トルコの老舗は
2014年08月24日付 Radikal 紙


トルコ経済界には数は少ないが、オスマン帝国時代に設立され、トルコ共和国建国の目撃者となった企業がある。創業237年のハジュ・ベキル・ロクムラルはトルコで最古の老舗だ。以下の表には他にも老舗が挙げられている。

経済界では毎年、数千の会社が設立され、数千の会社が様々な理由で倒産する中、数百年も持ちこたえている老舗もある。現在トルコで約1000社の会社(株式及び有限)を含む、300万以上の事業がある。これらの会社の85パーセントは1996年、65パーセントは2000年以後に設立されているのがわかる。

■1代目が創業、2代目が経営し、3代目が潰す

「1代目が創業、2代目が経営し、3代目が潰す」という言葉がたびたび用いられるトルコの経済界において、同族経営の会社の平均寿命は25年だ。
トルコ経済界には、その数は少ないが、オスマン帝国時代に設立され、トルコ共和国建国の目撃者となった企業がある。
トルコ最古の老舗のうち重要なものは、食品業界で活動している。トルコで100年続く企業の数が少ないことの主要因は、オスマン朝からトルコ共和国への移行期に、それまで存在した企業の多くがその活動を終えたためだとされる。

■最古のものの多くは「食品」業界で活動している

トルコの最も古い企業は1777年創業のハジュ・ベキル・ロクムラルだ。この企業は、カスタモヌ県アラチ郡からイスタンブールにやってきて、1777年にバフチェカプで開いた小さな菓子屋でロクムやアキデのような菓子の製造や販売を始め、その後1817年から1820年の間に巡礼を行ったことで、ハジュ・ベキルと呼ばれることになる菓子職人ハジュ・ベキル・エフェンディ氏が建てたこのお菓子屋は、今日5代目が経営している。

ハジュ・ベキル・エフェンディのイギリス人の客の一人であったある旅行者が、一緒に持って帰ったロクムをイギリスで自分で名称を付けてふるまったのが「ターキッシュ・ディライト」だ。ロクムはそれ以後今日まで英語圏や世界中で「ターキッシュ・ディライト」、フランスやバルカン諸国では「ロコウム」として呼ばれているといわれている。
トルコ経済界で2番目に古い老舗は、1860年に設立されたイスケンデルだ。イスケンデルも食品業界で活動している。仔羊の肉を筋や骨から切り分け、まっすぐな棒に刺したメフメトオール・イスケンデル・エフェンディ氏のドネルケバブはトルコや世界中の食文化において数世紀来支持されてきた。
「ハーフズ・ムフタファ、ヴェファ・ボザジュス、カラキョイ・ギュルオウル、クル・カフヴェジ・メフメト・エフェンディ、アルタン・シェケルレメ、コスカ、パンデリ、イェ二ギュン、ウルダー、エルデン・グダ、コミリ、チョゲンレル・ヘルヴァ、ジェミルザーデ、ハジュ・アフドゥッラー、コンヤル・ロカンタス、ベベッキ・バーデム・エズメジシ」も食品業界で100年を超える歴史がある老舗である。

■最も歴史ある銀行はズィラート

記録上トルコで最も古い銀行は、創業151年のズィラート銀行である。19世紀前半オスマン帝国で商業や金融において、西洋のモデルが適用されるとともに、外資の銀行が国内で活動を始めた。ちょうどその時期、国内で自前の銀行業システムを設立するためにまだ十分な資本の蓄積がなかったし、資金調達の手段としての国営銀行を作り出すことについてはまだ言及されなかった。
ズィラート銀行の創業はミドハト・パシャが1863年にピロット・カサバスで開いたメムレケット信用金庫に始まる。トルコの慣習の中にあった互いに助けあうという精神に基づく互助の伝統から着想をえてつくられたメムレケット信用金庫は、1867年に「メムレケット信用金庫条例」が施行されることで、オスマン帝国各地で活動を開始し、長期的な成功を続けながらサービスを提供した。1883年同じ目的で「メナーフィ信用金庫」が設立され、1888年8月15日にはメナーフィ信用金庫に代わって業務を引き受ける近代的な金融組織としてズィラート銀行が正式に設立された。

■医薬品業界で最も古いのはアブディ・イブラヒム

1912年にイスタンブールのキュチュクムスタファ地区で開業した薬局において、1916年、「製薬」が開始された。会社は1919年に初めて製薬工場を設立し、1975年には社名がアブディ・イブラヒム製薬株式会社に変更された。
一方韓国銀行が発表した報告書によると、41カ国で行われた調査では、世界で5586社の企業が200年以上の歴史を持つという。これらの企業のうち、3146社は日本、837社はドイツで設立されたという。

トルコで最も古い企業の創業者、創業年は以下のようである。

会社名/創業者/創業年
ハジュ・ベキル・ロクムラル/ハジュ・ベキル/1777年
イスケンデル/メフメトオール・イスケンデル・エフェンディ/1860年
ズィラート銀行/ミドハト・パシャ/1863年
ハーフィズ・ムスタファ/イスマイル・ハックザーデ/1864年
アルタン・シェケルレメ/カラギョズオール・エミン・ビン/1865年
ヴェファ・ボザジュス/ハジュ・サドゥック/1870年
カラキョイ・ギュルリュオール/ハジュ・メフメット・ギュルリュ/1871年
クル・カフヴェジ・メフメット・エフェンディ/メフメット・エフェンディ/1871年
サブンジャキス/イスティラキ・サブンジャキス/1874年
エルデン食品工場/マヒル・カミル兄弟/1878年
コミリ/コミリ・ハサン/1878年
チョゲンレル・ヘルヴァジュルック/ラシフ・エフェンディ/1883年
ジェミルザデ・シェキルジ/ウディ・ジェミル・ベイ/1883年
ハジュ・アブドゥッラー/アブドゥッラー・エフェンディ/1888年
ハジュ・シャキル/ハジュ・アリ/1889年
テクスィマ・テクスティル/メフメト・ボトサル/1893年
トゥズジュオール・ナクリヤト/トゥズザーデ・アフメット・ベイ/1893年
コンヤル・ロカンタス/アフメト・ドユラン/1897年
アレヴリ株式会社/ユダ・レヴィ/1898年
パンデリ・ロカンタス/パンデリ/1901年
アルカス・ホールディング/ガブリエル・アルジャス/1902年
ベベッキ・バ-デム・エズメジスィ/メフメト・ハリル・ベイ/1904年
コスカ/ハジュ・エミン・ベイ/1907年
イランジュルック・デービット・サマノン/ジャック・フルリ/1909年
エジェ・アジャンダス/メフメト・サドゥック・ベイ/1910年
アブディ・イブラヒム・エジュザジュ/アブディ・イブラヒム/1912年
ウルダー/メフメト・ハック・ベイ/1910年
イェニギュン・レチェルレリ/マフムト・ヤージュラル/1914年



本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介されています。

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( 翻訳者:星井菜月 )
( 記事ID:35170 )