Mumtaz'er Turkoneコラム:エルドアンのバルコニー演説からわかること
2014年04月01日付 Zaman 紙


エルドアン首相が選挙当夜に行ったバルコニー演説の写真は、今まで起こったことと今後起こるだろうことを端的に表している。写真には、初めてエルドアン一家のほぼ全員が写っている。次にわかることは、行われている―より正確に言えば行われることができない―捜査において、不正の象徴になった2人の人物、ザフェル・チャーラヤン前経済相とエゲメン・バウシュ前EU担当相のことである。後者は必要以上に神聖な価値を嘲ったために殊更標的となっている。

エルドアン首相は、公正発展党本部のバルコニーでのこの写真でもって、あるところに向けてメッセージを送った。

まず包括的な答えとして、エルドアン首相は、選挙結果を不正が行われたという主張を覆す証拠として我々に掲げている。つまり、この写真の下に書く説明書きは 「不正だとおっしゃったようだが、どうぞ、これが答えです」とあるべきだ。不正への非難に対し「人びとが投票で決める」ということばを頻繁に口にしていたことを思い出せば、この裁き方はエルドアン首相の政治手法にとって一貫しているとわかる。それでは、人としてまた世間的なものの率直な事実に対しては?この問い自体同様、率直な答えが勝利演説の写真の中にあると期待することはできない。

写真の詳細全てが不正捜査とつながっている。エルドアン一家が、この不正という問題に対し感情的な反発を示して写真に写っていることがわかる。エルドアン首相は、自身が始めた政治闘争を個人化してしまっている。

それでは、この姿勢は正しいのか?地方選挙で公正発展党(AKP)を支持した者たちはこの光景に票を入れたのか?

「人びとは次のメッセージを与えた」と、投票した人たち全員を一人の人物のようにみなして選挙論評を試みるのは、単純であると同時に誤解を招きやすい。重大な問いは以下のことである。有権者はAKPを不正捜査について疑念を解いたのか?投票傾向と首相が党本部で見せた光景の間に一貫性はあるのか?

この問いの答えは、民主主義の最も基本的な問題である「代表者」と「委託者」との間における相違にある。あなたたちは何人の有権者がこの[潔白を訴える]光景のためにAKPに投票したと思いますか?

エルドアン首相がこの光景を示したときに述べたことは、我々が探していた答えの手がかりを与えてくれる。首相は脅迫を続けている。どんな証拠にも、どんな証言者にも基づかないままくり返し、ただ彼がくり返しているだけでしか意味をもたない非難をやめようとしない。首相はこの選挙キャンペーンを敵を定めることで作り上げた。社会をはっきりと「自分に賛同する者たち」と「反対する者たち」という二つに分けた。絶え間なく敵を作り、社会を二極化し続けている。我々が導き出した最初の結論は、エルドアン首相は選挙当夜、大統領選キャンペーンのためのボタンを押したということだ。

敵を作りながら政治を行うことは、人々の恐怖感に訴えかけるということである。エルドアン首相はこの恐怖を市民に植え付けることに成功した。恐怖は、あらゆる人間的感情の中で行動や決定に際し非常に影響力を持っている。 恐れる人間は、恐怖の源から遠ざかることをすべてに優先する。外部勢力は陰謀を企み、内なる敵は[出番を]扉で待っている。「二重国家」、「影の組織」が国を手に入れようとしている。不正との闘いか、敵との戦争か、あなたはどちらを選びますか、と。

5200万人の有権者は、特に地方の活力がうごめく選挙で優先事項の順番にしたがって行動した。優先順位の決定では2つの動機の間にある矛盾は、その重要性によって解かれる。優先事項は他のものを価値のない無用のものにする。選挙結果は、有権者が優先事項間で何を決定的に重要とするかについてある考えを示唆している。同じような優先順位が、エルドアン首相にあてはまると考えることができるだろうか?エルドアン首相の成功は、この順位を非常によく知っていることと、プロパガンダの力によって恐怖を徹底的にすべての優先事項の中に根付かせることに起因している。

もしエルドアン首相が明らかな敗北を期していたら、不正捜査は取り付けられた障害を乗り越え進められるはずだった。現在また、私たちは元いた場所に戻ってきてしまった。首相が使った脅迫的で分裂させるスタイルまですべて同じである。私たちの道のりは長くなってしまった。

選挙結果およびそれがもたらすものを判断するために、この脅迫より前にバルコニー演説の写真を見てみよう。有権者とエルドアン首相は同じことを言っているのか?




本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介されています。

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( 翻訳者:安井 悠 )
( 記事ID:33374 )