Murat Yetkinコラム:政局予測―エルドアン・ギュル関係
2014年04月17日付 Radikal 紙

政界でのギュル大統領のこれからについて、トルコ実業家協会(以下TÜSİAD)の発言だけで判断するのは間違いである。しかし様々なバランスが急速に変化していることは見て取ることができる。

アンカラで昨日開かれたトルコ実業家協会の高等協議会は、数日前から話題になっていた。経済界というよりも、むしろ政界で話題となっていた。TÜSİADのムハッレム・ユルマズ会長は、不正問題(汚職問題)で司法への介入がなされないようにと述べたため、タイイプ・エルドアン首相に「国家への裏切り者」として非難されていたが、そのユルマズ会長からの招きに対して、アブドゥッラー・ギュル大統領は前向きな返答をしていた。
TÜSİADの集会に出席するかどうかですら、大統領選挙を控えたトルコにおいては一つの立場を示すことになるのだ。さらに共和人民党のケマル・クルチダルオール党首も招待を受け入れ、スピーチの要請もないうちに出席の意向を明らかにした。こういうこともありうるのだ。最近のエルドアン首相にとって最も気に食わない3人が隣同士で座り、写真のフレームに収まった。さらにギュル大統領はスピーチの中で、エルドアン首相が「国家への裏切り者」と非難したTÜSİADについて「良い仕事をしている」と褒めたたえることもいとわなかった。しかしこのスタンスの違いは、ものごとのほんの一部だ。

TÜSİADの会合は3月30日の選挙以降重要なイベントであり、ここでギュル大統領が大統領選挙に関し、バーを一段引き上げるだろうとの期待が起こっていた。なんといってもその一日前にはエルドアン首相が、公正発展党の議員は彼の(大統領選への)立候補を支持していると発言しており、「誰であれ自分の懐だけで計算(考える)すべきではない」という趣旨の発言をしている。その上、ギュル大統領より前に演壇に立ったTÜSİAD高等協議会のエルクット・ユジャオール議長とユルマズ会長の2人は、ギュル大統領が今後の政治活動に関し何らかの発言をしやすい雰囲気をつくっていた。いわば、「ゴールのために道を開けた(露払い)」をしたのである。ギュル大統領はスピーチの中で選挙に関して言及したが、これは―正確には大統領の思惑の外で―膨らんだ期待に対し、何らかの答えを出してくれるようなものではなかった。あわてる必要はない。その時がくれば大統領は話すし、当面は、彼の仕事ぶりや力量を見るべきだった。ただし議論の際に「攻撃的や排他的」にならないようにすることは必要だった。このメッセージは、最近ギュル大統領を標的にして厳しい言説を浴びせる政権シンパの新聞の何人かの記者に対してのものと解釈できる。

ギュル大統領のスピーチのあと、コーヒーブレイクの際のTÜSİAD会員たちの雰囲気は次のように解釈してよいだろう。会員たちの多くは、大統領から彼の地位に関するより明確なメッセージを期待しているのだ。会員の中には「これは別れのフトゥバ(本来は、金曜礼拝の説教)だ」とまで断言するもの、「ここで本心を語らなかったところを見ると、続投の意思はないだろう。大統領官邸にはエルドアンが入るとみなしうる」というものもいた。あるグループは「そもそもここで緊張を高めるようなメッセ―ジなど期待すべきでなかった」という見方をしていた。彼らのなかには、ギュル大統領はエルドアン首相の出す決定を待っており、その状況をしぶしぶ受け入れることを示している、と言う者もいた。エルドアンは大統領府に関する決定(誰が大統領になるのか)の権限は自分にあるということを皆に認めさせた後、ギュル大統領に2期目の大統領を務めるように申し入れる可能性もあった。戦略的アドバンテージは首相府にあるとみることもできた。

私の意見としては、先週に比べて変化しているいくつかのバランスがある。先週言うことができたのは、ギュル大統領とエルドアン首相が互いにライバルになることはないだろうということただ一つだった。今週の始め以降の展開を見ながらこの一文をこのように書き換えてみることができよう。ギュルはエルドアンにとってのライバルにはならない。すなわち、第一に、ギュル大統領は発言権を首相に譲るつもりである。第二にはエルドアンが大統領府に上がった場合(大統領になった場合)、ギュル大統領がAKP党首そして首相になるチャンスはより少なくなっていると見受けられる。なぜならエルドアンがこの間に公正発展党の組織を作りかえていたからだ。そのためギュルは大統領職から降りて党大会に向けて戦って負けてもいいなどとおもっていないはずだからだ。第三は、そう、エルドアンが望めば大統領職に登りつめることができることを皆に認めさせてからも、さらにやることはあるわけで、トップに調和が必要だとして大統領候補をやはりギュルとして宣言する可能性も多いにありうるのだ。これらの理由から、TÜSİADにおけるスピーチを聞いただけでギュルの意図や将来に判断を下すのは、時期尚早なのではないか。

要約: エルドアンが大統領になるつもりだとしても、ギュルが代わりに首相になる可能性は少なくなっている。しかしギュルが2期目に出馬する可能性はまだ残っており、このこともエルドアンの決定次第だとみなされている。

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( 翻訳者:今城尚彦 )
( 記事ID:33537 )