モースル知事とのインタビュー
2014年06月15日付 Radikal 紙


ナジャフィー一家はイラク政界で有力な立場を持っている。スンナ派の政治家、ウサマ・ビン・ナジャフィー氏は連邦国会議長だ。弟のエズィル・ナジャフィー氏はモースル県の知事。同氏は、「イラク・シリアのイスラム国(ISIS、トルコ語でIŞİD)」がモースル市を掌握したのち、モースルから逃げてクルド人地区に避難した。滞在したホテルでナジャフィー氏に近づいた際、モースルの財政を管理する女性はすぐに話を遮り、「我々の状況はとても悪い。ISISは中央銀行で5億ドルを手に入れ、人々に分配し、より強大になった」と言った。エスィル・ナジャフィー氏は今ISISを追放する道を模索しているが、バグダード中央政府では解決の兆しがない。ナジャフィー氏は以下のように答えた。

―モースルは誰が支配下に置いたのか、ISISそれとも地方の部族なのか。

先にISISがモースルの地区のいくつかを制圧した。その後兵士らが逃亡すると、一部部族と2003年の占領後にアメリカ軍と戦った反体制派の集団が都市の一部を支配した。これらの集団はISISでは参加しなかったが、ISISはこれら[モースルに入った]集団の中で最大勢力である。

―この状況で主役がISISだと言えるだろうか。

もちろん、初日はそうであった。しかし昨日(12日)彼らが「メディナ文書」という名の声明を発表し、ISIS以外の武装集団を認めず、これと戦うことを表明している。しかし今日、モースルとの交通路で話した人々から、私は多くの噂を聞いた。たとえば、ある兵士は、旧フセイン政権ナンバー2、イッゼト・イブラヒム・アル=ドゥーリー元革命指導評議会副議長、バース党、フセイン元イラク大統領の兵士がISISの後ろ盾となっていると述べた。私はそうは思わない。なぜなら昨日イブラヒム元革命指導評議会副議長の「我々はすべてのサファヴィー(イラン・シーア派の人々)や異教徒集団と戦う」という発表を目にしたからだ。ご存じの通り、異教徒集団というのはISISを指している。彼らが協働するとは思えない。

―モースル陥落に一役かっていないとおっしゃるのか。

いや、関わっている。兵士らが撤退したことで、これらの集団は自分の地域を手にしたが、これは彼らがISIDとともに戦ったことを意味するわけではない。これはイブラヒム元革命指導評議会副議長とバース党が行ったのだ。

―バース党員がISISを利用しているという主張に対して何か言うことはあるか。

ISISとバース党は別々の立場だ。同じではないし、同じであることもできない。

―ISISが部族もしくはイスラーム集団から得た支援について何が言えるだろうか。

部族の指導者ではない、だが一部部族のメンバーから金銭的・軍事的援助を受けているだろう。部族がISISと協働しているということに関しての情報はない。ある兵士は、一部部族のメンバーが来て兵士らに「我々とISISとの間に相違はないし、我々は同じ目的に向けて奉仕している。武器を放棄しなさい」と言ったと話した。私はこれを信じていないが。

―モースルのように異なる宗教、宗派、民族が一カ所に集まって平和的に生活している街でどうしてISISのような組織が根を張ることができたのか。

それは[スンナ派の]地元が[シーア派の]政府軍と政権からとても大きな圧力を受けていたからだ。彼らは政府軍を嫌い、自分たちを軍から守る誰かを必要と感じていた。さらに兵士と警官らは問題を対処しようとする際に、宗派的動きをみせていた。

―ではあなたは今までバグダードや北イラク・クルド自治政府(トルコ語でIKBY)の間で共通の活動計画は形を整えたか。

我々はバグダードよりもIKBYと一致するところが多い。バグダードはこの地に関しては解決できる状態ではない。自分たち自身の組織とIKBYを信頼している状況だ。現在我々は協調関係にあり、モースル市の特定の場所を支配した集団の一部はISISに対して戦う準備を整えている。

―ISISが追い出されれば問題は解決されるか。また、マーリキー首相の退陣ですべてが解決できるのだろうか。例えばあなたが以前この地域に関し連邦主義モデルを提案したが拒絶された。あなたにとって真の解決とは何か。

私はISISとの戦いにおいては他の方法が必要だと思う。この方法はマーリキー首相のものではなく、スンナ派の思想計画の中で解決されるべきだ。

―もう少し詳しく。

私たちはISISと我々スンナ派の立場をもって戦わなければならない。

―つまりスンナ派が解毒剤となる必要があると。

そう、シーア派やマリキ首相支持派でなく、スンナ派の戦いなのだ。マーリキー首相はISISとは戦えない。スンナ派なら戦うことができる。ISISはこの状況では宗派問題を使うことができないからだ。

―しかし以前あなたはサフワの組織化とともにこれをしようとしたが。

いやサフワは違う。サフワはマーリキー首相を支持する集団としてISISと戦った。金銭的理由で戦った。我々は同じことはしない。我々は平和と文明に賛成しているため、スンナ派としてISISに対してよい感情を抱いてはいない。我々はアラブ人であることに誇りを抱いている。アフガニスタン人やアラブ人との立場はISISの関心事ではない。我々には我々の民族的アイデンティティがあった。現政権ではこれがない。イラク占領後スンナ派のアイデンティティは消し去られた。再びこれを取り戻す必要がある。

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( 翻訳者:星井菜月 )
( 記事ID:34320 )