「イスラム国」の兵士、トルコ国境25メートルに迫る
2014年11月29日付 Hurriyet 紙


アレッポ県コバーニー(アイン・エル=アラプ)における、テロ組織「イスラム国(ISIS)」との衝突は、国境門付近で激しさ増している。午前中にはISIS兵士らが国境のムルシトプナル門付近を爆発物を積んだ車両2台で襲撃し、門まで25メートルというところまで接近した。爆発物を積んだ車両はトルコ領土を通って国境門まで近づいたとされている。しかしこの主張は首相官邸により否定されている。

人民の民主主義党(HDP)は、トルコのシャンルウルファ県スルチ郡と接するコバーニーを占領するため、本日午前中にISIS兵士が、トルコ領土を通ってコバーニーと国境ムルシトプナル門を襲撃したと主張した。

これを受けて首相官邸の広報・情報総合局(BYEGM)は、スルチ郡の報道センターを通してこの主張に関しての発表を行った。発表では、「ISISは、国境門のシリア側において爆発物を積んだ車両で襲撃を実行した。今回の襲撃において、車両がトルコ領土を通過して国境門に到達したという主張は完全にデタラメである。複数の主張に反し、爆発物積載車両がトルコを通過したという公的関係者による発表は一切なされていない。」

■HDP「ISISはトルコ領土を通ってコバーニー襲撃を開始」

HDP中央幹部委員会から出された発表文書はつぎのとおりである。
「11月29日金曜日午前中の早い時間帯に、ISISがトルコ領土を通って、コバーニーと国境のムルシトプナル門に向かって襲撃したことを不快に思っている。ISISの何ヶ月にも及ぶコバーニー包囲攻撃が不成功に及んでいるこの時期に、四番目の戦線の開設は、非常に重大な問題をもたらすにちがいない。」

■HDP「ISISはトルコ穀物公社から襲撃へ向かった」

「トルコ軍と警察が多数駐在するこの地域で、ISISのテロリストが、国家機関であるトルコ穀物公社で荷を積んでコバーニーへの襲撃を実行したことは、それだけでも一大スキャンダルである。今回の出来事は、我々が何ヶ月も指摘してきたISISが支援を受けているとの事実を改めて明るみに出すものである。特に、ウルファ県知事はイブラヒム・アイハン議員との会談で、最近の襲撃ではISISがトルコ領土を根城にしていることを確認したという。トルコの領土からコバーニーへ向かうという襲撃に対し、公正発展党政権がとるであろう態度は非常に重要だ。我々は、クルドの民のホロコーストを目的とした襲撃が、戦争をトルコ国内に飛び火させ、この地域を深い混乱に陥れることを危惧している。今回の事件が生む結果には、AKP政権は責任を負うことになるだろう。ISISがトルコ領土側から実行したこの襲撃について、我々はAKP政権に、即座に包括的な会見を行うよう要請する。また、シリアのロジャワ地域に対して同様の襲撃・侵攻が起きるのを抑制する措置をとり、そして、ロジャワ地域と友好的・協力的な関係を結ぶことも要請する。」

■首相官邸広報・情報総合局スルチ支部「車両がトルコ領土を通過し国境門に到達したという主張はでたらめ」

首相官邸広報・情報総合局 (BYEGM) のスルチ支局報道センターは、「ISISがトルコ領土を抜けてコバーニーへ侵攻し始めた」という主張に関して、書面による発表を行った。

発表では、「襲撃のうちひとつは、国境門のシリア側で爆発物を積んだ車両により行われた。今回問題となっている襲撃では、車両がトルコ領土を抜けて国境門へ近 づいたといわれているが、完全なでたらめである。複数の主張に反し、爆発物積載車両がトルコを通過したという公的関係者による発表は一切なされていない」と述べられている。

BYEGMスルチ支局報道センターより出された書面による発表はつぎのとおり。

「午前中からテロ組織ISISが国境ムルシトプナル門なども含んだコバーニー各地で同時襲撃を実行したという情報が得られている。この同時襲撃の一つは、国境門シリア側で発生した爆弾積載車両によるものだった。この襲撃に関して、車両がトルコ領土を抜けて国境門近づいたと主張されているが、これは完全なでたらめである。複数の主張に反し、爆発物積載車両がトルコを通過したという公的関係者による発表は一切なされていない。トルコ側国境で監視をおこなっていた治安部隊は、深夜以降、シリア側で始まった行動を確認し、必要な予防措置をとった。この流れの中で、衝突により危険に晒された報道拠点も本日退避となった。今回の事態に関する非公式情報に流されず、また、事実調査が必要な事項に関しては、関係者に問い合わせることを切にお願いしたい。」

■迫撃砲弾3発がトルコ側に着弾

ISISの侵攻を食い止めようとする米国主導連合軍の航空機が、国境ライン上のISIS占領地域を空爆した。爆撃後は広範囲に広がった煙はスルチ郡から見えたという。また、コバーニーから発砲された迫撃砲弾3発が国境を越えトルコ領土内に着弾した。負傷者はいなかったが、今回の事件後、多数の戦車や榴弾砲がコバーニを臨む監視用の丘陵部や国境線沿いに配備された。

■記者らも退避

コバーニーの占領を計画するISIS兵士が、爆発物積載車両で襲撃を行った後、現地に滞在していた記者らは、それ以前に安全上の必要性から[報道陣用にと]指定されていた丘からも退避した。

■ISISが午前中に2台の爆弾積載車両で国境線を襲撃

ISISの兵士らは、トルコへの国境門であるムルシトプナル門に爆発物を積んだ車両2台による襲撃を企てていた。国境ムルシトプナル門から1キロメートルのシリア側では、30分ごとに爆発が発生し、4名のクルド人民防衛隊(YPG)兵士が死亡し、18名が負傷した。



本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介されています。

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( 翻訳者:原田星来 )
( 記事ID:36033 )