チュクロヴァ空港建設、中断―コチオール建設、倒産の淵
2014年12月23日付 Hurriyet 紙


トルコで2番目に大きい空港になると目されていたチュクロヴァ空港を建設しているコチオール建設が倒産の繰り延べを求めた。裁判所は(この)会社の管理において、(破産)管財人を任命した。4期にわたり、トルコ建設工業雇用者組合の代表を務めたシュクリュ・コチオール氏を社長とするコチオール建設が、空港建設により、財政的な困難に陥ったことが判明した。今日まで請け負ってきた計画の事業価値が45億リラを超えるコチオール建設は空港建設のために3-4社と共同出資の協議をしていることが分かった。昨年起工式が行われたチュクロヴァ空港は、イスタンブルで(建設が)続けられている第3空港(üçüncü havalimanı)より前に完成した場合には、トルコ最大の空港になると期待されていた。
コチオール建設工・農・畜産商事株式会社は3億5千7百万ユーロの事業価値をもとにチュクロヴァ空港の計画を「BOT方式(注1)」で請け負ったが、財政的な困難を乗り越えることができなかったため、アンカラ第11第1審商業裁判所に対して倒産の繰り延べ要求について申請した。裁判所に提出されたバランスシート(注2)によると、この会社が借金で首が回らない状態であることが明らかになった。

(注1)BOT方式-民間事業者が自らの資金で施設を建設すると共に維持・管理も同時に行い、事業終了後に、所有権を公共に移転する形式のこと。
(注2)バランスシート-企業のある一定時点での資産・負債・純資産の状態を表し、主に株主や債権者などの利害関係者に対し、会社の経営状態に関する情報を提供するために用いられる。

■2つの銀行、信用保証を打ち切り

弁護士アイシェ・ドゥイグ・オザルプが会社名で裁判所へ提出した嘆願書と改善計画書には財政的な困難に陥った原因が記されている。これによると、コチオール建設は昨年3人の大臣が参加した起工式(訳者注:2014年5月29日に開催)がなされた空港プロジェクトを請負い、その工事を約1年間自社出資で実施した。5千万ユーロの投資がなされた8百万㎡のプロジェクト用地におけるインフラ設備の建設中に、一方で銀行との交渉を行った。公的銀行が2行含まれており、全体で4行の銀行から成るコンソーシアム(注3)と2億3600ユーロの(融資の)事前合意が調印された。しかし、ほどなく、コンソーシアムの一員である2行の民間銀行がプロジェクトに向けた信用保証から撤退した。この状況が、同社の経済状況を揺さぶり始めた。

(注3)コンソーシアム-大規模開発事業の推進や大量の資金需要に対応するために形成される融資団のこと。

■ホテルとヘリコプターを売却

コチオール建設は、会社を継続させるために、所有していたホテル、ヘリコプター、不動産そして何台かの車輌を売却した。しかし、財政的困難を解決することはできなかった。差し押さえの圧力のもとに入ったコチオール建設に対して、裁判所は有識者(会議の)報告書と(裁判所に)提出された改善計画書の後、対策案の決定を行い、この会社に向けた管財人を任命した。この決定と同時に、コチオール建設は差し押さえに対し、守られることとなった。裁判所が対策案を決定したコチオール建設は空港建設プロジェクトを請け負った会社や銀行から(以前)申し合わせていた支援を得られなくなると、共同調査を探し始めた。3,4社との協議が続いている。

■銀行に、8千7百万トルコリラの借金

シュクリュ・コチオール氏が1983年に創業したコチオール建設は何十もの建設業のプロジェクトを請け負った。裁判所と共有された情報によれば、コチオール建設が今日まで請け負った57の大きなプロジェクトの事業価値は35億トルコリラである。昨年2億6400万トルコリラの総売り上げを獲得した会社の同年の利益は7680万トルコリラだった。現在続いている16の大きなプロジェクトの事業価値が10億4100万トルコリラであるコチオール建設がこのチュクロヴァ空港建設プロジェクトから保障されるであろう収益は5億トルコリラであるとされるが、市場に借金を抱えるこの会社の、銀行およびファクタリング会社(注4)に対する借金は8千7百万トルコリラである。

(注4)ファクタリング会社-他者が保持する売上債権を買い取り、その債権の回収を請け負う会社のこと。

■オバマ氏のヘリコプター

コチオール・グループの主要な事業が建設工事であるにせよ、観光業・エネルギー産業・航空業の部門でも事業展開をしている。コチオール社は17機の医療ヘリコプターを用いて、保健省のこの分野における最大の仲介業者となった。グループ会社であるコチオール空輸・航空交通株式会社はアメリカ合衆国の大統領であるバラク・オバマ氏が行ったトルコ訪問の際に氏へ、ヘリコプター(を提供し)搭乗させるサービスを行った。トルコ工業・企業家協会(TÜSİAD)の一員のグループの創業者であるシュクリュ・コチオール氏は長期間にわたり、トルコ建設工業雇用者組合の代表を務め、何度も「模範納税賞(Vergi Onur Ödülü)」を受賞している。

■コチオール建設が(現在)続けている10の最大プロジェクト

チュクロヴァ空港-3億4700万ユーロ
ウスパルタ運輸・空輸学校建設-1億4900万トルコリラ
サブンジャベリ・トンネル建設-7500万ドル
アフヨン・チャイ・ダム建設-8350万トルコリラ
チャナッカレ-ビガ・タシュオルック水利事業-5360万トルコリラ
チョルム・オブルック・ドゥトゥルデレ水利事業-3980万トルコリラ
カラチャム-パムコヴァ第2鉄道路線事業-3280万トルコリラ
ギョクベルダム建設-2700万トルコリラ
アイヴァルック市汚水処理場-1560万トルコリラ
ウズンデレ第二水力発電センター建設-1140万トルコリラ

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( 翻訳者:成田健司 )
( 記事ID:36304 )