ヴァフデッティン宮の「修復」はボアジチ保護法違反
2014年11月29日付 Zaman 紙


 大統領執務室として使用する目的で修復された、チェンゲルキョイの裏に位置するヴァフデッティン宮がボアジチ法に反した形で修復されたことが明らかとなった。

 3年間の修復作業の結果、その様相を一変させた離宮であるが、庭園にあった300本の木々が新しい建造物のため伐採されたとされている。ヴァフデッティン宮の2009年の敷地境界線と修復終了後の状況を映した衛星写真はその深刻さを示している。2011年、本来の雰囲気を残す形で修復するために取り壊されたヴァフデッティン宮の周囲にある300本ほどの木は、伐採され残されることはなかった。ボアジチ保護法によれば、(景観は)そのままにそして建物は本来の場所で修復しなければならなかったが、それは無視された。

 修復によって離宮の周囲に大幅な変化が生じてしまったらしい。「ボスポラス計画地区」にあり、歴史遺産であるがゆえに、様々なデリケートな保護法が適応される必要があるのに、「公有地」とみなされたことで、あらゆる種類の建築違法行為に道を開いてしまったようだ。

■『イスタンブルを聴いている、目を閉じて』のインスピレーションの場

 ウスキュダルの、クレリ軍事高校の背後の丘陵地にあるこの小さな森、6ドニュム(1ドニュム=919㎡)の広さのヴァフデッティン宮そして墓地には、4棟の木造建築が建っていた。離宮と並んで植生の豊かさという観点からも、イスタンブルの希少な場所の1つである。例えば、歴史史料や最近の旅行記事のなかの環境問題専門家や観光業者の指摘によると、離宮の庭園では、小さな森の中にある人工池と橋を、杉、松(イタリアカラカサマツ)とイチイの木が取り囲んでいる。松、トチノキ、プラタナス、モクセイ、シナノキ、ケルメス・オーク、ニセアカシア、レバノン杉、ヒマラヤ杉、ヒノキ、ユダの木が生えていた。ライラック、月桂樹、ネムノキ、モクレン、ヒイラギのような花をつける木に加えてビワ、野生のヘーゼルナッツ、クランベリー、野生のサクランボなどのような果樹もあった。緑豊かでボスポラス海峡を見渡せるため、詩人たちのインスピレーションを掻き立てる場所でもあった。オルハン・ヴェリは、『イスタンブルを聴いている、目を閉じて』の詩をここで書き、しばしばイスタンブルの景色を見るためにここに来たとも言われている。

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( 翻訳者:伊藤梓子 )
( 記事ID:36036 )