Fikret Bilaコラム:トルコの3つの行動プラン
2014年09月30日付 Milliyet 紙
エルドアン大統領が国連総会のため5日間のニューヨーク訪問を行った。この訪問の要は、米国バラク・オバマ大統領との電話会談とその直後のジョー・バイデン副大統領の訪問だろう。
この会談はエルドアン大統領が米国側からの要望を受けて行われた。会談後に関係者から伝えられた情報は、トルコの主張や要望の大部分が受けいれられたことを示していた。ニューヨークからの帰途、エルドアン大統領が記者の質問に対しておこなった回答も、会談後、トルコの戦略が良い方向に向かい始めたことを伺わせるものだった。
■3つの行動プラン
帰途、エルドアン大統領は、共同軍事作戦後に、トルコは自身に課せられた任務を遂行すると明らかにした。同時に、アンカラで開催される保安会議と、その後出される特別法により行動を開始すると強調した。これはエルドアン大統領の「決断」のサインである。
この発表は、トルコが、対イスラム国(ISIS)に対し編成された連合軍で、軍事面でも積極的に参加することを明らかにした。
エルドアン大統領が米国滞在中及び帰路でおこなった情勢の論評は、トルコの計画と優先順位を表している。この優先事項の特徴をまとめると次のようになるだろう。
① 連合軍とともに活動を行う。
② 連合軍とともに、シリア国境付近に飛行禁止安全地帯を編成する。
③ シリアにおいては、反対勢力を支援する形で、ダマスカスに新政府を樹立させ、長期的な政治的解決に成し遂げる。
■軍事活動方針
このプランの中で、アンカラ政府の軍事活動方針が形成される。統合参謀司令部はシリア側に編成予定の安全地帯に関して、それに付随する計画も整えた。今後、政府から命令次第でこの計画を実行にうつす準備も整っている。
軍事活動方針は次のように示せる。
① シリア国境付近の安全「ポケット」地帯、もしくは国境のシリア側に設けられた「デリケート地帯」と考えられる地域で国境全体に安全地帯を設ける形で活動を行う。
② 安全地帯を設けた後は、シリア側へ攻撃するのではなく、味方への襲撃やISISが民間人の襲撃・虐殺行為を試みた場合、陸・空軍が対処する。
③ 軍事的に、連合軍に兵站的支援を行う。
■「緩衝地帯」ではない
軍事専門家らはシリア国境付近に設けられる安全帯は「緩衝地帯」ではなく「安全地帯」として定義する必要性があると強調している。
軍情報筋は、緩衝地帯とは紛争中の国家間でのケースであり、当事国の軍隊の間には緩衝地帯を設けうると明らかにする。一方、トルコは、シリアと戦闘状態になく、安全上の理由でとる措置を緩衝地帯という名称で呼ぶことはできないとしている。
軍情報ソースによれば、シリア国境に設けられるとされる安全地帯は直線ではなく異なる高さをもち、波線状になると想定されている。
■特別法で通行許可
エルドアン大統領は、10月2日に国会で特別法が承認されれば、活動を開始すると明らかにした。すると、議会が与える権限は、これまでとどう違うのか、という問題が持ち上がった。
特別法の基本的問題は、当然、トルコ軍のシリア派遣についてである。しかし、連合軍との連帯活動、外国の軍事力がトルコ国内に滞在することなくシリア領土に通行する許可に関し、政府に権限を与えるという内容も含まれている。
また、設けられる予定の安全地帯をトルコ軍だけではなく、連合軍が協力して防衛することも優先度が高いと考えれば、特別法がその方向で調整される可能性も大きい。
■大統領府で首脳会談
軍事方針を含む今回の活動を前に、エルドアン大統領は大統領府で野党党首を集めたトップ会談を行いたいと思っているだろうか?
ニューヨークからの帰路、エルドアン大統領は「もちろんありえることだ。しかし野党側の態度はご存知でしょう」と回答している。この回答から、エルドアン大統領が、野党、特に共和人民党(CHP)ケマル・クルチダルオール党首が以前の発言から首脳会議にネガティブな反応を示すだろう、との推算があり、党首らの招集に前向きではないことが伺える。
なお、クルチダルオール党首は、「戦争状態」でもないかぎり大統領府には赴かない、と発言した。トルコの現状を戦争状態とみなしているかどうかは、党首のこの態度からは今ところ定かではない。
本記事は
Asahi 中東マガジンでも紹介されています。
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( 翻訳者:原田星来 )
( 記事ID:35441 )