イラク:ダーイシュ、少数派のヤズィーディー派を虐殺
2014年08月04日付 al-Quds al-Arabi 紙

■社説:ダーイシュが来ないためにも、ダーイシュになるな

【本紙】

「イスラーム国(ダーイシュ、ISIS)」は、昨日(3日)も虐殺を続けた。目撃者によれば、ヤズィーディー派のイラク人青年67人がイスラーム国(ダーイシュ)戦闘員の銃撃によって死亡した。さらに、モースル市北方のシンジャール行政区でもヤズィーディー派の聖地を爆破した。

また目撃者は「イスラーム国の戦闘員は、ヤズィーディー派の青年にイスラム教への帰依や改宗、入信を求めたが、それが拒否されたために虐殺を行った」と伝えた。

3日未明にシンジャールがイスラーム国の手に落ちた際、何千人もが同市から避難した。国連は、イラク国内に約30万人いるヤズィーディー派の存在を脅かす「人道的惨事」が発生する可能性について警告を発している。

これは新たな人道的悲劇である。3日にメディアは「ダーイシュ」から逃れるために砂漠をさまよう同派の家族の様子を伝えたが、その映像を見た者は、このようなことが21世紀に起こっているとは信じられないだろう。しかし、イスラム国のこのような行為は、同組織が樹立した「カリフ制国家」内部で起こっている虐殺や遺体への冒涜、女性への抑圧といった振る舞いと多くの点で一致している。

この穏健なヤズィーディー派は、常に激しい政治闘争から距離を置くよう努め、イラクを支配していた全体主義体制の残虐な行為から逃れてきた。しかし今日、人道に反する新たな犯罪に直面する中で、イスラム教に改宗するか「ダーイシュ」の手で殺されるかの選択を迫られている。

かくして、このテロ組織が宗教的、民族的なマイノリティを殲滅するために犯罪的な計画を続けていることは明らかだ。それはイラクで始まったものの、そこで終わることはない。同組織は、モースル・ダムやズンマール油田で起こったように、さらなる戦略的地域で覇権を広げ続けている。

(後略)



本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介されています。

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( 翻訳者:廣瀬奈美 )
( 記事ID:34969 )