トルコ人のイラクからの脱出はじまる
2014年06月13日付 Radikal 紙


ISIS(イラクとシリアのイスラーム国)がモースルのトルコ領事館を占拠して、内部にいた人たちが人質にとられたことで、またイラク全土に広まった治安上の問題を理由に外務省が治安上の警告をだすや、トルコ人のイラクからの脱出がはじまった。

外務省が最新情勢をもとに、イラクにいる、もしくはイラクへの旅行を予定しているトルコ国民に向け、渡航及び治安警告を発するや、イラクにいるトルコ人の帰国が始まった。本日(2014年6月13日時点)トルコ航空803便でトルコ人グループの第一弾が、14時にバグダードからイスタンブルに到着した。ある建設会社で働いているトルコ人労働者たちとバグダードにあるトルコの銀行の従業員たちのグループが、イスタンブルに到着した最初のグループとなった。バグダード空港の道路工事を行なっていたトルコ人労働者たちは、会社が外務省の呼びかけに応じたことを明らかにした一方で、最初にしたことは家族に電話をかけ、戻ることを知らせることであった。

■バグダード、混乱と退避

建設プロジェクト管理者のメリフ・デュルジャンさんは以下のように述べた。
「外務省の呼びかけを受けて我々は話し合いをして、帰国することを決めました。そうすることがより適切だろうと考えたのです。というのも、バグダードは深刻な混乱状態にあり、人々の退避が始まっていました。人々はどうなるのだろうと戸惑っていました、というのもわけのわからない動揺が始まっていましたから。これは我々の戦いでありません。アッラーの助けがあるでしょう。バグダードで空港の道路に関係する建設の仕事がありました。メンテナンスが問題でした。ですが、状況が明確になり、沈静化するまで一旦作業を中断したのです。我々は40人いて、今日トルコ航空の大きな飛行機で帰国しました。飛行機には空席がありました。建設現場はそのままです、今トルコ人は誰もいませんが、地元の従業員がいます。」

■斬首のうわさを聞いた

ゼキ・ジュネイドールさんは様々なことが起こっており、人々が恐れ始めていると述べ、バグダードの状況について以下のように述べた。
「今までなかったようなことを聞きました。首を切り落とされたり、あなたたちは人質にとられるといった話がされました。これも私たちを心配にさせたのです。ついに昨日の夕方に外務省の通達が来て、我々のプロジェクト管理者は現地の責任者と一緒に決断を下しました。我々は空港内で働いていたために5分で空港に着きました。斬首についてはテレビや地元の人々から聞きました。彼らがとても興奮し、怖がっていたので、我々はさらに恐れ始めました。人々は本当にとても不安がっています。」

造園の現場で働いていたトカト出身の労働者であるメフメト・アリ・エラージャさんは以下のように述べた。
「彼らも混乱しています。彼らを統率してくれる人は誰もいません。現在、カルバラー(イラク中部の都市)の方からバグダードにたどり着けないトルコ人がいます。彼らと電話で話しました。道が閉ざされているバグダードの中心部の外側にいて、ここにたどり着くことが困難なのです。」

■命の危険があって故郷に帰れなかった

チャナッカレ出身の警備員オゼル・カラブルトさんは、娘に電話をかけてトルコに戻ったことを知らせた際に、
「(ここでの)ニュースは私たちがあそこで経験したことと異なっていました。私たちはあそこで何も見なかったのです。家族はテレビニュースを見てとても心配したようです」

バグダードからイスタンブルに到着した人の中には、40名の労働者と一緒に、このプロジェクトに参加していたもののキルクーク(イラク北部の都市)にたどり着けなかったトルクメン人の労働者もいた。キルクーク出身の6人のトルクメン人は、トルコに来ざるを得なかった。アリ・メフメトという名前のトルクメン人は、以下のように述べた。
「私はキルクーク出身ですが、バグダードで働いています。命の危険があって自分の故郷に帰れませんでした。プロジェクト責任者は私を見捨てなかったのです。アッラーの恵みあれ。一緒にトルコにやってきました。」

■THY(トルコ航空)はイラク行きの便を増やした

THYは、イラク情勢をうけトルコ国民がイラクからトルコへ無事に帰れるように、飛行機の便を増やす決断をしたと発表した。THYは書面発表において、イラクが祝日にも関わらずオフィスは稼働していることを明らかにした。それに加えて、必要に応じて追加便も実施することを発表した。

THY広報による発表は以下のとおりである。

「最近イラクで起きた事件を理由に、イラクからの帰国を望むトルコ共和国国民が被害を受けないように、THYのイラク支店は現地の祝日である今日も乗客へのサービスを行っている」

THYがイラクで運行を行っているバグダード空港、バスラ空港、ネセフ空港、スレイマニエ空港、アルビル空港からの予定便は、通常通り運行される予定である。



本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介されています。

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( 翻訳者:小瀬康太郎 )
( 記事ID:34323 )