ケリー長官アンカラ訪問、「イスラム国」対応に参加求める
2014年09月13日付 Hurriyet 紙


「イスラム国」への対応で、トルコからの支援を求めるためにアンカラを訪れたアメリカのケリー国務長官は、「なんらかの参加を」と求めた。

ケリー国務長官は、メヴリュト・チャヴシュオール外相、タイイプ・エルドアン大統領、アフメト・ダヴトオール首相の順に会談した。ケリー長官には、トルコがこの同盟にアクティブな形では参加しないものの、人道支援や物資調達の面では支援をするとの返答がされた。そして、この地域における「すべてのテロ組織との戦い」に関し、合意がなされた。ケリー長官に対しトルコ側は、「イスラム国」との戦いに際し、アサド政権の問題が脇に追いやられない必要があるとの認識を示した。

アメリカの外務を担当するジョン・ケリー長官は、オバマ大統領が発表した「イラク・シリアのイスラム国(IŞİD/ISIS)」への対抗プランと、今後編成される「主要国同盟」について詳細に議論するため、昨日、アンカラを訪れた。まず、メヴリュト・チャヴシュオール外相と会談したのち、タイイプ・エルドアン大統領、アフメト・ダヴトオール首相と会見したケリー長官は、トルコを、「密接な関係のある非常に重要なパートナー」として見ていると強調した。ケリー長官は、「イスラム国」が人質として49人に関連しトルコに特別な事情があることは理解しているとしつつも、「イスラム国」との戦いに「何らかの形で」参加することが必要だとみていると述べた。

■エルドアン大統領との会見は2時間半

ケリー長官とエルドアン大統領の会見は2時間半、ダヴトオール首相との会見は1時間半続いた。大統領府の情報筋によると、「イスラム国」に限定することなく、「全てのテロ組織」に対し、今後も共同の作戦が続けられると強調されたという。また、トルコからシリアへの入国についての情報が共有されると同時に、シリアの反政府勢力への人道支援物資の搬入が続けられることが合意されたという。

■「イスラム国」問題は、アサド問題と直結

トルコ側は、「イスラム国」に対する戦いへ「戦力」として参加の考えはないことをケリー長官に伝えた。そして、「イスラム国」への軍事対応がイラク国境に限られるべきであることを主張した。トルコ側は、「イスラム国」の勢力拡大とアサド政権の間には直接的な関係があることを強調した。この地域で過激思想が広まったのには、イラクとシリアで党派的な政治(シーア派とヌサイリー派への優遇をさす)が行われたことが原因であるとするトルコ政府は、それゆえ、この地域では、全ての勢力に等距離で、かつ包括力をもつ対応が必要であると主張した。「イスラム国」はもともとはシリアで増殖したものであり、「イスラム国」との戦いに際しては、アサド政権(の打倒)が忘れられてはならないとされた。

■空域と基地

トルコ側は、「イスラム国」との戦いで、人道目的と物資提供では支援すると改めて主張した。この支援の一環で、人道支援機の飛行のために空域を開放することとや一部の基地に使用許可が出される可能性があることが示された。今後、イラクやシリアからトルコに難民が流入した場合にとられる措置についても検討された。イラクやリビアの情勢も話題となった。トルコは、両国において選挙で選ばれた政府への支援を続けると強調した。

■「とても大事なパートナー」

ケリー長官とチャヴシュオール外相は、外務省での会見に先立ち、短い記者会見を行った。チャヴシュオール外相は、ジッダ会議以後、これが3度目の会見になるとし、「今日の議題はイラク情勢だ」と述べた。ケリー長官は、次のように述べた。「互いに、非常に重要なパートナーだ。単にNATOの参加国としての同盟ではなく、同時に、トルコとアメリカ合衆国に直接かかわる親密な同盟関係が存在する。中東について、そして、今はイラクについて。私がもっとも密な関係を築いてきた相手の一人がダヴトオール氏(元外相)だった。同氏が首相となったため、今は、チャヴシュオール外相と、頻繁に会見している。」

この訪問の真の目的は「イスラム国」への対応であったが、会見では、キプロス問題についても、予定をこえて議論された。トルコは、問題の解決のため、アメリカがギリシャ側に圧力をかけることを求めた。ウクライナ問題や、トルコ・アルメニア関係の問題点も話題となった。

■入口でのドタバタ

アフメト・ダヴトオール首相は、ジョン・ケリー国務長官と首相府中央ビルで面会した。アメリカ大使館のジープで首相府にやってきて、首相府中央ビルの来賓口の階段を通って建物に入ったケリー長官に、アメリカ国務省のジェン・プサーキー報道官らが続いた。しかし、ケリー長官の随行者が、長官がとおった入口をどうしても使おうとしたため、首相府の警備の警官が押しとどめた。アメリカ側の関係者も割って入り、トルコ側警備陣は、アメリカ代表団が、通常は使用が認められない入口から入るのを認めた。



本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介されています。

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( 翻訳者:トルコ語メディア翻訳班 )
( 記事ID:35339 )