Mehmet Y. Yilmaz コラム:主要2閣僚は、なぜエルドアンに反論したのか
2014年05月30日付 Milliyet 紙

政府主要2閣僚は、中央銀行総裁に辞任を迫ったエルドアン首相の言動に反論した。

もちろん名指しした訳ではないが、ババジャン副首相とシムシェキ財務相は、中央銀行の独立性は重要だ、と発言で強調した。これは、今日までの公正発展党(AKP)の歴史において見られなかったことだ。

これまでの一般的な態度は、ニハト・ゼイベクジ経済相が行ったようなものであった。エルドアン首相が何か言ったら、その後に話す大臣は、(首相の趣旨に沿い)首相の発言より踏み込んだものにしようとした、首相に取り入ろうと。

エルドアン首相の考え方に与しない者は声を上げず、また、首相の考え方に反対であっても、態度表明を行ってこなかった。なぜなら、政治生命は「唯一の選択肢」エルドアン首相に握られており、自身を危険に晒したくなかったからである。

ババジャン副首相の国会議員再選は、AKPの党規則に沿えばないことである。しかし、未だ政治家としての未来があり、党内で他の役職に就くことで、2019年選挙で再び出馬することが可能となるのであった。

シムシェキ経済相には、これは当てはまらない、彼自身も理解していることだが、エルドアン首相に反対することは、将来の選挙で議席を失うことと同義である。
それでは、なぜ彼らは今回、反論が必要だと考えたのだろう?

もちろん、両名が経済の実情を首相よりも熟知しているというのが理由かもしれない。中央銀行の威厳が揺るぐと経済の脆さを露呈し得ること、そして政府にとって良い結果とはならないと考えた可能性がある。

二つ目の理由は、これが「やらせ」であることだ。首相は、自身のアンチを作り出さずにはいられない。彼の政治スタイルはこうであり、いつも標的を選ぶ。首相の発言で徐々に不満を高め標的にプレッシャーをかける。標的の数は非常に多く、いつでも議員を見つけ出すことが出来るのだ。今回は、中央銀行総裁が標的となった。首相は、経済停滞の罪を彼に擦り付け、スケープゴートにしている。

主要2閣僚も市場を落ち着かせるため、首相の許可の下、こう話すのだ。閣僚の政治的将来に関するシグナル、そして中銀総裁の辞職の有無を注視し、何が本当かよく見てみよう。

■ババジャン副首相とシムシェキ財務相の誠意

アリ・ババジャン副首相とメフメト・シムシェキ財務相による反論が、我々が考える類の「やらせ」でないならば、別の重要な問題を提示している。もし彼らが、今回の反論を、経済の脆弱性について首相より良く理解しているから行ったならば、これは、首相による大統領就任を躊躇させることになるに違いない。

エルドアン首相は、もし自身が大統領に選ばれることとなれば、大統領官邸に住むだけでは飽き足らないと声を大にしている。選ばれるような事態になれば、「影の首相」「受託的党首」と見なし、将来の選挙で改憲を実行し、大統領制導入を望んでいることも公然のことである。

ただ、ババジャン副首相とシムシェキ財務相の反論が示しているのは、彼らは責任感に満ちた政治家であり、時々「上の」言うことを聞かないかもしれない、ということである。

つまり、政治手腕に優れた政治家が、「影の首相職」を長年問題なく務めることはそれ程簡単ではない。以前、故トゥルグト・オザル元大統領、故ユルドゥルム・アクブルト元首相、故スレイマン・デミレル元大統領、タンス・チルレル元首相が経験してきたことに近い問題が生じるかもしれない。

他方、政治手腕のない首相の下、AKPが選挙で改憲達成に必要なマジョリティを獲得することも政治的現実と合わない。ババジャン副首相とシムシェキ財務相による首相への反論は、首相にもこの種の警鐘を鳴らしたに違いない。この場合、公正発展党が近く党則の変更を行い、議員任期の3期連続就任禁止を撤廃することも可能である。

■5年経ったが捜査はマヒ

独シーメンス社が通信入札において収賄を行ったこと、この目的でトルコを訪問した同社幹部がトルコ閣僚と会食を行ったことをドイツで行われた調査で知った。
時は、2008年8月だった。

それ以後、私は本紙コラムで、メティン・ミュニル氏はミリエット紙コラムでこの件を何度も扱ってきた。

5月28日付記事「検察は寝ているのか」で、トルコの検察がドイツからの調書を待っていると書いた。スキャンダルが明るみに出てから5年が経ち、未だ審理継続中の裁判だが、捜査結果を記した梗概文書も作成されていない。その閣僚も自ら口を開き、「会食をしたのは事実だが誰からも賄賂は受け取っていない」と述べ、責任逃れをした。

2013年12月17日以来、我々は検察の仕事がどれ程困難であるのか知っている。共和国史上最大の収賄スキャンダルであり、捜査に加わるものは「違法行為者」となるのだ!

しかし、それでも検察がこの問題について説明を行わなくてはならない。ドイツから調書は届いたのか?検察は、調査書類を完成させ、訴訟を行うために何を待っているのか?

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( 翻訳者:山根卓朗 )
( 記事ID:34093 )