エルドアン大統領国連演説、「世界のダブルスタンダードがテロを生んでいる」
2014年09月24日付 Milliyet 紙


国連総会で演説したエルドアン大統領は、中東で起きている圧政にふれ、人道に対する罪が行われていると述べた。国連は毅然とした態度をとることができなかった述べたエルドアン大統領は「もし民主主義だというならそれを本気で守ろうではない。民主主義ではなく、軍事支配の肩をもつなら、なぜ国連はあるのだと問いたい」とした。エルドアン大統領の演説には、しばしば拍手がおきた。

また、レジェプ・タイイプ・エルドアン大統領は、国連安全保障理事会の外国人戦闘員に関する首脳級特別会合でも発言し、「”イスラム国”は手を血に染めたテロリストだ」と述べた。

■国連総会での演説

レジェプ・タイイプ・エルドアン大統領は、アメリカで開催されている国連の第69回総会で演説した。初日に演説したエルドアンは、世界で起きている人道的な危機に対する国連の態度を批判し、「『近代世界』によって示されるこのダブルスタンダードにより、非常に多くの人々が不信感をいだいている。国連やその他の国際機関に対して良心が感じる不信は、公正感を揺るがし、何百万もの人々を絶望への陥れている。今日、我々が直面している国際テロを生み出したものの一つは、この不信感だ」と述べた。

エルドアン大統領は、また、宗教においてテロの概念はまったく容認されるものではないとし、「平和を意味するイスラムを、テロと並べて使うことを激しく反対する。イスラム・テロという言い方は、人々を傷つける」と述べた。

■「子供たちが殺されている世界で、だれも無実ではない」

21世紀のこの世界で、人が飢餓や伝染病で死んでいると述べたエルドアン大統領は、「国連第69回総会を、1914年に始まった第一次世界大戦の100周年に開催している。第一次世界大戦の舞台となった(中東という)地域が、100年をへて、いまだに安定・安寧・平和を享受していないと残念ながら、述べざるを得ない」と述べた。

「イラクからシリアへ、エジプトからリビアへ、アフガニスタンからウクライナにいたる広汎な地域が、混迷のなかで人々の心を深く傷つける様相を呈している。この21世紀に、人々は、今なお飢餓や伝染病でなくなっている。子供や女性が戦争で残酷に殺されている。世界の豊かな国々で人々が幸せな暮らしを送っているとき、貧しい国々では、飢餓、栄養失調、伝染病、教育の不足が蔓延している。
 気候変動は、世界と子供たちの将来を危険にさらし、人類にとって重要な試練となっている。この光景は、人類の尊厳にかなう光景ではない。これは、全人類と国連に直接かかわる問題だ。もう一度、強調したい。子供たちが死に、殺されている世界では、誰も無実ではない。(子供が殺されている限り)、誰ひとりとして、命の保証はない。誰ひとりとして、いつまでも平和と安寧のなかにとどまることはできない」と述べた。

■「国際テロの源は、不信感」

演説でガザで命を落としたり怪我をした子供たちに言及したエルドアン大統領は、国連のガザに対する態度ゆえに、不信感が生まれているとのべ、次のようにつづけた。

「昨年だけでも、5歳以下の630万人の子供が死んでいる。シリアの戦争で17000人がなくなった。37万5000人が負傷した。19000人が体の一部を失った。今年、パレスチナのガザでは、もっとも近代的な殺人兵器の標的となり、490人の子供が殺された。3000人が負傷した。カメラの眼の前で、世界の人々が見ているなかで、海岸で遊ぶ子供、公園を走る子供、モスクに隠れ、最も安全なはずの母の腕のなかにいる子供たちが無残にも殺された。パレスチナで、女性や子供、さらには体の不自由な人々が殺されている現実に世界の注目を集めようとした人々を黙らせるために、一種のレッテル張りが行われたのを目のあたりにしている。

イラクやシリアで行われている殺人やエジプトでの民主主義の殲滅に抗議するものは、根拠のない不当な非難にさらされ、瞬く間に、テロ支援だと誹謗される。メディアの自由がないと(トルコなど)いくつかの国を批判する者が、その一方で、パレスチナで殺された16人の新聞記者のことには触れず、メディアに対し行われる圧力を無視している。このようなことを、世界中の人々は見ているのだ。

はっきりという。子供や女性を無残に殺し、さらに、選挙で選ばれた政権が武器と戦車でクーデーターにより転覆されるのを傍観し、反対しなかったものは、この人道への罪の共犯者だ。『近代世界』によって示されるこのダブルスタンダードにより、非常に多くの人々が不信感をいだいている。今、我々がまさにそこにいる国連やその他の国際機関に対し良心が感じる不信は、公正感を揺るがし、何百万もの人々を絶望への陥れている。今日、我々が直面している国際テロを生み出したものの一つは、この不信感だ。不正義な目にあっている人々に対するこのダブルスタンダード、殺される子供たちに対するこの優柔不断な態度こそが、世界でテロに酸素を供給しているのだ。」

(中略)

■「ISISは、手を血に染めたテロリスト」

エルドアン首相は、国連安全保障理事会の「外国人戦闘員」に関するセッションでも演説し、「ISISは、手を血に染めたテロリストだ」と述べた。

エルドアン首相は、オバマ米大統領が主催した国連安全保障理事会の「外国人戦闘員」に関するセッションで、重要な発言を行った。演説を、「親愛なる友、ブラクに感謝する」という言葉を始めたエルドアン大統領は、外国人テロ戦闘員問題は新しい存在ではないとし、「これは、より大きな問題の反映、反響として現れたものだ。今日、トルコの南の国境を接する隣国の国家構造が崩壊し、それが生み出した不安定とカオスが、テロ組織に行動の場を与えたのだ。この地域は、残念ながら、テロ戦闘員らを引き付ける場所になってしまった」と述べた。

■「この脅威については、何度も警告したはずだ」

エルドアン大統領は、シリアの不安定化が始まって以来、トルコが国際社会に対しこうした脅威について何度も警告したと述べた。ISISの脅威がイラクに広がったことは必然だ、とするエルドアン大統領は、次のようにつづけた。

「過去のシリア政権の宗派的な政治の結果、生まれたものだ。国際社会が、一致団結し強調して行動したならば、克服できない問題はない。長期的な展望にたち、広汎で、現実的で真摯な態度をとるなら、この脅威を破ることができるだろう。トルコには、その方向で先導的な役割を演じる準備がある。もともと、トルコは、長年にわたってとってきた対応策により、外国人テロ戦闘員がこの地域に入るのを防ぐ努力をしている。しかし、これは、トルコだけでできる戦いではない。」

■「約6300人を入国拒否」

外国人テロ戦闘員の脅威は、それらの人々が出身国から出国するところから始まっているとし、この戦いは、本来、出身国で始められなければならないとするエルドアン大統領は、「まず、第一の目標は、こうした人々がトルコに入ることを防ぐことだ。この件では、以前から、関連国に協力を呼び掛けてきた。しかし、残念ながら、反応は鈍かった。この脅威の残忍性が増すにつれ、ようやく、最近になって出身国が我々と情報共有をはじめている。そのおかげで、外国人テロ戦闘員の脅威との戦いの一環として、約6300人の入国を拒否した。1000人以上を国外追放にした。空港に危機対策本部を設置した」と述べた。

■「外国人テロ戦闘員の流れを止めるには、国際的な協力が必要」

外国人テロ戦闘員の流れを止めるには、国際的な協力が必要だというエルドアン大統領は、「ここでもう一度、強調する。この点でトルコがその協力を求める友好国が、真の協力の精神を見せないかぎり、この流れを止めることはできない。この戦いに関し慎重さを求められるもう一つの点は、取られる対策が、イスラムフォビア的な人々の妨害や、共通の文明的価値観を傷つける方向にいかないようにしなくてはならない、という点だ」と述べた。

■「ISISは、手を血に染めたテロ組織だ」

エルドアン大統領は、トルコが長年にわたりテロの問題に苦しみ、何千人もの人々がテロの犠牲になってきたとし、「テロの生みだす苦しみを一番よく知っているものの一人だ」と述べ、次のようにつづけた。(中略)
「・・・・ISISは、手を血に染めたテロ組織だ。わが政府は、この面で、当初より必要な法的な対応ととってきた。テロとの戦いでは、トルコにとって必要なすべてのことが、地域の安定と人道的な必要性にそい、実行される。トルコの国境には、大きな圧力がかかっている。」(後略)



本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介されています。

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( 翻訳者:トルコ語メディア翻訳班 )
( 記事ID:35419 )