80年クーデター・エヴレン元大統領に終身刑
2014年06月18日付 Milliyet 紙


トルコにて、クーデター罪に対し初めて有罪判決が出された。1980年9月12日クーデターを起こしたという理由でもってエヴレン被告とシャーヒンカヤ被告に終身刑が宣告された。判決が最高裁判所によって承認されれば、二人の元大将は、全ての軍人階級を剥奪される。

ケナン・エヴレン元大統領の娘婿と弁護士は判決が出された後にエヴレン元大統領が何をしたか説明した…。弁護士は「彼はわたしの言っていることを理解できず『会議に参加したのか』と尋ねてきた」と語った。


何千もの人が逮捕され、何百人もが拷問によって死に、子供たちが処刑された1980年9月12日軍事クーデターから34年が経過し、クーデターの中心人物であったケナン・エヴレン被告とタフスィン・シャーヒンカヤ被告が有罪判決を受けた。当時参謀総長であり、第七代大統領であったエヴレン被告と当時空軍司令部と国家安全保障評議会の一員であったタフスィン・シャーヒンカヤ被告がクーデターを起こし、憲法とTBMM(トルコ大国民議会)を廃止しようと企てた罪によって両者とも加重された終身刑を宣告された。
アンカラ第10重罪裁判所で行われている訴訟の昨日の審理に、アンカラのGATA(ギュルハーネ軍医学協会)で治療を受けているエヴレン元大統領とイスタンブルのGATAにいるシャーヒンカヤ被告は病室から電話会議システムで参加した。審理の間、一度エヴレン被告の治療が行われた。被告らを弁護士のビュレン ト・ハイリ・アジャル氏が弁護した。

■無罪を主張した

共和国検察官であるエルディンチ・ハカン・オズダバクオール氏が所見を繰りかえし二人の被告に対し有罪判決を求める一方、被告の弁護人であるアジャル氏は依頼人が憲法制定権者であったため罰せられないと擁護し、無罪を主張した。最後の発言を求められたエヴレン被告は弁護士の弁護に関し「賛同する」と述べ、シャーヒンカヤ被告は というと「同意する」と話した。
判決を読んだオクタイ・サダイ裁判長は、被告らが参謀総長や軍の司令官として当時首相であったスレイマン・デミレル氏と共にCHP(共和人民党)のビュレント・エジェヴィト党首に与えた1980年1月2日付の起案書により憲法とTBMMを廃止させ、職務を妨害しようとした罪を犯したと明らかにした。判事団は1980年9月 12日に二人の被告が同じ罪を犯したと述べ、エヴレン被告とシャーヒンカヤ被告へ以前罪を犯した日に有効であったトルコ刑法典(TCK)の146章第/1項に基づき加重された終身刑に処した。

■優良な態度により減刑が適用された

一連の犯罪条項は適用されないとの判決を出した裁判所は、被告の審理における態度や行動とともに健康状態と年齢を考慮し、判決を軽くし終身刑に変更した。
被告らに関し国外への出国を禁止するという形での司法コントロールは継続される。サダイ裁判長は、判決が明らかにされた後に見解を尋ねた新聞記者へ「我々は裁判官として判決を出した。我々の意見、見解を述べることはできない」と話した。法廷にいた傍聴人たちは判決を嬉々として受け入れた。彼らは「これはまだ始まりにすぎない。闘いは続く、クーデターを起こした者たちは国民に償いをすることになるだろう」というスローガンを叫んだ。

■法の執行は病院で

裁判所がエヴレン被告とシャーヒンカヤ被告に関し適用を求めている「トルコ軍(TSK)からの除名」について規定している軍事刑法(ACK)第30条は、一年以上の実刑が宣告され有罪判決を受けた将校はTSKとの関係を断たれ、軍の階級を返上し退官するということを記載している。そのため最高裁判所が判決を承認すればエヴレン被告とシャーヒンカヤ被告の階級が剥奪される:彼らに授与された勲章も使用できなくなる。TSKを退官したエヴレン被告とシャーヒンカヤ被告が取得している権利は変更されず、年金は継続して受け取れる。しかし軍将官宿舎には住めなくなる。判決が確定したら、両被告の年齢と健康状態を理由に刑の執行は病院で続けられうる。

■憲法は施行されている

ケナン・エヴレン被告とタフスィン・シャーヒンカヤ被告は、彼らがクーデターの後に用意させた憲法の条項に従って有罪宣告されたという興味深い状態に陥った。1982 年憲法は、エヴレン被告とシャーヒンカヤ被告が所属していた国家安全保障評議会によって準備され、国民投票にかけられ承認された。多数の法律と規則はこの憲法に基づきつくられ、憲法に似たこれらの法律はというと未だ施行されたままである。エヴレン被告とシャーヒンカヤ被告は、自らがつくりあげた法システムによって告訴され罰せられたのである。与党はいまだに10%の最低得票率を含め、当時整えられた制度が撤廃されていないことを理由に批判されている。

■国民投票から訴訟へ

9月12日訴訟においてケナン・エヴレン被告とタフスィン・シャーヒンカヤ被告が罰せられるというプロセスは、2010年9月12日に行われた国民投票が承認されたことにより始まった。国民投票によって1980年9月12日の軍事介入を行った者たちが裁かれないことを盛り込んだ憲法の時限条項である第15条が撤廃された。その条項とともにクーデターや起案書のような民主主義とは言えない介入を規定しているTSKの軍法第35条も国会が撤廃した。国民投票の後で刑事告訴を受けた検察が2012年に訴訟を起こした。

■記憶にその最後の景色が残った

1980年9月12日軍事クーデターの代償は大きかった。65万人が逮捕された。168万3千人が警察に記録された。起こされた21万件の訴訟にて23万人が裁かれた。7千人が死刑を要求された。517人に死刑判決が言い渡された。そのうち50人が絞首刑に処せられた。刑務所で合計 299人が亡くなった。144人は疑わしい方法で、14人はハンガーストライキによって命を落とした。1万4千人が市民権を取り上げられた。2万 3千677人が組合の活動を中止させられた。死刑にされた者の中には当時17歳であったために歳をごまかして絞首刑に処せられたエルダル・エレンさんもいた。エヴレン被告とシャーヒンカヤ被告への有罪宣告後、9月12日クーデター当時に刑務所で組織的な拷問が行われていたということに関する捜査が継続される。

■知らせを受け、どうしたか? 判決を認識できなかった。

ケナン・エヴレン被告の娘婿であるエルカン・ギュルヴィト氏は、判決を受けた時の様子を語った:「彼は判決を理解できなかった。認識できていればとても悲しんだであろう。意識がはっきりしている時は、『我々はなぜこのような状態へ陥ってしまったのか』と憤っていた。法律は全ての人に必要なものである。」

9月12日クーデターを実行したケナン・エヴレン被告とタフスィン・シャーヒンカヤ被告が終身刑を宣告された裁判の後、今後の展開へと目が向けられた。第7代大統領であったケナン・エヴレン被告の娘婿のエルカン・ギュルヴィト氏は、GATAに入院しており健康状態が良好でないといわれるエヴレン被告が近々98歳になるということを指摘し、「(エヴレン被告は)判決を理解できなかった。認識できていたらとても悲しんでいただろう。そうであったときは、『なぜこのような状態になってしまったのか』と憤っていた。裁判が無法地帯であったと信じていた。世論で憲法は承認された話していたのだ。法律は全ての人にとって必要なものである。クーデターがどんなに悪いものであるとしても、法律がないことはそれと同じくらい悪いものである」と話した。
エヴレン被告の最も近い親族である娘婿のギュルヴィト氏は、すでに多くのことを理解できないエヴレン氏が判決に関しても認識しておらず、そのためコメントを出せないと話した。
判決が理解できないエヴレン被告が、裁判についても不快感をあわらにしていたことが明らかにされた。ギュルヴィト氏は一時エヴレン氏に対し頻繁に言われていた「法律は全ての人に必要なものである」という言葉を思い起こしながら、「健康状態は良くない。我々は先生や弁護士と話した。そもそもこの裁判を起こすことはできない。エヴレン被告とシャーヒンカヤ被告は、今あるシステムをつくった張本人である。クーデターがどんなに悪いものであるとしても法律がないということはそれと同じくらい悪いことなのだ」とコメントした。

■感謝した

エヴレン被告は判決を伝えたビュレント・アジャル弁護士の言葉をも理解できず「会議に参加したのか」と質問し、より良い状態であると明らかにさ ているシャーヒンカヤ被告はというと、「ありがとうございます。あなた方は職務を全うされた」と話していると伝えられた。二人の被告の弁護士を務めているビュレント・アジャル氏は、彼らがクーデターを起こしたか否かではなく法律に注意を払う必要があると述べた。アジャル氏は、「法的にこれらの人は良くも悪くもトルコで最も法的に保証されているのである」と話した。

■「憲法によると裁判にかけられることはできない」

ケナン・エヴレン被告とタフスィン・シャーヒンカヤ被告の弁護士であるビュレント・アジャル氏は、初めての審理から今日に至るまで強く主張し続けてきた事柄を想起し、以下のように語った:
「全ての人は適切な制度で管理されている。彼らのようなクーデターの主導者であっても同じである。裁判所もこれを承認した。しかし憲法は施行されている。TBMMも機能している。これらの組織、大統領、首相の権限を61年憲法が規定しているとでもいうのか。82年憲法がなければ大統領と職も首相職もないのだ。82年憲法があるにもかかわらずどうやって裁判にかけられるのか?可能であるのかこのようなことは?実際に皆任務を遂行している現在人々を実際に裁かせている者たちは、明日、裁かれることが運命づけられている。因果応報である。最高裁判所が判決を承認すればこの判決は画期的な意味をもつことになるだろう。憲法の適用を妨げるとこの罪にあたるという。しかしこれでは彼らではなく、判決を下した者が罪を犯したということになる。不快にさせることになるとしてもこう言おう:この二人はトルコの現行法をつくった。最も保証された人物はトルコでは実はこの二人である。あなた方が彼らに対しこのようなことをするのならば、全ての人が全ての人に好きなことをするだろう。」

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( 翻訳者:足利阿紀 )
( 記事ID:34362 )