アクドアン副首相、各地の暴動は「HDPがはじめ、HDPが終わらせた」
2014年10月11日付 Radikal 紙


トルコのヤルチュン・アクドアン副首相は、(軍の越境攻撃を可能とする)特別法が大国民議会を通過したことを受け、飛行禁止ならびに安全地帯の設置の重要性に言及するとともに、計画の枠組みにおいて国際社会と協調して行動することの必要性を明らかにした。また、「ここに来ない人間の代わりにトルコ兵がそいつの傭兵になったり、兵士を派遣しない人間に代わって、トルコ兵が現地で殉職することになったり、そんな世界はありえない」と述べた。

アクドアン副首相はCNNトルコのアキフ・ベキ氏が司会を務める番組『Baştan Sona 2(最初から最後まで)』に出演し、現在の課題について説明を行った。

シリアでのイスラム国(ISIS)によるコバーニーへの攻撃に反対するデモがトルコ全土で行われ、37名の犠牲者が出た。これに関して、アクドアン副首相は、この騒ぎはHDPの声明によって加速され、再びHDPの2度目の声明でテンションが下がったと述べ、次のように続けた。

「状況が進展したところでブレーキをかけたとみられる。どういうわけかHDPの声明によって加速し、そしてまたどうやらHDPの声明で多少落ち着いた。もっと下部の運動が、すべての場所で、完全になくなったわけではない。大規模な運動は何とか勢いがなくなったが、ビンギョル県で発生したような扇動的な運動があらわれ始めている。なぜこうした動きは起こったのか?HDPがある声明を行った。暴力、テロ、さまざまな運動、巷の事件。このような実際の行為を政党が呼びかけることなどできない。こうした出来事への扉を開くことはできないはずだ。その扉を開いてしまえば、司法と政治の正当性への議論にも扉を開くこととなり、これを崩壊させ始める。そういう意味でもHDPの行いは間違いだ。結局、感情的な衝突が起きた。いろいろな釈明ができるだろう。しかしいずれも罪のないクルド人の店を略奪したり、放火したり、クルド人の学生が通う学校に火をつけることへの言い訳にはならない。」

■HDPデミルタシュ党首の声明

アクドアン副首相は、HDPのセラハッティン・デミルタシュ共同党首からの文書声明を引用し、「政府はコバーニーの問題で前進し、努力を示した」という部分を、「それは初耳だ」と評価した。また、「政府は売ったりやったり、しかし何もなされていない。死に向かっている」という部分には、「政府は現在前向きな取り組みの真っ最中だ」と返し、ここまで来ることが客観的で建設的な、前向きな状況であると認識できるだろう。一連の事件が起こる前にそういうことが言えればよかったのだが。つまり、「こういうことが行われたが、できればあれもしておけば…」と初めから言われていれば、あんなに多くの人が死ななければ、こんなにあちこちで壊され、略奪されなければ…ということだ。いい方向に向かっている。しかしこれらの取り組みはまだ完了していない。引き続き落ち着きと良心への訴えかけが重要性をもっている」と述べた。

■「公の秩序と安全確保が第一の問題、譲歩できない」

アクドアン副首相は、公の秩序と安全については譲歩できないと強調し、「公の秩序と安全の確保が第一の課題となる。この問題には譲歩することはできない。無法状態への扉を開いてはならないし、この問題について取り組んで行く」と話した。

■「政府がコバーニーに何もしていないよう見せかけるのは誤り」

アクドアン副首相は、政府の行った投資について言及する際、それらの活動にも関わらず何もなされていないように見せかけるのは誤りだとし、次のように続けた。
「我々は人間的な感情を重視している。コバー二ーはスルチ(シャンルウルファ県のクルド語読み)だ。そこを示す人間ならば、全てトルコにいる。政府が何もしていないかのように考えることは全くの誤りである。政府はほかの人々に対しても同様のことを行った。たとえばアラブ人やトルクメン人に対しても同様のことを行った。恩にきせるようなことは何もないし、むしろ行ったことは好意からくるものである。トルコは現在必死に努力をしている。米国との交渉においても、最近の爆撃やそのほかの問題においても、非常に真摯に努力している。コバーニーには車両634台の支援を行っているはずだ。」
アクドアン副首相は、クルド人組織「民主統一党」(PYD)がシリアのアサド大統領に対して沈黙を守っているのは間違いと指摘した。また、「アラブ人やトルクメン人に対する虐殺が行われたときに一切批判しなかった。これにはHDP党員も部分的に含まれる。アサド政権の虐殺に沈黙するのは間違いだ。他のクルド人グループが分離され追放され、無力化されるのは間違いだ。我々は人としての良心で18万5千人の難民を受け入れている。PYDが行っている過ちはそれとは別物で、現地のクルド人とも別のものだ。トルコをそこに介入させたくないと考えているのは誰か?「いや、トルコは介入するな」と言うのは誰か?PYD本人達である。一方で「トルコは何もしていない」と世界中を煽り、他方で、トルコの介入を拒んでいるのもPYDだ」と述べた。

■「トルコ軍はあなたの傭兵か?」

アクドアン副首相はTBMMを通過した(軍の越境攻撃を可能とする)特別法を受け、飛行禁止と安全地帯設置の重要性についても言及し、この計画の枠組みで国際社会と協調し行動することが必要であると強調した。また、次のように続けた。
「そこまでこの活動に熱心なら、来て共にこの仕事を行いましょう。しかし、あなたは来ない。つまり、トルコ軍はここでのあなたの傭兵なのでしょうか?あなたは軍を派遣せずに、トルコ軍を現地に行かせ殉職させる。そんな世界はありえない。あるとすれば、その場合の「真意」が明らかとなり、トルコにおいてその今後が検討されるだろう。包括的なシリアの将来に関する計画が立てられ、国際社会とともに行動を起こし、トルコもそれに従って役割を得るだろう。問題はアサド大統領ではない。トルコは自身の国益と国家の安全のために今回の活動に参加するのだ。」

■「コバーニーに支援の流れ続く」

アクドアン副首相は、コバーニーへの人道回廊の設置が望まれていることに言及し、人道的な支援の流れが続いていることや、そこから来る人々を受け入れていること、トルコからは政府やトルコ軍による多数の支援車両がコバーニーやほかの地域にも向かっていることを強調し、次のように述べた。

「トルコが何もしていないという見方は正しくない。しかしこの回廊の目的が、トルコが国境を開き、PKK戦闘員や武器がそこを通過可能にすることであるならば、司法的正当性のある仕事とはいえず、政治的にも説明がつかない。そうした要求をすること自体正しくない。トルコは、テロ組織だと公式に認定している組織に国内を通行させるだろうか?もしくは武器の通過は出来うるのだろうか?これらは道理にかなっていない、ばかげたことだ。それらが非武装の人道支援の護衛として通過するなどという認識で、政府に対し批判がなされている。ただこれは誤った認識だ。回廊を開くことは、法的にも政治的にも不可能だ。今日までの姿勢を覆すことになるからだ。こうした要求は正しいアプローチ方法ではない。一方で、「トルコよ、助けてくれ」といい、もう一方で、「トルコは来るな」と叫んでいるのだ。」

■クルチダルオールの「新特別法」案

アクドアン副党首は、CHPのケマル・クルチダルオール党首の、新特別法制定の提案を批判した。副首相は、「切迫した状態と狡猾さがみてとれる。この特別法は ISISのために出されたものだ。お遊びなのか子供騙しなのか。トルコは国内の安全と国益のために戦い、必要な活動を行う。そこに捻じ曲げる必要はない。この特別法における最重要ポイントはISISであり、これに対し「No」と言ったにも関わらず、今、身を翻して悪巧みをしようとしている」と話した。

■バフチェリ党首に謝辞

アクドアン副首相は、特別法案と、最近の一連の出来事に対する姿勢について民族主義者行動党(MHP)のデヴレト・バフチェリ党首に感謝の意を表し、MHP党首の支持者に対し良識を持つようにとの呼びかけを好意的に受け止めたと述べた。



本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介されています。

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( 翻訳者:原田星来 )
( 記事ID:35537 )