南東アナトリア・東アナトリアへの投資、冷え込む
2014年10月17日付 Milliyet 紙


南東アナトリアと東アナトリアで続く緊張状態が地域経済を苦境に陥れている。和平プロセスにおける「西部」の実業家らのこの地域に向けた投資先の模索は、現在のところ全くない。投資機会を探す実業家らの足取りは、この地域から絶たれてしまった。

東・南東アナトリアでここ数日間続いている「コバーニー」を巡る衝突は、地域経済にマイナスの影響を及ぼしている。この地域の実業家らの共通の認識は、この最近の出来事が和平プロセスによる(投資の)加速にダメージを与えるだろうというものだ。和平プロセスの開始とともに「東部」における投資機会を模索し始めた「西部」の実業家らは、この地域への視察を一時的に中止した。ディヤルバクル県商工会議所のアフメト・サヤル会頭が「ディヤルバクルのような発展途上の地域にポイントインセンティブが与えられることは、より多くの投資獲得を保障する」と話す一方で、マルディン県実業家協会のナスル・ドゥヤン会長は「和平プロセスの恩恵をうまく活用する必要がある」と話した。
アフメト・サヤル会頭は、ここ最近の衝突が地域の中心部で店舗や自動車などに被害を与えているが、工場や職場は活動家らによる標的とはなっていないと述べ、この観点から安全な就業環境は継続されていると話した。サヤル会頭は、「一連の出来事が精神的にマイナスの影響を与えることで、一部のビジネスを目的とする旅行がキャンセルされることは問題だ。銀行の信用取引を取り消してはならない。この件に関して銀行協会は警告を出すべきだ」と話した。

■保険契約が行われない

サヤル会頭は、衝突が起きて以降一部の会社や工場、そしてその他の工場施設に対する保険契約が渋られたり、一部の商業手形やプレミアム価格が高騰したりしていると話した。同会頭は最近の奨励策により得られた割合が大きく落ち込み、東・南東アナトリアの救済を目的とする適用がこれらの地域よりも発展した地域の手助けになっていると話し、「すべての奨励策からわれわれが得た割合は12から13%程度だ」と述べた。

■「ポイントインセンティブは必要」

これらの地域に向けた奨励システムの見直しを要求するサヤル会頭は、以下のように話した。「現在のシステムでは、投資が実現された後に支援が行われている。そのため従業員を雇用しているということが信用として使用されている。土地の割り当てを得ても、工場を自身の資金で稼働させなければならないのだ。つまりこの奨励システムの適用を受けるためには、資本金が必要なのだ。しかしここにはそもそも強力な資本構造など存在しない。上部構造に支援が行われれば、投資ムードも高まるだろう。仕事を始める前に融資の支援を受けることができればより大きなメリットとなるだろう。小さな工場施設に対しては、生活用水などのように低い年利で、あるいは無金利での貸付が行われるべきだ。開発促進地域は選択可能だ。例えば、ディヤルバクルは開発促進地域に選ばれるべきである。ディヤルバクルのような発展途上の地域にポイントインセンティブが与えられることは、より大きな投資の獲得に繋がるだろう。ディヤルバクルはトルコ中央アナトリアへの玄関口となりうるだろう。」

■「旅行を延期しないでほしい」

ガズィアンテプ県商工会議所のエユプ・バルトゥク会頭は以下のように発言している。
「われわれには『投資する予定だったが事件があったので断念した』であったり、『銀行が嫌がらせをしてくる』といったような不満の声は届いていない。ガズィアンテプを旅行したいという人々もいる。さらには今まさにシーズンを迎えたというのに、キャンセルとなってしまった。ガズィアンテプではすべてが順調に進んでいる。だからどうか旅行をキャンセルしないでほしい。ここにはまったく緊張状態など起きていない。誰もが夜中でも安心して外出できる。要するに、誰かが上からボタンを押したが、その指が離れた今となってはすべてが元通りに戻ったということだ。」

■「身内が働いている」

独立実業家協会(MÜSİAD)のイスマイル・シャンルディヤルバクル県支部長は、ディヤルバクルでは2006年に起きた1週間にもわたる事件の影響で巨大ショッピングモールの投資が中断されたままになっており、新たな投資環境を準備していた矢先に今回の事件が起きたことを明かし、以下のように話した。「相次ぐ事件の影響で前述した(ショッピングモールの)企業はまたもや中断を決定した。他にも今回の事件を受けて他のショッピングモールも閉鎖された。そこを閉鎖した約1000人の身内はそこで働いていた。今後、別のショッピングモールも閉鎖予定で、彼らは朝になるとそこで買い物をしている。」

■「和平プロセスの恩恵」

マルディン県実業家協会(MARSİAD)のナスル・ドゥヤン会長は、以下のように発言した。「和平プロセスの恩恵を活用しなければならない。過去には治安問題が解決したことで資本が東部へと流れこみ始めた。治安問題の再燃はわれわれを後戻りさせることになる。平和な環境はわれわれに前向きな影響を与えた。この平和を保持することがこの地域を発展させるのだ。」

■「傷口を包帯で巻く」

ディヤルバクル県実業家協会(DİSİAD)のブルチ・バイサル会長は、以下のように話した。「傷口を包帯で巻きつつ取り組みを継続させるつもりだ。工業という意味においては、おそらく短期間で困難に直面するだろうが、おそらく前年度のムードを再びつかむことができればそれも復活の糸口となるだろう。PKK(クルディスタン労働者党)とヒズボラの衝突が長引けば、つまりわれわれが手中にできる主導権も難局に立つことはないだろう。」

■「非常に大きな流れがあった」

東・南東部実業家協会連盟(DOGÜNSİFED)のシャヒスマイス・ベディルハノール会長も、「この地域の傷口が短期間で塞がることを願っている。一連の事件はこの地域の経済に先々まで影響するだろう。和平プロセスに伴い非常に大きな(投資の)流れが以前はあった。今回の事件はこの流れに甚大な規模でマイナスの影響を与えていると考えている」と話した。

■「これ以上の傷を負ってほしくない」

中東青年実業家協会(OSGİAD)のマフムト・シャンル会長も、次のように話している。「和平プロセスに伴い湧き上がったモチベーションは、われわれからするとその大部分が打撃を受けたと言えます。事件が長引く現状では、より大きな損失に繋がる可能性があります。」



本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介されています。

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( 翻訳者:指宿美穂 )
( 記事ID:35599 )