ソマ炭鉱事故での監督不備をうけて、疑念は原発対策へ
2014年05月19日付 Hurriyet 紙


トルコに衝撃を与えたソマ炭鉱事故において「監査が行われていた」という主張が、人々の目を今一度原子力発電所計画に向けさせている。

いまだ建設と計画の段階にある原発における最大のリスクは断層だ。
トルコが近年最大の炭鉱事故で動揺する一方、事故がこれほど大規模だったにも関わらず、「怠慢ではない」、「監査は行われた」とされたことは人々の目をを原発計画に向けさせた。震度9の地震にも耐えられるとされる2つの原発の近くには断層がある。メルスィン・アックユの30キロ北にはエジェミシュ断層が通っており、もう一方の、発電所建設に適しているとされるスィノプは断層が通っていないが、北アナトリア断層に近い。

■日本でさえ事故が起こった

原子力発電所建設に関するプロセスは2010年に始まった。2010年5月2日にトルコ・ロシア間で結ばれた協定により、原発建設に向けた取り組みが開始された。メルスィン・アックユ地域には、全部で4800メガワットの電力供給能力を持つ、ロシア加圧水型原子炉VVER‐1200型の原子炉4基が建設される。トルコのアックユ原発に関するプロセスが開始した後すぐに、日本で福島原発事故が起きた。日本のように、絶えず地震が発生する国であらゆる措置がとられたにも関わらず、原発から放射能が漏れ出した。アックユ原発は300キロにおよぶエジェミシュ断層から25-30キロ付近にある。アックユに関して投げかけられた最も重要な疑問符はこの断層についてだ。エネルギー天然資源大臣のタネル・ユルドゥズ氏も、アックユ原発を建設予定の企業もアックユ原発は震度9の地震にも耐えられると話している。アックユ原子力発電所会社は環境影響評価報告書を提出する前に断層に関して新たな調査を行わせた。そして断層は活断層ではなく、影響はないだろうと明らかにした。計画変更が必要とはされなかった。しかしソマで監査が行われたとの発言が再び原発に関する疑念を提起した。

■燃料はどうなる?

アックユ原子力発電所で使用済み燃料はまず原発区域に貯蔵され、すぐに再処理のため国外へ出される。再処理できない燃料は、原発区域で発電所が稼働する間貯蔵される。それ以後どうするかに関しては、法整備が行われる必要がある。トルコは法律をととのえ、アックユのためだけでなく、スィノプ原発のためにも燃料の今後についての決定を下す。

■スィノプは断層に近い

トルコはアックユとともに2カ所目の原発に取り掛かった。スィノプでの原発建設について日本と合意した。スィノプの原発は活断層にはない。しかしスィノプの県境南の一部が、北アナトリア断層に近いため最も危険性が高く、原発建設が予定される県の中心部が4番目に危険性が高いとして考えられている。

■3カ所目もスィノプの可能性

メルスィンとスィノプに続き、3カ所目の原発建設予定地選定のための取り組みが水面下で始められた。関係者らは発電所の設備では冷却水が最も重要な要素だと述べ、「冷却のための費用は発電費用に影響する重要な事項である」と明かした。このため関係者らは「2つの原発が並んで建設されることに不都合はない。すべての要素を照らし合わせると、もともと用意されている設備は、3カ所目の原発にも使用可能である」と語った。政府は前に3つ目の原発予定地として取りざたされたイーネアダという選択肢を今も検討する一方で、関係者らは電力会社がスィノプで海水の温度と断層に関する調査を始めたと述べた。

■2年で2000件の鉱山監査

労働監査局はソマでの炭鉱事故に関する調査や捜査が完了した際に、すべての真相を明らかにすると発表した。監査局はさらに2012年から炭鉱の労働現場で全部で2079件の監査が行われたこと、このうち199件が(事件発生後に)言及された状況のうちひとつか、いくつかに該当することが確認されたため操業が停止されており、969件で監査の結果、行政罰金が科されたことを明らかにした。また労働監査局は発表において、ソマで発覚した労災事故の調査および捜査のため当局で調査委員会を立ち上げたこと、委員会の監察官3人が事故後炭鉱に入った最初のチームに参加したことを指摘し、監察官の一般法やその施行に関する知識は国の労働に関する分野で活動するあらゆる人々をけん引する水準にあると述べた。これに加え、労働監査官らは部門ごとに専門化していると説明し、鉱山部門も専門化された最も重要な部門の一つであることを明らかにした。



本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介されています。

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( 翻訳者:星井菜月 )
( 記事ID:33924 )