トルコ・トヨタのCEOをめぐり内紛?
2014年10月21日付 Radikal 紙


トヨタのアダパザル工場ゼネラルマネージャー兼CEOのオルハン・オゼル氏と、トヨタのトルコのディーラーであるトヨタ・マーケティング&セールス(株)CEOのアリ・ハイダル・ボズクルト氏の間で「CEOは誰だ」という紛争が深刻化している。

日本の自動車メーカー大手トヨタのアダパザル工場ゼネラルマネージャー兼CEOのオルハン・オゼル氏と、トヨタのトルコのディーラーであるトヨタ・マーケティング&セールス(株)CEOのアリ・ハイダル・ボズクルト氏の間で続いていた「CEO問題」が泥沼にはまっている。そのため、10月15日に開催される予定で、トヨタ・モーター・ヨーロッパ社長のディディエ・ルロワ氏が出席するトヨタのトルコ工場操業二十周年記念式典にアリ・ハイダル・ボズクルト氏は招待すらされていないと噂になっている。

トルコの自動車業界では、マニュファクチャリング(製造)事業を有する企業の経営は一般に一人の人によって統率されている。つまりセールス・マーケティングとマニュファクチャリングのトップには一人の人物が就いていることになる。トファシュ、フォード、ヒュンダイ、メルセデス・ベンツ、ホンダといった大手企業の経営はこのような体制で行われる。これらの企業ではゼネラルマネージャーまたはCEOの一人のみが存在する。

経営体制としては、トルコで唯一ルノーおよびトヨタのみが異なったやり方をしている。この違いは、2企業がトルコにおけるマニュファクチャリング事業とセールス・マーケティング事業を別々の2会社で行っていることに起因する。トルコのオヤック・グループと提携しているルノーは、セールス・マーケティングをルノーMAİS、マニュファクチャリングをオヤック・ルノー会社で行っており、この2社にはそれぞれ1名のゼネラルマネージャーが存在する。セールス・マーケティング会社またはディーラー会社がその国の顔となるため、代表もこれらの会社の経営者が務める。

ルノーでも状況は同じであり、つまり代表はルノーMAİSゼネラルマネージャーである。オヤック・ルノー・ゼネラルマネージャーは適宜、新モデルの製造および輸出に関する情報を伝える。それ以上の権限はない。

■独立した2社
トヨタでは、状況は他社と少し異なる。ルノーのようにマニファクチャリング(製造)会社とセールス・マーケティング会社は分かれているが、オヤックなどのようなトルコ企業のパートナーがいないため、2社はお互いに完全に独立している。今日トヨタのアダパザル工場は、100%日本のトヨタの子会社である。トヨタのセールス・マーケティング会社は、2009年末からサウジアラビア系のALJグループとなっている。世界最大のトヨタのディーラーであるALJグループは、トヨタの代理権を2009年末にサバンジュ・ホールディングから8000万米ドルで買収した。

そして様々な問題がそれ以降表面化してきた。普通、企業の顔(代表者)はセールス・マーケティング会社が担うが、トヨタの2社間で長い間非常に深刻な主導権問題、より正確にはCEO問題が発生している。

■なぜCEOと書かれるのか
今日トルコにおけるトヨタのセールス・マーケティング会社の正式な社名は「トヨタ・トルコ・マーケティング&セールス株式会社」である。トヨタのマニファクチャリング(製造)会社の社名は「トヨタ自動車工業トルコ株式会社」である。
両社にはそれぞれCEOがいる。実は、2010年半ばに工場のトップに抜擢されたオルハン・オゼル氏には二つの肩書がある。一つはゼネラルマネージャー、もう一つはCEOである。過去2年間、トヨタ・トルコ・マーケティング&セールスCEOのアリ・ハイダル・ボズクルト氏がメディアで発言し、記事中の彼の肩書が、社名が長いためにトヨタ・トルコCEOと書かれるたび、オルハン・オゼル氏から抗議が届いていた。

新聞記者らは代表が誰であろうと、読者に正確に理解してもらうために、このように書く。例えば、バイラス・モーター・ゼネラルマネージャーの代わりにシトロエン・トルコ・ゼネラルマネージャー、ドウシュ・モーター‐アウディ・ゼネラルマネージャーの代わりにアウディ・トルコ・ゼネラルマネージャーと書かれる。その理由はいたって明らかである。

■ヨーロッパ社長も出席
アリ・ハイダル・ボズクルト氏によれば、ごくわずかだが主にアナトリア通信のインタビューを受けたオルハン・オゼル氏の肩書が、トヨタ・トルコCEOと書かれたことがあるが、この問題では同様な抗議がマスコミには来なかったということだ。しかし、この問題は約2年間、両社の間に深刻な危機と緊張をもたらしている。このため、アリ・ハイダル・ボズクルト氏は、トルコで販売される以外に製造される新モデルに関する発表を行うことを諦めた。オルハン・オゼル氏もマスコミの前に出てこず、本来の意味でも代表ではないため、自動車関連記者らの質問はいつも宙に浮いた状態だった。

長い間閉ざされた扉の向こうで起こっていたこの問題であるが、ついに翌日(15日)トルコにおける製造開始二十周年を祝うトヨタの、より正確にはトヨタ・トルコ自動車工業のこの特別な日のために、マーケティング&セールスCEOのボズクルト氏が正式に招待されないと噂されるまでになっている。土壇場で招待状が届くかどうかは分からないが、トヨタ・ヨーロッパ社長も出席するこの特別な日に、トルコにおけるトヨタのセールス・マーケティング会社のトップ経営者が呼ばれなければ、「CEOは私だ」紛争はさらに深刻化し、また今後どちらかが敗者となることは明白である。



本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介されています。

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( 翻訳者:安井 悠 )
( 記事ID:35631 )