Oral Calisirコラム:一体化する「クルド問題」
2014年09月26日付 Radikal 紙

シリア・クルディスタンのクルド人と、トルコのクルド人;両者は密接な関係を持ち、運命共同体でもある。解決と変革の青写真は、それらと切り離して考えることは不可能だ。

コバーニーで、クルド人はIŞİD(イスラム国、ISIS)に対して大きな抵抗を見せている。トルコ出身のクルド人の若者も、抵抗に協力するために国境を越えている。IŞİDの攻撃から逃げた20万人近いシリアのクルド人もトルコ側へ避難している。政府と現地住民は、スルチュおよび周辺地域で人道支援(難民救援)のために、可能な限りあらゆる支援をしている。
IŞİDに抵抗しているコバンのクルド人は、地域の未来という観点から、長期にわたり戦略的重要性を示すことになる防衛線を形成している。
トルコの大多数の人々は、この生存をかけた闘いを、敬意をもって見ているのであり、さらには興奮を持ってみているのである。

同じ時期に、HDP(人民の民主主義党)の代表団と政府間会談が行われた。ヤルチュン・アクドアンやヌマン・クルトルシュといった副首相達が、会談は前向きに行われたと述べた。HDP代表団は、イムラルに行ってオジャランと話したいと繰り返し求めた。

この時に、KCK(クルディスタン社会連合: PKKのトルコ国内に置ける都市部支部組織)幹部らから、解決プロセスについて否定的な発表がなされた。カラユラン(PKKカンディル首領)は、「コバーニーへの攻撃により、解決プロセスは終わったのだ。」と述べた。国境ではHDP党員たちと治安部隊との間で緊張が起きている。

解決プロセスは失敗したのか?
明らかになった構図を見たとき、いくつかのことがらがうまくいっている一方で、いくつかの発表が、緊張が高まるような、そしてプロセスが失敗するような方向に向かうのを我々は見ることができる。地域が混乱に陥るとき、クルド問題も新たに形成されるこうした展開の一部になっている。アメリカによるイラク支配により混乱に陥った地域で、二つの基本的な安定勢力に言及しよう。それはトルコとクルド人だ。

以下のことも事実だ。両者の間にある不信は、完全に取り除かれたわけではない。長年蓄積したものがある…。クルド問題で、国家は、近年重要な変化を遂げた。しかし、国家の思考は、その青写真を、「基本的な自由とアイデンティティの問題」として受け入れるのには困難である。

同じ問題は、PKKとHDPの路線からもいえることだ。この路線をもたらす考え方が、AKP政権との対話と交渉プロセスにおいて、(彼らが)密接な関係を持っていたトルコの左派からの激しい批判の的となってしまっている。
左派のそしてリベラル派の一部は、PKKとBDP路線がAKPと合意したとして、「このために基本的な原則が放棄される」として批判をしている。左派的、リベラル派軸から来た批判は、クルド人の運動において、精神的圧力となっている…このため、彼らのいくつかの「ネガティブな発表」を考える際、「伝統的ともいえる不信感」以外に、クルド人の運動における「地域の圧力」を考慮にいれる必要があるかも知れない。

新たな行動の必要性
シリアのクルディスタンにおけるクルド人と、トルコのクルド人;両者は密接な関係を持ち、運命共同体でもある。解決と変革の青写真は、それらと切り離して考えることは不可能だ。以下のこともひとつの現実である、現在進行中の、そして時間とともにさらに拡大化するとみられている「解決プロセス」が、さまざまな問題と障害にもかかわらず、進行している。政府は、近々踏み出そうと考えている一歩に関してメッセージを送っている。
この地域のこの二つの集団(トルコとクルド人)の利益が、我々が置かれている混とんとした状況の中で、関わり合いを持ってきている…コバーニーがİŞIDの手に落ちると、起きるであろう悲劇の代償を、クルド人とともにトルコ人も払わざるを得なくなるだろう。今後この運命共同体は、国境周辺で存在を見せ始めることになる。

さて、クルド人はどうするだろうか?二人の副首相と会談したHDP代表団のスッル・スュレイヤ・オンデル氏は、「解決プロセスは終わったのか?という問いへ、カラユランの発表に基づきながら、以下のように答えている。「最後の答えはオジャランが発するだろう…」

この興味深い説明に、我々は以下のようにコメントできる。KCKから、HDPから否定的な発表がなされるとしても、解決プロセスの実際の責任者はオジャランである。オジャランは、クルド人の平和と解決への希望を、自らの行動や振る舞いで表しているのだ。
これを政治的展望で説明しても、象徴的な意味合いで説明しても、つまり「オジャランが、自身のリーダーシップを認めさせているのだ・・・」

構図が複雑に見えるとしても、そして様々な利益が衝突しているとしても、トルコ人とクルド人が、新たな社会的合意(社会的接触)を行い、この地域にエネルギー(行動力)を生みだしているように見える。

IŞİDの攻撃に対してなされる同盟は、前向きな一歩として意味をなすことになろう。



本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介されています。

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( 翻訳者:矢加部真怜 )
( 記事ID:35423 )