苦境にたつ創刊89年のイスタンブルのギリシャ語新聞社
2014年10月12日付 Hurriyet 紙


トルコのルーム語(注:ギリシャ系住民が用いるギリシャ語)で発行されている最古で、唯一の日刊新聞であったアポイェヴマティニ紙は、スリイェ通りにある89年間使用してきたオフィスを離れざるをえなくなった。同紙のミハイル・ヴァスィリアディス編集長は、「弊紙が90年目を迎えられるためには経費を削減しなくてはいけませんでした。しかし私は(オフィスだった)あの場所をマイノリティの博物館に改装することを望んでいました。今はコーヒーショップになる予定です」と話した。

「昼下がりの時間に」という意味のアポイェヴマティニ紙はたった2人で発行している。ミハイル・ヴァスィリアディス編集長とその息子さんだ。二人は毎日朝まで働いて新聞を準備している。しかしヴァスィリアディス氏は、先日イスタンブルの、ベイオールのスリイェ通りにあるオフィスへ、最後に荷物をまとめるために行った。理由は、財政難である。ヴァスィリアディス氏は、引っ越しを「今朝、残念ながら辛い仕事をすませて職場にお別れをしました」と話した。「経費削減を余儀なくされていました。イスティクラル通りの聖母マリア教会が敷地内の小さな部屋を我々に提供してくれました。荷物の半分をそこへ運びました。」

■出版博物館にする予定だった

「しかしここ5年オフィスを使っていなかったのです。朝まで働いていたので、家で作業をしていました。ですが89年間使用してきたオフィスをルーム(注:トルコに住むギリシャ系住民))出版博物館に改装したいと思っていました。今日までルーム語で発行してきた新聞や雑誌や文書を展示して、これについて研究を行いたい人々に向けて公開する予定でした。ただエルトゥールル・ギュナイ文化観光相の時に希望をもっていましたが続きませんでした」と述べた。

■創刊記念日か悲しみの日か

勤続55年を祝ったヴァスィリアディス氏は、昔は3万5千部発行していた新聞も今ではたった600部になったと言う。「コストは月に2万リラかかります。収入の90%はギリシャ(本国)からでしたが、2011年の経済危機で打撃を受けました。新聞を90年目まで出し続けていくために(経費)削減しなくてはいけません。7月12日は、新聞の創刊記念日となるでしょうか、或いは(廃刊による)悲しみの日となるのでしょうか?(この)新聞の廃刊はルームの出版の終わりを意味することになるのです。我々のオフィスはコーヒーショップになります。私がどう感じているかを教えたい。世知辛さや失望…ギリシャ人のコミュニティのためにも、とても残念に思っています。(この)新聞は、ルームのコミュニティと平行して時を過ごしてきました。新聞を、配達時間にドアで待っている読者もいるのです。」

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( 翻訳者:伊藤梓子 )
( 記事ID:35540 )