート近くの建物に飾られていたシリアの指導者バッシャール・アサド氏の写真を引き下ろして燃やした。反体制派が国境ゲートを接収した後、アサド政権の治安部隊によるトルクメン・ダー地区に向けての攻撃で負傷したグループがハタイの病院で手当てを受けた。この間、ケセプ地域での戦闘によりヤイラダー郡近郊に3発の迫撃砲弾が着弾した。一方、シリアとの国境沿いにあるいくつかのトルコの村々が無人となったとの噂について聞かれたことに対し、イスメト・ユルマズ国防大臣は、「安全対策上、….このような(国境の)反対方向からの攻撃がある。この攻撃によって国民が被害を受けないための治安対策をおこなっている。このことをこの流れで見る必要がある」と述べた。

■アサドのいとこが殺害された

アンカラは同事件に関連し、国連とNATへ情報を伝えた。この間、ケセプ近郊での戦闘でバッシャール・アサドのいとこヒラルが殺害されたことが明らかとなった。

■パイロット二人が殉職

シリアで内戦が始まった後、アンカラとダマスカスの間での緊張は、シリアが2012年6月にトルコ国軍所属のRF-4Eファントム偵察機を撃墜したことで頂点に達した。マラテア・エルハチュ第七主力航空隊基地司令部に駐留する第173飛行隊所属のRF-4Eファントムは単独で非武装及び同定システムをオンにした状態で、国境侵犯を理由にシリアから無警告で撃墜された。この事件でパイロットのハサン・フセイン・アクソイ空軍少尉とギョクハン・エルタン空軍大尉が殉職した。長期間の捜索活動の結果、2012年7月5日、機体の残骸と殉職者の遺体は海深260メートルのところで見つかった。トルコはこの事件から交戦規定を変更し、シリアから国境に接近したあらゆる軍事的要素を威嚇として認識することを明らかにした。

■パルス飛行隊による二度目の攻撃

23日、シリア所属の戦闘機を撃墜し、「パルス飛行隊」として知られるディヤルバクルに駐留する第181飛行隊所属のF-16は、昨年の9月にもシリアのヘリコプターをミサイルで攻撃し撃墜した。トルコのF-16戦闘機が2013年9月16日にトルコ国境を侵犯したシリアのM-17 型ヘリコプターを攻撃し、ヘリコプターはシリア方面へ墜落したのである。変更された交戦規定に従い、2012年10月3日にシリアからシャンルウルファのアクチャカレ郡へ着弾した砲撃によりトルコ国民5人が亡くなったことを受け、トルコは即座に報復としてシリアの特定されている軍事地域を砲撃した。  

<後略>



本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介されています。

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( 翻訳者:岸田圭司 )
( 記事ID:33314 )