かつての首長候補、地方選を語る
2014年04月06日付 Hurriyet 紙


首都アンカラではメリフ・ギョクチェキが5度目の市長の座についたが、1994年3月27日の地方選挙で彼の最も強力なライバルであったコレル・ギョイメン教授が、20年後に本紙に語った。

■左派は3つに分裂した

-社会民主人民党の候補として1994年3月27日の選挙で期待に反して、あなたではなく、5000票差でメリフ・ギョクチェキが勝利しました。しかし、あなたはムラト・カラヤルチュンがアンカラ市長を辞め社会民主人民党党首となったすぐ後に社会民主人民党の[アンカラ市長]候補者として戦った。あなたを負けさせたものはなんだったのか。

コレル・ギョイメン-1994年の選挙で私たちのアンカラでの敗因は、左派の票が割れたことであった。左派の票は、社会民主人民党、民主左派党、新しく作られた共和人民党に割れた。しかし、この3つの党の票は、メリフ氏の票より13万9000票多かった。私は約40万票を得た一方、メリフ氏は40万5000票だった。私は5000票差で敗れた。私が5000票差で敗れた一方、民主左派党の候補者は11万5000票を得た。最も残念だったのは、新しくできた共和人民党の候補であった。私が長年自治体で共に働いた、親しかった故アリ・ディンチェルであった。彼も2万9000票を得た。そのため、40万5000票のメリフ・ギョクチェキの票に対して、左派の票は合計で54万4000票であった。この分裂の他、選挙で不正があっただろうか。おそらく、そのことも投票行動がきちんと反映しない原因であった。

■プルサクラルは、最後に広域市に含まれた

-2番目の原因は何でしたか。

ギョイメン-その当時広域都市の首長に関して中心部の区[住民]が投票できたが、郡部の票は別に数えられていた。しかし、選挙まで数週間のところで、完全に郡部の特徴を持つ、1万人以上の有権者を擁するプルサクラルが、突然、政治的倫理に反して広域都市部に含まれた。このことは選挙結果に最も深刻な影響を与えた。得票差が5000票であることを考えると、影響は明らかだったと言える。

■今日も大都市法は選挙に影響した

-今回の選挙前にも大都市法が変更となりました。

ギョイメン-ええ。市民の大部分は気付いていませんが、たぶん。でも、広域市の数を16から30に引き上げた法的な変更も選挙の結果に影響しました。アメリカが選挙区の境界を変更して選挙で優位に導くやり方、これと同じ方法で与党は特にアンカラとイズミルで大きな優位を生み出した。アンカラで与党にとって重要な票田の可能性を持った周辺部の町と郡は、市の中央部の票に影響した。同様にイズミルでも与党の票が伸びる原因となった。

■燃えた票あるいはごみ箱に捨てられた票を見つけたが…

-アンカラで共和人民党を筆頭ととした異議申し立て、つまりごみ箱で発見されたという票や集計の控えといったことは、1994年の選挙でもありましたか。

ギョイメン-二つの選挙おいて選挙結果に影響を与えた要因があった。これらのうちの一つ目は、人々は選挙にまず疑いから入ることである。これは今回の選挙においても最後の週の最後の日まで疑っていた。このことはトルコにおける多くの機関の信頼を失わせる一方、一部機関の失墜にまで及んだ。投票段階と集計段階において問題が生じる。特に、広域都市では、4つの投票が行われ、3つの投票用紙を一つの封筒に入れる。[4番目の]地区長の投票用紙も別の封筒に入れる。人々はこの複数の投票用紙を誤った封筒に入れたり、あるいは、誤った投票箱に投票するため、ある場所で有効のものが、ある場所では無効投票とされる。これは市民ではなく、選挙管理委員会、あるいは、 選挙管理委員会を十分に教育しない高等選挙管理委員会の過ちである。しかし選挙管理委員会は、封筒と用紙を同時に[有権者に]渡す代わりに、別々に渡していたらこの間違いは防げたはずである。

2番目の問題は、投票用紙の幅が長過ぎることと、[用紙の中で投票する政党に対し]スタンプを中央にある小さな丸の枠内に、あるいは外に押すのかである。スタンプが丸の外に出た場合、無効なのか。ある選挙管理委員会では有効だが、ある選挙委員会では無効とのことである。つまり高等選挙委管理委員会は、この問題についてちゃんとした指導を行っていない。

3つ目は、1994年の選挙後、私が投票した[投票所となった]学校を含めて、[投票用紙が]燃えてしまったり、ナイロン袋の中に押し込められてしまった。社会民主党あるいはその他の政党に投票された票を私たちは発見した。その当時の通信ツールが不十分な条件下では、これらをまとめて、異議申し立て期間内に地区の選挙管理委員に伝えることはできなかった。もしこれができていたなら、大きな相違が生まれていたはずだった。私たちはできなかった。私たちの組織がうまく対応できず、あるいは、通信上の困難があったからだ。

■共和人民党の申請がなぜ拒否されたのかを理解するのは困難

-今日もアンカラを含むトルコの全土で人々がゴミ箱に捨てられたあるいは燃やされた投票用紙を発見したと主張している。

ギョイメン-今日の条件ではこのような言い訳は通用しないし、してはならない。なぜなら、投票箱のある部屋にいる各党の代表者たちがサイン入りの集計控えを受け取るや否や、政党本部にある電子システムにアクセスする必要があるからだ。しかし、マスコミの発表を読む限り、一部政党本部に向けて行われたサイバー攻撃のためにこうした作業の一部が不可能だったこともわかる。さらに、もし地区の選挙管理委員会の中に実際にかく乱させようと意図した人物がいたとしたら、ペンを使った小さな細工よって、つまり画面に入った際に111の代わりに11と書くことによって、あるところには100少なく、あるところには100多く書いた場合、これはわかりっこない。結果として、選挙管理委員会から出された署名入りの集計控えが政党の本部にちゃんと送られたとしても、これらを選挙管理委員会の結果と比較し、些細な不正であろうと、ただす必要がある。アンカラでは共和人民党が異議をこうした比較に基づいて申し立てたにも関わらず、地区と県の選挙管理委員会がいかなる理由であれ認めなかったことは理解できない。

■高等選挙管理委員会は選挙の規則をきちんと明らかにしなければならない

-あなたは、地方自治の専門家である。この先、大統領選と総選挙がある。同様のことが行われないために必要なことは何ですか。

ギョイメン-国の安全を望む知識人として、組織が信頼を失わないことが必要と考えている。公正なシステムを筆頭に選挙を組織・評価する高等選挙管理委員会のような組織が信頼を失わないことは皆にとってもとても重要なことである。高等選挙管理委員会と政党を筆頭に皆が自己批判を行うことが有益である。それ以上に、これからこの先の二つの選挙に関して市民の脳裏と心では誰も[当事者以外]これをおこなう権利がないという疑問が生じている。

もはや皆が手を取り合って選挙の過程をさらに健全にするよう考えを同じくする必要がある。高等選挙管理委員会は、選挙規則をさらに明確かつ単純にする必要がある。規則と[生じうる]可能性について明確に定義する必要がある。投票用紙を別の封筒や投票箱に入れた場合には無効ということなら、地区の選挙委員会に指示を与えて、封筒と投票用紙を別々に渡すようにすべきである。スタンプが[投票用紙の投票箇所の]丸の中に押されていない場合、無効なのか、そうでないのか。これは、明確に市民に周知し、投票所管理者にも周知し、再び市民に注意喚起すべきである。こうしたすべての点で、選挙前に市民と投票所管理者の理解を明瞭にする必要がある。

■地方選挙は二段階にしてほしい

-あなたの専門は地方自治である。アメリカとトルコで地方自治について多くの研究、論文、書籍がある。この分野でトルコへの提案はあるか。

ギョイメン-一つ目は、地方選挙がフランスのように自治体首長に関して必ず2段階で行う必要があるということである。まさに[トルコでの]大統領選挙のように。2段階の選挙を行うべき基本的な理由は、選挙民の意思がきちんと反映し、低い投票率により政治的に弱い首長が選出されないようにするためである。

二つ目は、トルコでの選挙への関心は、ヨーロッパ諸国に比べるととても高い。ドイツを除くヨーロッパ諸国の総選挙の投票率は50%で、地方選挙で25%に達すると納得している。今回の地方選の投票率は90%に達した。しかし、特に、地区長の選挙ではひどい競争があった。人びとが殺し合うまでに至った。地区の新たな機能構築のために、地区長の給料制を廃止し、ボランティアを基本とすることも考慮すべきだ。




本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介されています。

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( 翻訳者:新井慧 )
( 記事ID:33414 )