Fehim Tastekinコラム:クルド人2勢力、対立から協力へ
2014年10月18日付 Radikal 紙

新たな1ページが開かれようとしている。南クルディスタン議会(イラク・クルド自治政府議会)は10月15日に10時間の議論の末、ロジャヴァからの要求を聞き入れ、あらゆる援助の実施を想定した法案を可決した。議員たちは議会での決定を官報で公表した後すぐにロジャヴァに武器を送る必要があると強調した。

コバーニーに対するイスラム国の攻撃はクルド人勢力の政治情勢にも影響を及ぼしている。コバーニーはある意味クルド人のクルド人に対する試練の場となっている。この数日ロジャヴァ(シリア・クルディスタン)―バシュル(イラク・クルディスタン)、つまり西と南のクルディスタンに重要な進展が見られている。

明らかにこの2年間でクルド人の間に深刻な対立が生じた。一方はイラクのクルディスタン自治政府のマスウード・バルザーニー大統領と彼が支援するシリア・クルド国民評議会(KUK)、他方は民主統一党(PYD)を含めロジャヴァで自治活動をする様々な政治的、社会的、文化的組織を傘下に置く民主社会運動(TEV-DEM)だ。事態はロジャヴァに対し、禁輸措置がとられるまでに至った。

現在新たな1ページが開かれようとしている。南クルディスタン議会は10月15日に10時間の議論の末、ロジャヴァからの要求を聞き入れ、あらゆる援助の実施を想定した法案を可決した。議員たちは議会で決定を官報で公表した後すぐにロジャヴァに武器を送る必要があると強調した。(以前コバーニーのための武器がジェズィーレ郡に送られた)。法案はロジャヴァの自治を拒否したバルザーニー大統領とKUKに対する圧力を強める結果となった。南クルディスタン(イラク・クルディスタン)の空気はクルディスタン愛国同盟(KYB/YNK)とゴラン運動(Goran Hareketi)の力によって、ロジャヴァ支援に変わった。シェンガルの後、アルビールに敵対しているイスラム国に対してYPG(人民防衛隊:PYDの武装組織)やHPG(PKK傘下の武装組織)がペシュメルガ(北イラク・クルド民兵組織)に協力することも、ロジャヴァに対するPKKとしての増援部隊について議論されるのが難しくなっていた。

議会における話し合いと並行して、ドゥホクにおいてバルザーニー大統領の主催でPYDのサリフ・ミュスリム共同党首、TEV-DEM執行委員会メンバーのエルダル・ハリルとKUKの代表者たちが対立を解くために一堂に会した。

中略

内部の見方:誰がどれくらいの力を持っているのか

コバーニーは、クルド人といった立場から別々の運動をするために、様々な言い訳をするのを難しくした。包囲されているロジャヴァで一般の人たちがした質問は次の通りだ。困難な時に誰が私たちと、そして私たちの問題に関心を持ち、誰が市民を守るのか、だ。現地でPYDとYPGが勢力を拡大する中、アルビールやイスタンブルから政治をする人たちの、既存の足場も揺らいでいる。アムデでジェズィーレ郡の議会共同議長のナズィレ・ガヴリエ氏とハケム・ハロ氏に、議決権をもたない人たち(政権に参加していいない人々)による市民の支援について聞いた。ガヴリエ氏は「議会活動には14の政党が参加している。101人の議員がいる。市民の大多数を代表している」と述べた。ハケム・ハロ氏は次のように語った。「数としては議決権を持たない人は、持つ人(議員)ほどいるが、権限は10%未満だ。彼らはシリア革命を違った形で見ている。シリア危機はすぐに収束し、リビアのようになると考えていた。外からの干渉に期待し、中での活動はあまりしなかった。自分たちを組織化できなかった。中よりも外での活動をおこなった。市民とは離れたところにいた。私たちは民主的自治計画を当時9つの政党から成っていたKUKと共に準備した。しかし彼らは自治宣言の一日前に、外のつながりと彼ら独自の駆け引き勘定を理由に去った。その後それらの政党のうち5つが政権に参加した。シリア・クルド左翼党、シリア民主左翼党、シリア・クルド民主党、民主平和党、クルディスタン民主党・・・私はその他の党にも参加するよう呼び掛けている。参加してもらいたい、門戸は開いている。シリア・クルディスタン民主党(KDP-S)のリーダーたちの参加に関していかなる決定もない。スード・メラ氏はここにいる。しかし彼らは私たちと同席することすら受け入れない。分裂しないよう議会にすら行けない。名目上は複数の党が一つになったが、皆自分の取り分を欲しがっている。これらの政党の決定は地域外で下されている。中と外からこの政権を倒そうとしている」

■電車が逃げる

今ロジャヴァという電車は逃げている。ドゥホクでの会合はこの電車に乗るための重要なチャンスだ。外にいればいるほど、ロジャヴァとの距離は離れていく。こうして参加することでPYDは国際社会に受け入れられやすくなる。この参加は『ロジャヴァはオジャランの共和国』という認識をも変えうる。



本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介されています。

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( 翻訳者:南澤沙織 )
( 記事ID:35597 )