バルザーニー、中央政府にISIDについて警告していた
2014年07月06日付 Radikal紙

北イラク・クルド自治政府(IKBY)のメスト・バルザーニー議長は「イラク・シリアのイスラム国」が強大化していく様をずっと以前から見てきており、これをバグダード政府にも伝えてきたことを明らかにした。

IKBYのメスト・バルザーニー議長が独紙「ヴェルト日曜版」に語り、ISISというテロ組織の脅威、イラクの分裂、クルド地域での諸問題、そして近隣諸国との関係について説明した。

■「イラク政府の悪政」

バルザーニー議長は、ISISが北イラク・クルド地域にとってどれほど脅威であるかという質問に対し、国境が突然脅威に晒されたとして、「我々はISISの軍隊が強大化していく様をずっと前から、懸念とともに注視していた。イラク政府にもこれを知らせたが、イラクのヌーリ・マリキ首相は聞く耳を持たなかった。今、状況はさらに悪化した」と答えた。
また「バグダードにある政府の悪政」をISISが強大化した原因として挙げた。スンニ派から政府に対し、より良い街路や病院、学校などを求める基本的な要求があったのに、シーア派がより多くを占めるマリキ政権はこれに関心を持たず、ISISは自分たちをスンニ派の代表者として見せながら影響力を強めていると述べた。

■「モスル問題で警告したが、マリキ首相は聞く耳を持たなかった」

バルザーニー議長は「イラク政府が知らん顔をしていることに対し常に抗議してきたこと」を明らかにし、モスルが陥落すると警告したが、マリキ首相はこれを信じようとしなかったと主張した。
クルドとしては、スンニ派の自然権に反対はしないが、テロには反対していると述べ、スンニ派が住む地域にはISISだけでなく、中央集権政府へ反対する多くの集団も存在することを指摘した。

また、「あなた方の戦略には自分たちの土地を守ることとに限定されたものか」との問いには、「我々は自分の国土を守っている」と返した。トルコ政府とシリア政府からの土地の要求に関しては、「他国におけるクルドは、自分たちの運命について自らが平和的に決断しなければならない。政治的解決がイラクにいるクルドのせいで失敗するということはないだろう」と述べた。
議長はISISが他国から支援を受けているかどうかについては「よい質問だ。ISISはシリア内戦の最中で力を増した。ラッカにあるISISの指令センターは、アサド大統領の空軍がこれを実行できる勢力下にいるのに、爆撃を受けないでいる。興味深いことだ」と話した。

■「ISISはスンニ派地域で強大化する」

バルザーニー議長はまた、ISISのクルディスタン進出は許さず、ISISがシーア派地域のカルバラやナジャフでシーア派聖地の制圧や破壊を行うことがあればシーア派はこれに反対し、そうなればイランもこの問題に絡んでくるだろうとの見解を示し、ISISはスンニ派地域に集中すると予想した。
サダム・フセイン政権打倒後、アメリカはどのような過ちを犯したかという問いに対しては「アメリカの最も大きな過ちは、残念ながら、あっという間に救世主から征服者に変わったことだ」と返答した。
議長はこれに加えて、早急に多民族多宗教の臨時的なイラク政府の樹立が必要だったこと、しかしそうではなく、イラク情勢を知らないアメリカの指導者が任命されたことを指摘。アメリカがイラクにとても長く滞在したかという問いに対しては、「私は政権軍が困難な状況にある国をの独立を保てると信じていないため、アメリカがイラクから完全に撤退することには反対した。今日という日は私の見解がいかに正しかったかを示している。クルディスタンでは自分たちの安全は自分たちが保障している」と話した。
またイラクの国家構造がこのまま残るどうかとの質問には、この構造がこのまま残るかはクルド住民の関与するところではないとの見解を示し、自分たちは連邦構造に従うと答えた。

■「イラクが分裂している」

バルザーニー議長はシーア派やスンニ派の間で修正できない多くの過ちがなされているとし、「イラクは分裂しており、これはある人々が直視したくない現実だ」と語った。アメリカがクルドの独立支援をするかどうかについては「積極的な援助は期待していないが、彼らが抵抗を示すことも期待していない。我々を支援するアメリカの政治家もいるし、支援しない人もいる。クルディスタンの独立は、結局はクルド人の問題だ」と話した。

議長は彼らが10年前から民主主義的なイラクの発展に取り組んでいるが、イラクでは多くの人が暴力を政治のひとつの手段として見ていると明かし、シーア派とスンニ派で急進的な勢力が影響力を強めていることを指摘した。
「彼らと1つの共同国家を建設しようというのか。これはあってはならない。住民は強制的にではなく自発的な形でともに暮らすことができる」と述べ、イラクにはクルド、スンニ派、シーア派、キリスト教徒のアイデンティティがあっても、イラク人としてのアイデンティティはない」と話した。

■「我々のトルコとの関係は極めて良好」

「これからクルディスタン建国という問題で近隣諸国がこれを承認するとの印象はあるか」との質問には、近隣諸国はこの10年間で、クルドが他国に対して示威的行動をしなかったことを理解しているとし、「トルコの関係はこの10年間でずいぶんと発展し、現在は極めて良好だ。我々はクルドとトルコ政府の間の平和的プロセスを支持している。ひとつ重要な進展として、トルコのレジェプ・タイイプ・エルドアン首相がアルビルで我々を訪問した。これは歴史的な一歩だ。逆にクルドは皆にとって良い隣人となるだろう」と話した。
バルザーニー議長は欧州になにを期待するかについては、テロリズムとの闘争のため、あらゆることが必要だと述べた。

またクルディスタンの独立はいつ宣言されるかに関しては以下のように答えた。
「少し前までは独立が話されると、刑務所に入れられた。しかし独立は罪ではない。これを聞き入れようとしない多くの人々はこれに慣れる必要がある。独立は国の自然権だ。誰かがこれを拒めば、人々に対して不正を行うことになる。独立を宣言する前に、私はこれを国民に問い掛けたい」
議長はこの問題で国民投票の実施に向け、クルド議会との取り組みが行われることに言及した。多くの欧米人やトルコの企業がクルド地域で投資していることを話し、政治的独立や魅力的な企業活動の機会を保証すると付け加えた。



本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介されています。

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(翻訳者:星井菜月)
(記事ID:34607)