火傷の運命を見つめる不安な眼差:元夫に酸をかけられた母娘の物語(1)
2014年11月25日付 Jam-e Jam 紙


【ショック班:ホセイン・ハザーイーファル】希望を打ち砕かれた悲しみが、若い女性の心に重くのしかかる。「酸をかけられた被害者がどんな目に遭うのか、誰も語ることはできません!」。レイラーとその母親は、元夫から酸をかけられるという悲劇の体験者だ。去年アーバーン月12日日曜日(2013年11月3日)の朝9時、若い女性が母親と連れ立って[テヘラン州]マラールド県サルアースィヤーブの市役所から外に出たときのこと、前方に見知った男がいるのを目にした。〔‥‥〕

 女性は元夫を目にし、〔夫から離れようと〕歩みを速めた。するとアリー〔元夫〕も早足に、34歳のレイラーに追い付いた。怒りにまかせたこの男が背後からレイラーの髪をつかむと、彼女には泣きわめきながら、地べたにしゃがみ込むしか、すべがなかった。そして元夫に頭や顔を殴られぬよう、両手で顔面を覆ったが、よもや酸をかける犯罪計画がスタートすることになろうとは、知る由もなかった。

 これまでいく度も、殺すとか酸をかけるとかいった脅迫によってレイラーを脅していたアリーは、驚いた様子で事態を見ていた通行人たちを前にして、元妻の母親が叫ぶ中、オレンジ色のビンのフタを開け、女性の髪を引っ張りながら、彼女の両手を顔から引き離そうとした。レイラーは懇願し、母親は皆に助けを求めたが、アリーは酸で満たされた容器の中身を、泣いている女性の顔めがけてふりかけたのであった。

 顔を覆っていたレイラーの両手が焼け、女性の叫び声がこれに続いた。酸をかけた元夫は、かつての姑のソグラーが自分の近くで娘を助けようとしているのを見ると、今度は酸を彼女の両足にふりかけた。母と娘は地面に倒れ、アリーは怒った群衆の輪が狭まって来るのを見て、逃げ出した。

 それと同時に、若い男性が母娘のところに駆け寄り、手にしていたビンの中の水を、レイラーの顔と手にかけた。また数名の通行人が警察と救急隊に通報した。母娘は「熱い、熱い」とうめき続けていたところ、ついに救急隊員が二人を救急車に乗せ、〔テヘランの西〕キャラジにあるシャフリヤール病院に搬送した。病院の医師たちは、火傷が酸によるものだったため、受け入れを拒否、救急隊は二人をマダニー殉教者病院に移送した。

 レイラーとその母親はこの病院でも、火傷が酸によるものであり、十分な設備がないという理由で受け入れを拒否され、最終的に1時間かけてキャラジからテヘランに移送、殉教者モタッハリー火傷病院に入院した。

つづく




本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介されています。

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( 翻訳者:たるじょめのおきな )
( 記事ID:36017 )