Mehmet Y. Yilmaz コラム:選挙の勝者と敗者
2014年03月31日付 Hurriyet 紙

与党と野党が手を組み地方選挙が総選挙に一変した。

そして最終的に前回の総選挙に類似する投票率を獲得するに至っている。公表された選挙結果表を見て当然、「あの政治家が勝利した、この政治家は敗れた」と歓喜する者がいるだろうが、勝者、敗者共に驚くべき光景に我々は直面している。他者に敬意を示さず、更には一般にその存在さえ容認し得ない程に分断された国家!
首相及び政権与党は、展開したその選挙戦略の観点では成功を収めており、これに何ら疑いの余地はない。
一方、野党は謂わば政権与党が起こした突風に一掃され、首相に対するゴシップでの応戦に躍起になったために再度敗退を喫するに至っている。再度明確になるが、野党が同じ政策を追求し、同じ公約を述べ、得られる票はこれだけなのだ!
幾つもの選挙で足踏みをしている得票率を上回るには、新たな公約と、新たな政策を創出する必要がある。この選挙はデヴレト・バフチェリ氏が 敗れた何度目の選挙か、思い出すこともできない!ケマル・クルチダルオール氏は憲法改正国民投票をを除けば、2度目の敗退を喫している。
我が国の政治的伝統上、選挙に敗れた政党党首が進んで辞職した事に一度として遭遇したことがない。
そのため、野党党首2名が実際、この選挙に敗退せず如何に勝利したかを弁明する様子を我々は直ぐに目の当たりにするだろう。自分自身と側近を除いて誰を信用させられようか?
我が国の政党法は、一度政党を掌握した者は心行くまで政党内に留まれる可能性を与えている。
このため敗れた選挙を理由に党内で起こり得る自身への反発を容易くも払拭できるのである。
「小さくとも我が物であれ」という考えを党メンバーらは後どれだけ容認出来るか、彼らが党内で力強い反対の嵐を起こす事が出来るかは今に分かるだろう。公正発展党(AKP)はこの選挙に勝利したに留まらず、2015年の総選挙及び今年の夏に実施される大統領選をも確実なものとした事を選挙結果が示している。

■ どれだけの得票で収賄が忘れ去られるのか?

2月17日の汚職・収賄捜査は、AKPにより「反政府クーデター」と位置付けられた。
収賄捜査は、所要の法的根底からずれ落ち、政治化され、地方選挙が汚職疑惑に対する国民投票へと一変した。「選挙が汚職疑惑に関する回答を出す」と言われ、昨日、我々は投票へと向かった。そしてAKPは選挙を大差で勝利した。
明確であるが、「汚職」疑惑、そして「権威主義化」傾向の先鋭化が有権者の主要部分に何ら影響を及ぼさなかったようである。
しかし、以下の複数の問いに未だ回答を得ていない:
この選挙が汚職疑惑に対する国民投票であるならば、45%超の得票は国民が汚職は無かったと信じている結果を示すのだろうか?
ではこの事が55%近くの有権者層が汚職疑惑を信じているという真実を変えてしまうのだろうか?
大半の国民が汚職疑惑は正しいと信じ、しかし汚職で訴えられた者らが裁かれ得なかった国の政府が本当に「政権」を握ることが出来ようか?
靴箱に詰め込まれたドル札に関わる疑惑をこの得票が晴らすのだろうか?
その得票率は閣僚たちが受け取った賄賂を掻き消してしまうのか?
この得票率は無尽蔵の金が住居に山積みにされていた真実を忘却させてしまうのか?

■ 世界で最も現実を直視していない国!

シリアに関して外務省で開催された会議の記録が放映された事に関し裁判所の禁止令を伝えたラジオ・テレビ高等機関(RTÜK)は以下の様に発表を始める:
「外務省で実施されたと疑われるシリアに関する秘密会議!」
もしこれが未だ「疑い」であれば放送禁止の意味する所は何であろうと当然問わねばならない。しかしこれは「疑い」ではなく、聴収を受けた者ら本人がこれは真実であると語っている。大統領をはじめ首相に至るまで各レベルの関係者も会議を否定していない。
しかし、RTÜKは未だ「疑い」と言っている。なぜだろうか?この失態の原因となった者らに羞恥心を感じているからか?
裁判所の、シリアに関する会議の録音記録及び決議の放送を禁じる判決が及ぶ領域はかなり広い。現在、トルコ及び世界のどの国でもこの録音記録の内容に関心を持ち聞き知らない者はいないはずだ。
つまり知るべき事を皆知っている。
それでも裁判所は会議の内容の放送を禁じている。これぞ無意味かつ無益な禁止令である。
裁判所はこれに留まらず、当問題に関する報道、取材訪問、そして「批判」をも禁じている。憲法上の権利である思想表現の権利を無視している。
我々は「新トルコ」で経験する物事の端緒の一つをこのように目にするようになる。全世界が知り、話題にしている問題を我々が議論し、話題にすることは禁止されている!
トルコは現実を直視しなければ難を逃れられると思い込んでいる筋金入りの現実逃避者と化した、これぞ唯一禁止令が意味する所だ!

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( 翻訳者:藤井庸平 )
( 記事ID:33369 )