ソマ炭鉱事故めぐる責任転嫁先探し?―労働社会保障相標的に
2014年05月20日付 Radikal 紙


「炭鉱は閉鎖されるべきだ」と述べた労働社会保障相は、ソマの炭鉱にブルドーザーが投入されているという説明を受けたと述べた。

ファルク・チェリキ労働社会保障相は、ソマで301名の労働者が亡くなった大事故に関し、「誰がどの程度責任があるかは話し合われていいはずだ。炭鉱は私とは何の関係もない。炭鉱に関する労働社会保障省の任務は点検のみだ。炭鉱そのものや認可、運営は全てエネルギー天然資源省の管轄である」と述べ、エネルギー天然資源相のタネル・ユルドゥズを非難した。

ジュムフリイェト紙アンカラ支局長のウトゥク・チャクルオゼル氏に話したチェリキ労働社会保障相は、ソマで起きた大事故に関する見解を発表した。チャクルオゼル氏がチェリキ大臣と行ったインタビュー内容は次の通り。

■「炭鉱は閉鎖されるべきだ」

ソマで301名の労働者が亡くなる原因となった大事故の後、AKP政権は5日以内に3つの異なる政策を進めた。事故発生当初、政治的責任から逃れるばかりか、炭鉱事故を「起こりうる事故」と表現し、炭鉱を国に代わって管理する民間企業も擁護する姿勢をとった。共和国史上最多の犠牲者を出す結果となった炭鉱事故となったことが明らかになり、社会で反発が高まるのが見受けられるのを受けて、態度が変化した。17、18日には「運営会社の責任」が話題となった。そして最終的に昨日の19日には、政権に近い記者の記事やコラムで「政治的責任者」探しが明確になった。この責任者探しにおいて矢が向けられた人物の筆頭には、ファルク・チェリキ労働社会保障相が上がっている。

■「私への辞任キャンペーンがある」

チェリキ労働社会保障相は19日に行った会見で、「政府に近い人物はすでに辞任の予想を口にし出している」という我々の意見に対し、次のように述べた。

「そうです、私も気になっている明らかなことがあります。あるキャンペーンが進められているのです。『誰かが悪くて誰かが良い』という。政治的責任があるならば、このことは腰を据えて話し合われてしかるべきです。誰がどの程度責任を持つのか話し合われるべきです。炭鉱は私と関係ありません。炭鉱に関する労働社会保障省の任務は点検のみに限られています。炭鉱そのものや認可、運営は全てエネルギー天然資源省の管轄です。」

■「私は大臣職に固執しない」

「我々は労働社会保障省として自らの職務を果たせていないという主張があるならば、あらゆる場で我々が行った実績を示す準備は出来ています。私はソマの炭鉱の点検責任者です。たった1%でも過失があれば、大臣の椅子に留まることは不可能です。私は大臣職に固執していません。」

■ソマの炭鉱に8件の苦情

「我々は自らの職務に関して非常に細心です。点検は然るべきときに行われたでしょうか?行われました。8つのプログラムからなる点検が行われました。さらに8件の苦情に関し再び調査を行い、問題を解消しました。炭鉱は刻々と変化するものです。点検が行われた1時間後には状況が異なっているかもしれません。だから、このために労働衛生安全法を制定しました。各県、各市で実施に尽力しました。あの現場には13名の専門家がいます。更に労働組合の代表がいます。あなたがたがそこに苦情をおっしゃっても結果が出されなかったならば、その場合いずれにせよこのことは行政・司法上の調査で明らかになるでしょう。」

■「この炭鉱は閉鎖されるべきだ」

発生した大事故は、トルコの「エネルギー」問題の一端であると述べたチェリキ労働社会保障相は、以下のように述べた。

「トルコのエネルギー問題を十分に議論する必要があります。私は労働社会保障大臣として炭鉱の閉鎖が必要だと再三述べています。ドイツやフランスは炭鉱を全て閉鎖しました。トルコにおいては、1848年から現在まで生産が行われています。そしてこれほどの炭鉱や坑道がある場所で我々は生産を続けさせようとしているのです。認可もその方針にしたがって行われています。私はこれらのことをここ何か月間もはっきりと申し上げています。」

大事故が発生した炭鉱を運営する会社とAKPの関係に関する質問に対し、チェリキ大臣は、「私は一度も(運営会社の)社員たちと会ったことはありません。幹部も知りませんし、いくらで[鉱山操業の権利を]売ったのか、[石炭を]いくらで買い上げたのかも知りません。誰が何をしているのか知りません。私の管轄外です。私はただ炭鉱の点検責任者であるだけです。この職務を行う中で、今日まで誰もかばったことはありませんし、今後もしないでしょう」と述べた。

■知りもせず批判する

自身に対する「キャンペーン」の理由を、「事故発生初日にソマに行けなかったこと」と関連付けるチェリキ労働社会保障相は、「私が、健康状態を理由にソマに行けなかったことが原因となっているのかもしれません。もしあの場で説明されていれば。まるで何ら用事がないのに(現場に)行かなかった、というような認識が生まれたのかもしれません。私は後日、放射線治療を受けたために行かなかったと説明しました」と述べた。

自身に「辞任」を呼びかける者たちを、大臣の職務に関して何もわかっていないと批判するチェリキ大臣は、「労働衛生や労働安全に関する専門報告書を彼らはいくつ書いたのでしょう?何度会議に参加したのでしょう?私が何をしてきたのか、彼らは知っているのでしょうか?」と述べた。

■「労働安全問題に尽力した」

チェリキ労働社会保障相は、5年間の労働社会保障省での在任期間の多くを労働衛生および労働安全問題に費やしてきたと述べ、次のように続けた。

「皆が目を向けていない時にも、我々は労働者のために必要な法律を制定することに奔走しました。労働組合法、労働安全法と36の指導規則を制定しました。全国を回って労働安全ミーティングを行っています。イスタンブルで国際労働安全会議を開催しました。我々がどんなに苦労したか皆知っています。労働組織がそのことを熟知しています。この5年で誰が何を妨害したのか、それについても話しましょう。」

■「炭鉱にブルドーザーを入れた」

一昨晩、ソマの炭鉱の労働者であるニハト・チェリキさんは、CNN Türkで行った話の中で、炭鉱に来る労働調査官について運営会社が事前に知っていたこと、労働調査官も必要な調査をせずに現場を後にしたと述べた。チェリキ労働社会保障相はその発言に対し次のように述べた。

「私もその労働者たちと一緒に、ソマ以外で3つのミーティングを行いました。彼らは多くの不備があると言いました。しかも法律違反であるにも関わらず、炭鉱にブルドーザーが使われていることを話しました。一見すると仲介業者はいませんが、実際は坑道を仲介業者に委ねていたのです。今アンカラに戻りまして、この主張を我々の点検報告書と一つずつ照らし合わせています。点検に対しても不当なことを行うべきではありません。彼らは献身的に働いています。私が驚いたことは次のことです。なぜこの労働者たちは、知っていた不備をもっと前に言わなかったのでしょうか?我々はAlo170の電話回線をこういった苦情のため に作ったのに。」

■一つずつ炭鉱を閉鎖している

19日にこのコラムで、労働社会保障省に以前勤めていた者が政権と財界の関係を壊さないために点検で罰金を科さないよう指示を出していたと伝えした。2月にチェリキ労働社会保障相が行った「罰金を科さないように」という指示について尋ねると、大臣は次のように述べた。

「危険な、また非常に危険な現場においては決して甘くはありません。怠慢や不備があれば罰金が科されます。しかし他の現場では、労働保障が真摯に受け止められるよう「指導」が行われます。もしその主張が正しいのであれば、私は炭鉱を閉鎖すべきではありません。しかし私は119の炭鉱を閉鎖しました。一つずつ閉鎖しています。一切の配慮はありません。」

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( 翻訳者:安井 悠 )
( 記事ID:33943 )