ISIS支配域で、シリア・イラク国境撤廃
2014年07月04日付 Radikal 紙


テロ組織ISIS(イラクとシリアのイスラム国)が率いる武装集団は、掌握した地域をもってイラク・シリア国境を事実上撤廃した。

イラクとシリアの間には4つの国境門がある。ワリード国境門はイラク軍、ペシュカブールとヤールビイェの門はペシュメルガ(クルド人民兵)の支配下にある。カイム国境門はISISが掌握しており、シリア側にあるアブ・カマル門も支配下に置いている。チグリス・ユーフラテス川の周辺で勢力を強めるISISは、カイム国境門の掌握により、シリアとイラク直接行き来できる通路を確保した。ISISはシリアのラッカ市からイラクのラマディ市までの広い地域を支配下に置いた。

シリアのムンブチや石油地帯であるラッカ、イラク国境に近いデリゾールはISISの支配下にある。イラクでも、スンナ派アラブ地域の大部分がISISに掌握された。アンバル州ファルージャやラマディ、イラク第二の都市モースル、ベイジ石油精製所のあるティクリートとテルアフェル、セラハッディンとディヤラの一部地域がISISの支配地域に入っている。

■直通回廊

ISISはイラクとシリアで掌握した地域をもって、両国間を直接行き来できる回廊を手に入れた。この通路の開設はISISの活動地域拡大に重大な影響をもたらした。ISISはモースルを掌握する際、シリアから持ち出した武器と弾薬を利用した。イラク軍の撤退後、手に入れた大砲とミサイルの一部はシリアに持ち出され、トルコ国境のジャラーブルス村でYPG(人民防衛部隊、クルド系政治組織である民主連合党配下の武装組織)に対して使用された。

セラハッディン大学政治学部のカムラン・メンティク教授はAA(アナトリア通信)の記者に答え、「イラク・シリア国境は事実上撤廃された。ISISが広範囲を支配下に置いたことで中東の国境が動いている。これもこの地域におけるより強力な軍による戦争の原因となりうる。これが実現しないことを祈る」と述べた。

メンティク教授は、トルコとイランが地域アクターとして、ロシアとアメリカは世界的アクターとして責任ある役目を果たすことが必要だと述べ、「政治的解決のためには変わりゆく地図に沿って行動がとられなければならない。歴史的な地図ではなく、現在の地図を考慮して政治的解決を模索しなければ結果に結びつかないだろう」と語った。

ISISはイラクに6千人、シリアには5千人の兵士を有すると言われている。イラクとシリアで活動する武装組織であるISISはサラフィー主義思想を掲げている。イラクやシリア、パレスチナ、ヨルダンにまたがる地域で国家を築こうとしている。2004年にイラクで組織され、現在アブー・バクル・アル=バグダーディーが指導者を務めるISISはシリアとイラクにおける最大武装勢力のうちの一つである。



本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介されています。

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( 翻訳者:南澤沙織 )
( 記事ID:34580 )