チャヴシュオール外相、地上戦参入を否定
2014年10月22日付 Milliyet 紙

外務大臣メヴルト・チャヴシュオールは、地上戦参入を認めていないと述べた。

 チャヴシュオール外相は、イラク・クルド人自治政府の民兵組織ペシュメルゲはまだトルコ経由でコバーニーには行っていないこと、またこの件に関しての話し合いが続けられることを述べた。


 チャヴシュオール外相はテレビ番組NTVにおいてこの問題に関する発表を行ない、「民主統一党(PYD)は、ペシュメルゲを望んではいないように思えます。PYDとペシュメルゲの間で合意が行われるべきです」と述べた。外相はまた、ペシュメルゲがトルコ経由でコバーニーへ渡ったかどうかへの質問に対しては、「まだ彼らはコバーニーへは行っていません、話し合いが続いています。この件に関する我々の立場は全く変わりありません。我々は最初からイラク、シリア、またイスラム国に対しても、なすべきことが何であるのかはっきりと述べてきました。特にコバーニーの問題でも、できるかぎりはっきりとした態度を取ってきました。我々はもちろんコバーニーがイスラム国の手に落ちることを望んではいません。この件に関してあらゆる種類の、特に人道的な問題を筆頭に、われわれがなすべきことを真剣にやってきました。200万人以上のシリア系クルド人を、どの宗派であれ、どんな宗教であれ、全員を受け入れてきました。コバーニーにだけでも640台以上のTIR(貨物トラック)で現地への人道的、医療的支援を行いました。今日までコバーニーだけに対して行った支援の額は1,050万ドルにも達します。シリアの北部に対して行った我々の人道的支援の額は3億0500万ドルにもなります」と答えた。

■トルコのプライオリティーは何か

 チャヴシュオール外相はトルコのプライオリティーが何であるかについての質問に対して、「シリアは現在混迷を極めています。すべての人の目的は自由と民主主義です。シリア全土ではなく自分たちにしか目を向けていない政権は、他人の権利を尊重しない政権です。他方、シリア国内には一定の地域の支配を望み、イスラム国のような、自身を国家と称する、またはまだ国家とは称してはいないものの特定の地域を支配するためにお互いに争い合い、また政府と戦うという複雑な構造があります。この中にPYDも含まれます。 そのためにイスラム国は、政府から得た武器と外国から流入した武器、またイラク兵がモースルに集結し、その後撤退する際に残していった武器で、より強固な組織となった、他の勢力と比べて。しかしイスラム国と他のテロ組織に違いは全くありません。PYDともです(違いはありません)。これらすべての勢力の目的は、シリアの不安定化と、それを頼りにここで一定地域を支配することです。このような状況では、我々ももちろんコバーニーがイスラム国の手に落ちることを望んでいません。ではイスラム国がトルクメンらに、キリスト教徒、またアラブ人に対して攻撃を行ったとき、殺戮を行ったとき、人々がその場からの移動を余儀なくされたとき、トルコにいる我々のきょうだいはどこにいたでしょうか。この機会を利用しトルコを破壊行為の場とした者たちはどこにいたでしょうか、世界の世論はどこにいたでしょうか。原則として我々はイスラム国がコバーニーに入るのも許しませんし、他の地域に向かうのも許しません。イスラム国に対して、コバーニーにおいても、また他地域においても、自由シリア軍が闘うべきです。そのためにイスラム国がコバーニーにやってきた時にも同じことを言いました。ここでイスラム国の撃退、またはアサド政権との闘争という観点から、自由シリア軍への援護が必要です。自由シリア軍と共に闘うことに我々は言及しました。我々の対話の相手はアメリカ、他の同盟国、そして政治上、軍事上の対話の相手である自由シリア軍です。自由シリア軍にあなた方を支援させなさいというと、彼らは反対するのです。一方我々が地上戦を行うことを求められましたが、我々は「ノー」と述べました。PYDもこれを望んではいません。なぜなら、トルコがそこにいることは、彼らの目的(野心)に反することになるからです。しかし我々はこうした思惑とは関係なく、地上戦は行いませんと申し上げました。これらにペシュメルゲが支援を行う可能性はあります。ペシュメルゲは今日北イラクにおいてイラクの憲法に則って設立された治安部隊であります。憲法に則った形であるのなら、クルド人が統括する地域から我々が石油を得ているのなら、その地の統治体制と我々の関係は当然のことであり、正式に設立された治安部隊とトルコが交渉することもある。そのためにコバーニーへ誰かが支援をおこなうことになるなら、ペシュメルゲが支援を行うべきだと我々は述べました」と語った。

■「PYDはPKKの支部」

 「外国人部隊通過のための法案が出ましたが、覚書が調印されています。その法的根拠は何でしょうか」という質問に対してチャヴシュオール外相は、「我々はすべてのことを法的根拠に従って行っており、問題は全くありません。今のところPYDへ、またPKKへ武器提供を行うことを我々が望んでいない理由もこれです。PYDは我々にとってPKKの延長線上にいる存在です。このためにアメリカが食糧、人道的支援、またどれくらい武器提供を行ったか私は知りませんが、「ペシュメルゲが到着するまでをカバーするため限定で我々は支援をしている」と言っていた。ここでは、実際、包括的な形でPYDが支援されることに、我々は反対です。もし彼らが支援されることになるなら、シリア自由軍が支援されることも必要です。なぜならば自由シリア軍だけが、現状の国境線が守られたシリア(シリアの領土保全)を望んでいます。しかし他の勢力の思惑は違います。彼らは皆テロ活動を行っています。自由シリア軍は今日においてイスラム国と、そしてシリア政府と戦う唯一の勢力です。他の勢力は現在、PYDも、シリア政府と継続的に接触をしています。イスラム国とシリア政府の間のことは明白であるから、タイミングよくシリア政府により支援されたようだ」と回答した。
 チャヴシュオール外相は、「ペシュメルゲのコバーニーへの移動に関して、イラク中央政府もこのことに関与しているのでしょうか」という質問に対して、「現在ペシュメルゲに関することであるので、もちろん北の政府(クルド自治政府)との折衝も続いている。PYDはペシュメルゲをも望んではいないようだ。なぜ望んでいないのかはここで明らかだ。彼ら自身を守ること、またはシリア国内で彼ら自身の安全を確保することではなく(どころか)、「誰かに武器を出してもらい、我々は我々の軍事力を守ることにしよう、そしてそのあとでこの地での我々の目的を実現しよう」と思っているようだ。ペシュメルゲをもこうした彼ら(PYD)の目的への脅威と感じているため、彼らの間で意見が分かれています。最新の発表によると、彼らの中で合意がなされました。そのためにこうした合意がなされた後、我々はこの問題における支援を行います」と答えた。
 「PYDはPKKの支部的存在です。ペシュメルゲを通してテロ組織に支援が行われているのではないのですか」という質問に対してチャヴシュオール外相は、「ここではただPYDだけがいるわけではありません。ここでは一つの戦線が形成されているのです。PYDとともに「スフカル・ラッカ」、「フェジュルル・フッリエ」、「サッファル・ジャラーブルス」、「ドー・テウヒード・トゥガイ」といったグループが8つ存在します。アメリカも支援をそれらの全組織に包括的に行いました。数は少ないですが市民もいます、そしてもしイスラム国がこの都市を掌握する状況になったら、この市民らが脅威の下に置かれることを、我々は見過ごすことは出来ません。このためにここで行われる支援は、ただPYDに対してではなく、7,8つのグループにより共同で形成される戦線に対してのものです」と述べた。

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( 翻訳者:松井友紀 )
( 記事ID:35634 )