シリア:「豪族」による死の商売
2014年11月25日付 al-Hayat 紙

■「豪族」による死の商売

【バーゼル(スイス):イブラーヒーム:ハミーディー】

戦争によりシリアは分裂し、アサド政権が支配する地域であれ反体制派が獲得した地域であれ、シリア全土またがって「豪族」が居座るようになった。そうした中、同国では「誘拐業」や「遺体取引」といった生業(なりわい)が主流になり、彼ら「豪族」は死であれ何であれ商売の対象にしてしまう。ただし、平和を除いては。なぜなら、彼らにとって平和とは「忌避の対象」でしかないのだから。

ダマスカスを出た人々は、「グリーン・ゾーン」を含む首都ダマスカスの街道に再び誘拐がはびこり始めたことに気づき、街を出る決心をした。電気やインターネットの回線が切られるという苦痛に加え、誘拐されるかもしれないという懸念が加わったのだ。さらに、一部の街道では、「不可解な」理由からチェックポイントが設置されたりされなかったりすることから、人々の不安は高まるばかりだ。こうした中、「米ドル」だけが東グータに敷かれた包囲を唯一突破することができる。

一方、反体制派の支配する地域には新たな職業が登場した。「アブー・ジュサス」(遺体処理屋)がそれだ。彼らはシリアの村落や街の郊外付近の荒れ地を歩き回り、遺体やその残骸を探して回る。そして見つけたそれらを埋葬するため、「アブー・クブール」(埋葬屋)に引き渡すのだ。埋葬屋は、周辺の地区や村落に残る人々が集めたお金を受け取って墓を掘る。

ダマスカスと西部海岸地帯を結ぶ道路上には、軍や親体制派の「国防隊」が管理するチェックポイントが展開している。こうした部隊の一つを統括する司令官の一人が、治安部高官に対して隊員たちをコントロールすることの難しさについて語った。いわく、彼ら隊員は「見返りに金を受け取ることを当然に思っており、チェックポイントでの仕事は彼らにとって手放すことのできない収入源かつ権力源になっている」という。

こうした証言は、「シリアにおける戦争経済」についてスイスのバーゼルで開催された会議で発表された。ある人物はそこで、次のように発言した。すなわち、包囲下にあるホムス各所での交渉が合意形成に近づくたびに、交渉のテーブルにミサイルが落とされたり、爆弾または自動車爆弾が爆発したりするが、それは「豪族が通行料や運搬料と称して人々から徴収している多額の資金を守りたいから」であるという内容だった。

(後略)



本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介されています。

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( 翻訳者:辰巳新 )
( 記事ID:35959 )